【no.119】AI技術群「NEC the WISE」でできること、異常データのいらない機械学習の仕組み

AI技術群「NEC the WISE」でできること、異常データのいらない機械学習の仕組み

「NEC Advanced Analytics – RAPID機械学習」(以下、RAPID機械学習)は、ディープラーニングを搭載した機械学習用のソフトウェアだ。それぞれの用途に特化した、次の3つの製品ラインナップがある。

画像解析版~ヒトの判断を支援する画像分類、用途:製品の外観検査、映像監視など
マッチング版~業務を効率化する人材マッチング版、用途:人材仲介業、企業の採用・人事業務など
時系列数値解析版~時系列数値のデータ分類/回帰機能、用途:機器の予防保守
NECはこのほど、「画像解析版」の機能を強化。2018年6月4日より、「RAPID機械学習V2.2画像解析版」として販売を開始する(価格は税別375万円から)。

※1種類の画像データのみを学習させることで、2種類の画像データの分類を行う機能。良品データのみで学習し、異常箇所を検出するモデルを生成する。(NECによる説明)

ヒトの脳を模倣したAIの仕組みであるディープラーニングでは、膨大なデータを学習させることで、その効果を発揮する。しかし、工場の現場などでは、不良品(異常)のサンプルは正常より少ないため、良品(正常)のデータだけで予測モデルがつくれる技術が求められている。

実際に、「RAPID機械学習V2.2画像解析版」をWeb上で操作しながら、担当員の方に説明していただいた(上の写真)。なお、WebGUIは6月4日に発売となるV2.2から新たに利用できるようになる。

「ファイル」、「ラベル」、「前処理」、「学習」、「評価」と、機械学習に必要なプロセスが表示されている。

「ワンクラス」のアルゴリズムで解析を行う場合は、不良品のデータを学習させる必要がないため、手間のかかる「前処理」のプロセスが要らないことがポイントだ。ただし、作成した学習モデルを「評価」する際には、不良品のデータも読み込ませ、精度を確かめるという。

ディープラーニングは、AIが自らそのデータの特徴量を抽出する。たとえば「イチゴ」であれば、「赤い」や「つぶつぶがある」などの情報を教えなくても、それが「イチゴ」であるということだけ教えれば(ラベリングすれば)、こまかなイチゴの特徴を自ら見つけ出してくるのだ。

しかし、AIが見つけてきたその特徴をヒトが理解できないことが、ディープラーニングでは問題となる。

今回のように製品の不良品をチェックするような場合では、AIが不良品とした画像を現場の担当者が見て、どこに不良があるのかわからなければ、判断ができない。

しかし、「RAPID械学習V2.2画像解析版」には、それがわかる仕組みもあるという。AIが認識した不良品の箇所を可視化してくれるのだ(AIが赤く示した部分は、ヒトが見ても傷だとわかる)。

「RAPID機械学習画像解析版」は、このような製品の品質チェックだけでなく、道路の舗装状態の診断にも応用が可能。福田道路株式会社が導入し、路面の維持管理に活かしているという(「ワンクラス」導入前の事例)。

クルマに乗り、ハンディのカメラで道路の画像を撮影(上の写真)。その静止画像をディープラーニングで学習することで、「わだち掘れ」や「ひび割れ」などの状態を検出するのだ。さらにGPS信号と連動することで、その状態を地図上に可視化する。

なお、「RAPID機械学習マッチング版」も「V2.2」としてバージョンアップし、2018年5月21日から発売予定だ(税別375万円から)。

 

異常データは確かに集めにくいもの。どんな異常がどんなパターンで発生するかなんてわからないからこそ異常ですし、正常データを沢山集めるほうが構築はしやすいですよね。
次回の更新も楽しみにして頂けますと幸いです!