【no.353】電通と双日、AIがマグロの尾部断面画像から品質判定するシステムを開発

電通と双日、AIがマグロの尾部断面画像から品質判定するシステムを開発

日本の伝統産業における長い歴史で培われてきた職人の技は、人類の経験知が集積された貴重な資源だ。これらのノウハウは、「職人の勘」と形容されるように、体系化や言語化ができない暗黙知であるとされ、担い手である職人も高齢化しており存続が危ぶまれている。

そんななか、電通と電通国際情報サービス、双日は、天然マグロの尾部断面画像からAIが品質判定を行うシステム「TUNA SCOPE」を開発し、今年3月に実証実験を行った。

電通と電通国際情報サービスが取り組む、熟練の職人が持つ技能継承が課題となっている産業において、職人の技能をAIなどの技術を活用して継承する取り組み「プロジェクト匠テック」の一環だという。

マグロの尾部断面画像からAIで品質判定し、「AIマグロ」としてブランド化

今回に実証実験では、一人前になるまで10年は必要といわれるマグロ仲買人の「目利き」のノウハウに着目。マグロの尾部断面の目視により品質判定を行う「尾切り検品」と呼ばれる職人技から得た膨大なデータを機械学習により継承した。

実証実験は、

  • ①「TUNA SCOPE」のβ版をマルミフーズ株式会社の尾切り検品業務に適用し、判定精度を検証
  • ②同システムが最高品質と判定したマグロを「AIマグロ(商標出願中)」としてブランド化し市場性を検証

の2段階で実施された。

①「TUNA SCOPE」のβ版開発と適用

マグロの尾部断面写真と、職人の4〜5段階の品質評価の結果を紐づけて尾切り検品のデータを取得し、画像解析を行うためのシステムを構築。

収集したデータを基にチューニングとディープラーニング・アルゴリズムの選定を行い、スマートフォンアプリとして実装した「TUNA SCOPE」β版を開発した。これをマルミフーズ焼津工場での検品業務で試験運用した結果、職人と85%の一致度でマグロの品質判定に成功。

②AIが最高品質と判定した「AIマグロ」の販売および市場性検証

「TUNA SCOPE」の運用で最高ランクと判定されたマグロを「AIマグロ」とし、商品ブランドロゴを開発。「産直グルメ回転ずし 函太郎Tokyo」で5日間にわたって提供し、約1,000皿を販売した。

アンケートの結果、注文客の約89%から「AIマグロ」に対する高い満足度を示す回答が得られたという。

電通グループは「TUNA SCOPE」のさらなる精度向上と実用化に向け、学習モデルの教師データの継続的な収集、解析アルゴリズムの最適化に向けた取り組みを続けていく。

また得られたノウハウをほかの産業分野でのAIによる「目利き」の継承に応用し、社会や企業の課題解決に貢献していくという。