【no.382】電通、朝日新聞社ら、イスラエル企業とAIカメラを活用したスポーツ映像配信の共同実証実験を開始

電通、朝日新聞社ら、イスラエル企業とAIカメラを活用したスポーツ映像配信の共同実証実験を開始

アマチュアスポーツ試合の映像化、ローカルスポーツコンテンツのビジネス化に向けて、AIを活用した実証実験がスタートする。

実証実験は、朝日放送グループホールディングス株式会社、西日本電信電話株式会社、株式会社朝日新聞社、株式会社電通、株式会社日宣、Pixellot Ltd.(ピクセロット)の計6社によって共同で実施される。

Pixellot Ltd.は、AIを用いてスポーツの自動中継を実現するカメラシステムを手がける、本社をイスラエルに構える企業だ。

撮影コスト約10分の1に。AIによる自動撮影や編集機能を備え、高解像度の撮影を実現

実証実験で利用されるのは、Pixellot Ltd.が開発した円柱状の無人撮影カメラ。AIによる自動撮影や編集機能を備え、高解像度の撮影が可能だ。

スタジアムなどの競技施設に設置し、AIが自動でカメラワークを行うことで撮影コストを約10分の1に抑えられるという。また、動画内や動画と動画の合間に広告を自動挿入することも可能だ。

サッカー、バスケットボール、ラグビー、アメリカンフットボール、バレーボールなど12競技の撮影に対応しており、「オートプロダクション」モードでは、本物のカメラマンが撮影しているかのような自然なカメラワークだという。

【no.381】「目的逆算」でAI人材を育成する。成功企業の考え方に学ぶ人材育成戦略

「目的逆算」でAI人材を育成する。成功企業の考え方に学ぶ人材育成戦略

「社内でAI導入をしようと外部ベンダーと組んでプロジェクトを立ち上げたにも関わらず、PoCで失敗し予算も底を突きそうだ……。」

そんな状況にある方もいるのではないだろうか?

AI導入が失敗する理由の1つとして挙げられるのが、人材不足だ。社内にAIを理解している人材がいなければ、企画構想やシステムの運用保守で苦戦し、本格導入に至らないケースも多い。

本稿では「AI人財、社内育成の秘訣とは」をテーマとした、キカガク×ABEJA共催セミナーの様子をお届けする。

花本 瞬
株式会社キカガク
事業開発 兼 機械学習講師森 宏晃
株式会社ジーアングル
執行役員

鵜木彩
株式会社ABEJA
Marketing

必要なAI人材は「目的逆算」から考える

さまざまなツールやプラットフォームが発表され、もはやAIを1から作る時代ではない。誰もがAIを活用できる時代になりつつある。

しかし、依然としてAI活用は定着していない。AI活用は当たり前になりつつあるという時代感を感じながらも、具体的にどのようにAI活用に取り組んで行けばいいのか悩んでいる方も多いのではないだろうか。

そのような状況において「まずは各種AI人材を揃えましょうという業界の一般論に対して疑問を投げかけたい」と株式会社キカガク 花本 瞬氏は語る。

――花本
そもそも人材を揃えるのは、あくまでプロジェクトを達成するための『手段』であって目的ではありません。本来はまずは構想案があり、その構想を実現するために必要なスキルを検討し、そこで初めて必要な人材(スキル)が明確になります。しかし、AI活用がなかなか上手くいかない企業はその逆で、具体的な構想がないにも関わらず、各種AI人材を揃えようと躍起になっているのです。実際、AI人材の採用に動いてる企業も多いと思いますが、その多くは求めるAI人材がどのような人材なのかぼんやりとしているのではないでしょうか。

このような状況を打破するためには『目的逆算』で考えることが必要です。ここでいう目的とは、AIを活用し実現したい『構想』のことを指します。

そして適切な構想を描くためには、業務に関する知識や経験が必要となります。そのように考えると、本日セミナーにご出席された方々のようなドメイン知識が豊富な方が、AIの技術特性(AIで何ができて何ができないのか)を学び、構想を練り、その構想を実現するために試行錯誤しながら、足りないスキルは何かと考えることが”必要な”AI人材(スキル)を揃えるための第一歩となります。

ひとたびAIというキラーワードが交じると、このような当たり前のことを多くの方が思考の外に置き去りにしてしまっています。

だからこそ、ビジネスサイドながらほぼ1人でAI実装のイラスト評価ツールを作成したジーアングルの森さんが、1つのベストプラクティスになるかと思い、本日のセミナーにお声がけしました」

「AIに興味はあったものの本格的に学んだことはなかった」という株式会社ジーアングル 森 宏晃氏は、実際にAIを学び始めてからプロジェクトを成功させるまでのストーリーや勘所を語った。

学び初めて半年でイラスト見積もりAIを企画

株式会社ジーアングルは、依頼されたイラストを描くのに、いくらかかるか推定する「アートディレクターAI」を開発した。

今までは営業担当が社内に持ち帰り、プロのイラストレーター数名の意見を仰ぐ必要があった見積もりの作業が、客先でたった数十秒で完了するようになったという。

この企画の中心人物が森氏だ。

――
「AIに興味は持っていましたが、本格的に学んだことはありませんでした。まず、キカガクが主催する講座でAIの基礎を学び、解決すべき課題を整理することから始めました。その後、少量データで10回ほどPoCを繰り返し本番開発に取り掛かりました。

コアメンバーは自分とプロのイラストレーターです。イラストの見積もりにはドメイン知識が必須なので、イラストレーターと一緒に取り組む必要がありました。

システムのなかで見積もりに必要不必要な機能は使う側にしかわかりません。なので『これを外部に発注するのは難しい』と実感しました。イラストのどこに注目して見積もりをしているのか、プロの意見を聞きながら開発を進めました」

イラストレーターをはじめからプロジェクトに巻き込んだため、現場と問題意識の差が生まれなかった。このことは、AI導入が成功した一因といえるだろう。

あれこれ悩む前に「まずやってみる」

――花本
「キカガクの講座で学んでいた頃から、森さんは終始一貫してアートディレクターAIを作りたいとおっしゃっていました。講座を受講される前からある程度の構想があり、その構想を実現するために何が必要なのか目的逆算で考えながら、必要なピースを埋めていったのです。一方、いつまで経ってもAI活用が進まない方は、ひたすら技術や理論の追求をされているように思えます。

色々とお伝えしましたが、AI活用を目的にした際、どのような人材が必要なのか(育成しなければならないのか)を検討されるのであれば、まずは検討される主体である皆さん自身が『何はともあれやってみる』ことに尽きます。

とはいえ、これを実務でいきなり実施するのはハードルが高いので、AI活用実務を体験できる特別カリキュラム『アセスメント人材育成コース』をキカガクとABEJAで共同開発しました。

本講座がAI人材育成をはじめとするAI領域における皆さんの『もやっと』感を払拭するためのキッカケになろうかと考えています」

【no.380】AIで買取価格を瞬時に算出、プロトコーポレーションが次世代型自動車査定システムを提供開始

AIで買取価格を瞬時に算出、プロトコーポレーションが次世代型自動車査定システムを提供開始

プロトコーポレーションは、人工知能(AI)を用いて自動車査定の価格算出を行う次世代型査定システム「データラインAI査定」の提供を7月8日より新車・中古車販売店および中古車買取店向けに開始した。

データラインAI査定は、プロトコーポレーションが開発したAIを搭載した法人向け自動車用デジタル査定ツールだ。「グーネット」等の運営で長年にわたり構築してきた自動車ビッグデータと最新の市況環境をもとにディープラーニングを重ねることで瞬時に高精度なAI参考価格算出を行う。

またWEB化、レスポンシブデザイン化により、スマートフォン、パソコン、iPad等のタブレット端末と幅広く対応。画面遷移とデザインを大幅に見直したことで操作性の向上も実現した。加えて、オンラインで完結できるため査定者から価格決定権限者への申請の時間短縮が可能となり、導入企業の社内レポートラインの効率化が可能となる。

【no.379】記事を要約するAI、富士通が試験公開 言葉の表現を変えて54文字以内に

記事を要約するAI、富士通が試験公開 言葉の表現を変えて54文字以内に

富士通は7月8日、AI(人工知能)を使って新聞などの記事本文を要約するシステムを開発し、企業向けにWebサイト上で試験公開したと発表した。要約したい文章を入力すると、180文字以内と54文字以内の2通りで要約文を作れる。

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AIを使った自動記事要約システム。開発したのは、入力した記事全文から重要度の高い文章を抽出して文体を変えずに180字以内の要約を作る「重要文抽出システム」と、重要な文章を抽出した上で、言葉の表現を変えて54文字以内の要約を作る「生成型要約機能」の2つ。

重要文抽出システムは、従来のシステムに比べて人手と同等の精度で要約文章を作れるようになったという。生成型要約機能は、約8万件の記事と要約のデータから単語の削除、語順の変更、言い換えを学習したAIが、文中の単語や接続詞などをつなぎ合わせて要約文を作る。

同社は、新聞記事を人力で要約して他のメディアに配信する新聞社やオウンドメディアやSNSを活用した情報発信を行う自治体や企業への導入につなげたい考えだ。今回の試験公開を経て、今年後半の製品化を予定している。

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同Webサイトには、新聞や雑誌などに掲載する顔写真をアップロードすると顔の背景を自動着色する機能も用意した。

【no.378】進化する倉庫ロボット、レジなし店舗–アマゾンに聞くAIと自動化の未来

進化する倉庫ロボット、レジなし店舗–アマゾンに聞くAIと自動化の未来

英語で「照明を点けて」(turn the lights on)というフレーズが「テンダーロイン」(tenderloin)という言葉と同じように耳に聞こえるのは偶然のことだ。だが、そうした一見重要ではなさそうに思える音のつながりは、Amazonの「Alexa Shopping」チームにとって早期の課題となった。Amazonは、照明を点けようとしているだけのユーザーに肉を届けて驚かせることは何としても避けたいと考えたからだ。

そこで、同社は音声コマンドのランキングシステムを考案し、使用頻度の高い、照明に関するリクエストを、頻度の低いテンダーロインに関するリクエストよりも上位に位置付けた。このシステムに磨きをかけるために、同社はAlexaにもコンテキスト認識機能を持たせ、会話の話題がスマートホームの制御ではなく食料品であるかどうかをAlexaが判別できるようした。

Amazonのカンファレンス「re:MARS」にて
Amazonのカンファレンス「re:MARS」にて
提供:Ben Fox Rubin/CNET

Alexa Shopping担当バイスプレジデントのChuck Moore氏は、6月にラスベガスで開催されたAmazonの人工知能(AI)とロボット工学に関するカンファレンス「re:MARS」で筆者に対し、次のように語った。「われわれはユーザーの会話のコンテキストを特定した後、そのコンテキスト内でランク付けを行い、ユーザーが実際に言った言葉が『テンダーロイン』であることを認識する」

この精密な音声認識処理は、倉庫のロボット、レジ係のいない小売店、そしてもちろんAlexaなど、自社事業のほぼすべての層にAIに関する専門知識と自動化を組み入れようとするAmazonの取り組みの一環だ。ユーザーの目に触れないこうした裏側のテクノロジーはすでに、Amazonの顧客に対してより短時間での配達を提供し、買い物リストの作成や牛乳の購入など、人々の雑事を効率的に処理するのに役立っている。

Amazonによる新しい倉庫向けロボットのデザイン
Amazonがre:MARSで披露した、新しい倉庫向けロボットのデザイン
提供:Ben Fox Rubin/CNET

Amazonは、AIにリソースを投入している多くの大手テクノロジー企業の1つにすぎない。AIを利用することで、コンピューターやボットは意思決定や顧客のニーズの予測といった、より高度なタスクを実行できる。AIは私たちの生活を一変させ、向上させることができる、とMicrosoftやGoogle、Apple、Facebookも宣伝している。

re:MARSで、米CNETはAmazonのさまざまな事業を統括する4人の幹部に話を聞いた。彼らはAmazon社内でのAI開発の仕組みの一部について、特別に情報を教えてくれた。そして、AIがいかにして、同社にとってWalmartのようなライバルの小売業者やMicrosoft、Googleのようなクラウドサービスプロバイダーと競うための極めて重要な要素となったかについて、経緯を説明してくれた。

【no.377】アイデア出しまくるAI”を開発、博報堂が考える「創造力の限界突破」

アイデア出しまくるAI”を開発、博報堂が考える「創造力の限界突破」

人間がAI(人工知能)よりも優れているのは「創造力」である――そのような考えを持つ人もいますが、果たして本当でしょうか。

例えば2017年4月に行われた、将棋の「電王戦」。プロ棋士の佐藤天彦叡王(当時)と将棋ソフト「PONANZA」(ポナンザ)の対局で、先攻のポナンザは、いきなり「3八金」というあまり見慣れない手を打ちました。しかし、その後に「中住まい」と呼ばれる強固な守りを築き、結果的に自然な展開になっていったのです。この打ち筋を想定できていた人はどれだけいたでしょうか。

こうした「常識では思いつかない発想」は、将棋に限らずさまざまな領域に広がってきています。例えば、ビジネスの現場でも私たちは日々「斬新なアイデア」を求められます。「そんなに毎日新しいビジネスアイデアなんて思いつかないよ。それこそ、代わりにAIが考えてくれよ」と思ったことは一度や二度ではありません。

AIと創造性をめぐる議論は、この連載でも何度か取り上げてきました。

上記の対談で紹介した電通のAIコピーライター「AICO」などは、コピーライターの仕事をサポートするクリエイティブツールの1つです。

最近では博報堂とシステム開発のTISが、企画担当者のアイデア出しを支援するサービス「AIブレストスパーク」を共同開発しました。博報堂が培った知見を基に、アイデアやコンセプトのきっかけとなるワードやフレーズを大量に自動生成してくれます。

AIAIブレストスパーク」(公式サイトより)

「発想する」「アイデアを出す」という領域は人間にしかできないように思いますが、AIはどのように人間をサポートしてくれるのでしょうか。AIブレストスパークの開発担当者に話を聞きました。

【no.376】ディープラーニングを超える汎用AIツール「Gen」を開発、MIT

ディープラーニングを超える汎用AIツール「Gen」を開発、MIT

マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、2019年6月下旬に米アリゾナ州フェニックス市で開催されたカンファレンス「Programming Language Design and Implementation」で、新しい確率的プログラミングツール「Gen」に関する論文を発表した。

Genを使えば、初学者でも簡単に人工知能(AI)に触れることができ、専門家は高度なAIプログラミングが可能になる。Genユーザーは方程式を扱ったり、高度なコードを記述したりすることなく、コンピュータビジョンやロボット工学、統計など、AIが適用されるさまざまな分野のモデルやアルゴリズムを作成できる。専門研究者であれば、Genを用いてこれまで実現できなかった、予測タスクに使われる洗練されたモデルや推論アルゴリズムを作成できる。

研究者は論文で、3次元空間内のヒトの姿勢を(不十分なデータから)推論する短いGenプログラムを紹介した。これはコンピュータビジョンにおける難しい推論タスクだ。この問題を容易に解くことができれば、自律システムや人と機械のやりとり、拡張現実(AR)などに応用しやすくなる。

Genは、グラフィックス描画やディープラーニング、ある種の確率シミュレーションを実行するコンポーネントを含んでいる。こうした多様な技術の組み合わせが、推論タスクの高い精度と、処理速度の改善につながっている。

Genのアーキテクチャ(左)と一般的な確率的プログラミングアーキテクチャ(右端)の違い(出典:Gen: a general-purpose probabilistic programming system with programmable inference

研究者によれば、シンプルであること、さらに場合によっては自動化のおかげで、初心者から専門家まで、誰でもGenを容易に利用できる。

「Genを開発した動機の一つは、コンピュータ科学や数学の専門知識が少ないユーザーでも、自動AIにアクセスできるようにすることだった。さらにわれわれは、専門家が簡単かつ迅速に、AIシステムの反復開発やプロトタイピングを行えるようにすることも目指している」(MITのElectrical Engineering and Computer Scienceで博士課程に所属するMarco Cusumano-Towner氏)

【no.375】画像内のオブジェクトを自然に置き換えるAIをMITとIBMが開発

画像内のオブジェクトを自然に置き換えるAIをMITとIBMが開発

画像の中から指定の被写体を認識したり、その領域を自動で切り抜いたりといったことは、すでに画像編集ソフトや、スマートフォンのカメラアプリで実現していますが、そこからさらに進んで、オブジェクトを置き換えるなど自然な編集を行うAIが登場しました。

MITとIBMの研究者チームは、AIを用いて写真などの画像の中に、自然な形で他のオブジェクトを埋め込んだり、消したりできるツールを作成しました。現在、GANpaint Studioとしてオンラインデモが公開されています。

AIの学習にはGAN(敵対的生成ネットワーク)が用いられています。これは、生成ネットワークと識別ネットワークの2つのネットワークを使い、それ自身に学習をさせるというもの。

たとえば、生成ネットワークが猫の画像を生成し、識別ネットワークはそれが猫であるかどうかを判定。生成ネットワークは、識別ネットワークに本物だと判定させるためにより精度の高い画像を生成するよう学習し、識別ネットワークは、より正確に判定するために学習を行います。

GANにより学習したAIは、木や芝生、ドアなどのオブジェクトの種類やサイズを指定し、それを挿入したい箇所を選択すると、元の画像に溶け込むようにそれを配置します。ただし、不自然な形の画像挿入は行いません。たとえば、空に芝生や、地上に雲を描いたりはしないわけです。

興味深いことに、これは研究者が予想していたものではなく、AI自身が物体の配置についての規則性を学習したとのこと。

研究チームの1人で、MITの学生であるDavid Bauは、いまのところ、機械学習はブラックボックスであり、常に改善方法が分かっているわけではないと言います。しかし、GANpaint Studioの研究が、ニューラルネットワークとその基礎となる構造を理解するに役立つ可能性があるとしています。

また、この技術を使うことで、編集された偽の画像を識別できる可能性があるとのことです。

GANpaint Studioに関する論文は、8月にロサンゼルスで開催されるSIGGRAPHのカンファレンスで発表される予定です。

【no.374】AI関連発明の特許出願状況を調査しました

AI関連発明の特許出願状況を調査しました

特許庁は、近年注目されているAI(Artificial Intelligence;人工知能)関連発明の特許出願について、国内外の状況を調査しました。

1.背景

深層学習(ディープラーニング)を中心としたAI技術の発展に伴い、AI関連発明(※1)の特許出願に対する関心が高まっています。そこで特許庁は、AI関連発明の特許出願について、国内外の状況を調査しました。

※1 AIのコア技術に関する発明(国際特許分類G06Nに対応するもの)に加え、AIを各技術分野に適用した発明を含めたもの。

2.調査結果概要

(1)AI関連発明の国内特許出願件数は、第三次AIブームの影響で2014年以降急増しており、2017年は約3,100件(前年比約65%増)でした。そのうち、AIのコア技術に関する出願は、約900件(前年比約55%増)でした。

図1 AI関連発明の国内特許出願件数の推移

(2)近年のAI関連発明に用いられている主要な技術は機械学習です。その中でも深層学習(ディープラーニング)に言及する出願は2014年以降急増しており、2017年の国内のAI関連発明の特許出願は、約半数が深層学習に言及するものです。

図2 深層学習に言及するAI関連発明の国内特許出願件数の推移

(3)AIの適用分野としては、画像処理や情報検索・推薦、ビジネス関連、医学診断分野が目立っています。また、近年は特に制御・ロボティクス分野への適用が増加しています。

図3 AI関連発明の適用分野の推移(2017年の出願件数を表記)

(4)AIのコア技術に関する出願は、五庁(日本、米国、欧州特許庁、中国、韓国)及びPCT国際出願(※2)のいずれにおいても増加傾向であり、中でも米国と中国の出願件数は突出しています。
※2 1つの出願願書を条約に従って提出することによって、PCT加盟国であるすべての国に同時に出願したことと同じ効果を与えるもの。

図4 五庁及びPCT国際出願における、AIのコア技術に関する出願件数の推移
(JP:日本、US:米国、EP:欧州特許庁(EPO)、CN:中国、KR:韓国、WO:PCT国際出願(出願人国籍問わず))

【no.373】「AIウイスキー」「AI俳句」も可能、人工知能が“発想と開発”を劇的に変える

「AIウイスキー」「AI俳句」も可能、人工知能が“発想と開発”を劇的に変える

新商品開発に人工知能(AI)を導入することで、AIと協働して新たなアイデアを生み出すことはできないだろうか。たとえば、新たな商品をAIから提案されたらどうだろう。消費者の好み、ニーズ、これまでの販売数を加味し、その傾向を踏まえた商品を開発するのだ。我々は提案された多様な商品から選択し、さらにその上で創造力を発揮することにより、これまで以上に受け入れられる商品を生み出せるかもしれない。

武蔵野大学 データサイエンス学部 データサイエンス学科長 准教授 中西 崇文

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商品開発をAIと進めるようにするとどんなことができるだろうか

(Photo/Getty Images)

AIが考え出す新しいウイスキー

スウェーデンのウイスキー会社マックミラは、米マイクロソフトやフィンランドのコンサルティングファーム フォーカインドと連携して、新たなウイスキーを機械学習によって考案する「AIウイスキー」の提供を開始した。

ウイスキー作りといえば、樽の状態や形、その配列、原酒やブレンドの方法など、その組み合わせにより、さまざまな個性を持った酒が生み出せることで知られる。新しいウイスキーを完成させるには、専門家や熟練した職人の知識、勘やコツが必要になることが多いのだ。

そのような専門家とAI連携して新たなウイスキーを考案することにどんな意義があるだろうか。AIウイスキーでは、既存の味や樽の組み合わせ、消費者の好み、販売数などを機械学習にかけることで、7000万件以上のレシピを自動生成した。この中から専門家や熟練職人が最適なウイスキーを選び出す作業を担っている。

AIが新商品開発に参加する意義

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AIウイスキーが示す、商品開発分野におけるAIの可能性とは

(Photo/Getty Images)

7000万件以上のレシピから専門家や熟練職人が選び出す作業はいかにも大変そうだ。逆に作業が増えてしまうのではないか。

専門家や熟練した職人は、過去の経験に基づいた知識、勘やコツから、どのような組み合わせがどのような味になるのかだいたい予測がつくのだそうだ。そのため、過去に発売したことのあるラインアップに近い味だけど新しいものを作りたい場合に役立つのだという。

過去に発売したラインアップから、共通の樽の状態や形や配列、原酒やブレンドの方法などの項目について、7000万件から「絞り込み検索」をかける。絞り込まれた中から発想できなかったような組み合わせを選べば、「これまでのラインアップに近いけれど新しい味」を簡単に選択できるというわけだ。

そのように選ばれたレシピを専門家や熟練した職人によって検証していけば、一から樽の状態や形や配列、原酒やブレンドの方法の組み合わせを考えるよりも簡単に新しい味にたどり着くことができる。

つまり、AIを利用することで消費者の好み、販売数などの制約条件から「新たな味」を膨大に生み出すことができる。それを発想の源として人間が最終的に新たなウイスキーの味を決めるのだ。

AIウイスキーにより、人間では考えつかないレシピが生まれ、既存のメニューの改善に生かせれば、製品開発のスピードが上がる可能性もある。製品の改良が進めば既存のウイスキーファンの満足度も向上し、新たな購買層獲得に寄与できるだろう。

AIによる製品開発を実現できたのはウイスキーには限らない。ウイスキーのブレンドなど「組み合わせ」によりその性質が決まるような製品やサービスなら応用される可能性が十分ある。

ここで注目したいのは、AIウイスキーが生み出した「レシピ数」である。7000万件というレシピ数は、人間には到底出せない。AIは制約条件を満たす解を大量に列挙するような「創造」は非常に得意だ。ただ、先ほど述べた通り、現状のAIでは大量に生み出したアイデアの中から「どれがよいか」を判断する機能を実現することは難しい。

このような「創造性を発揮するAI」を有効活用するには何が必要なのだろうか。他のAIなどとの比較から考察しよう。