【no.326】ブラジルで急伸のフードデリバリーiFood、AIラボの設立を宣言

ブラジルで急伸のフードデリバリーiFood、AIラボの設立を宣言

ブラジルのフードデリバリー分野のユニコーン企業「iFood」は、昨年11月に5億ドル(約560億円)の資金を調達したが、同社はAI(人工知能)領域に巨大な投資を行うことが明らかになった。

サンパウロ本拠のiFoodは4月上旬、2000万ドルの資金を同社の「AIアカデミー」に割り当て、配送の効率化にむけてマシンラーニングやディープラーニング、行動科学の研究を進めると宣言した。

同社は、ブラジルのフィンテック界のユニコーン「Nubank」のデータサイエンス部門長のSandor Caetanoを引き抜き、AI部門の主任に据える。iFoodのAIラボは年内に100人を新たに雇用し、サンパウロ郊外のイノベーションセンターOnovolabなどで、リサーチを進めていく計画だ。

iFoodはブラジルのフードデリバリー市場でシェア86%を誇り、現地で2位の「ウーバー・イーツ」の17倍の規模という。同社は先日、月間注文件数が174万件に達したと発表し、前年同期比で130%の成長を遂げた。

iFoodは既にAIテクノロジーの利用を進めており、今後は地元の大学などとも連携し、マシンラーニングやディープラーニングの研究を行う計画だ。同社はレストラン向けの分析ツールも提供し、地域や日別の人気メニューの提案も行う。さらに、新規出店を計画中のオーナーらの、物件探しも支援する。

昨年11月のiFood の5億ドルの資金調達は、ラテンアメリカのスタートアップ界で、史上最大の調達額として話題となった。同社はそのうち4億ドルを2019年の事業拡大に注ぐことを宣言していた。

【no.325】SK-II、AIやアイトラッキングを駆使したスキンケア・ストアを展開 自分のペースでの商品体験を演出

SK-II、AIやアイトラッキングを駆使したスキンケア・ストアを展開 自分のペースでの商品体験を演出

SK-IIはスキンケア・ショッピング体験革新の試みとして、2019年4月24日(水)から4月30日(火)にかけて、伊勢丹新宿店本館1階にて期間限定イベント「SK-II Future X」を開催する。

「SK-II Future X」では、来店者一人ひとりが、フィジカルとデジタルが交差する「フィジタル(フィジカル+デジタル)」な環境を自由に行き来しながら、ストレスなく自分に合ったやり方で自身の肌と向き合うことができるようになっている。

本イベントでは、AIを活用した肌測定体験「マジック スキャン」も提供。鏡の前に3分間立つことで、肌の状態や肌年齢の測定、さらに測定結果に応じたお勧め製品の紹介までを行う。製品のお試し体験のブースもあり、アイトラッキング技術を搭載した「マジックミラー」が、来店者の視線を感知し、製品情報や使い方を表示する。

また、「SK-II フェイシャル トリートメント エッセンス」の限定商品を購入すると、自動販売機「ピテラ パワー ベンディングマシン」で、ボトルが限定デザインに変わっていく瞬間を体験できる。その他にも、180度動画が撮影できるセルフィーブースや、天然由来成分「ピテラ」について訴求するARウォールも設けられている。

SK-IIは、信頼でき、意味のある体験を提供してくれるブランドだけを求めるという今の生活者とのつながりを持つため、「Future X」と銘打ち、スキンケア・ショッピング体験の革新に取り組んできた。アジア各国でポップアップストアを開催したり、CES 2019への出展を行うなど、テクノロジーを取り入れた未来型の購買体験を模索している。

SK-II グローバル バイスプレジデントのサンディープ・セス氏は「我々はお客様に、スキンケア・ショッピングの主導権をお戻ししたいと考えています。お客様は、自分の肌や製品について誰の目も気にせず、誰かに決めつけられたり押し付けられたりすることなく、自分のペースで知ることができるのです」とコメントしている。

【no.324】AI考案の新スポーツ「Speedgate」発表。400競技を教えたニューラルネットワークが生成

AI考案の新スポーツ「Speedgate」発表。400競技を教えたニューラルネットワークが生成

既存のスポーツの多くは、その発祥の地における伝統行事など文化的活動をルーツとしているものが多いとされます。もちろん、最近ではまったく新しく作られたスポーツも数多くあります。デザインエージェンシーAKQAは、AIを使って新スポーツ「Speedgate」を作り上げました。

Speedgateは初めて、AIによってなにもない状態から作り上げられたスポーツです。この競技は6人制で、専用ボールがない場合はラグビーの練習用ボールを使用します。フィールド内にはサッカーのセンターサークルのような円が3つあり、それぞれにラグビーのゴールのようなゲートが立っています。

プレーヤーは中央のゲートを通るようにボールをキックしてプレーを開始し、その後相手のゴールを割ることができれば2ポイントの得点が入ります。さらに、ゴールしたボールは、ゴールの後ろ側から蹴り返して逆方向に通過させれば1ポイントが加算されます。なお、センターサークルには人が入ることはできません。さらにボールは3秒以上保持してはならず、次々とパスをしていく必要があります。

とはいえSpeedgateのウェブサイトには、ほかにも細かいルールが記されており、なかなか一発でルールを覚えてすぐプレーというのは難しそうにも思えます。しかし、実際のところはなかなか熱中できるところがある模様で、今後もしかすると本格的なスポーツとして拡がる可能性もあるとのこと。

AKQAはオレゴン州スポーツ協会とSpeedgateについて話し合いを持っており、夏頃にはローカルリーグを設立するかもしれません。

AKQAは既存の400種類のスポーツに関する情報をニューラルネットワークに流し込み、Speedgateを生み出させました。なるほどいわれてみれば、動画を見る限りラグビーやサッカー、バスケットボールなどをミキサーに入れてブレンドした感が感じられます。Speedgateのほかにも、いくつかのスポーツが作られましたが、それらはたとえば「フリスビーを爆発させる」というルールだったりして、実現不可能/困難なものだったとのことでした。

Speedgateは、おそらく既存のメジャーなスポーツに変わるほどのものではないものの、AIが本格的かつ矛盾しないルールをもつスポーツをも生み出せることを示す例のひとつを提示したと言えそうです。

【no.323】AIを活用したサービスに好意的な人が増加、Accentureの6カ国調査で判明

AIを活用したサービスに好意的な人が増加、Accentureの6カ国調査で判明

Accentureは米国、オーストラリア、フランス、ドイツ、シンガポール、英国の6カ国で市民6000人を対象に、行政に関する幅広いトピックスについて調査を行いました。これによると、市民の大半は行政機関や民間企業が提供する人工知能(AI)を活用したサービスを、1年前と比べて同等またはそれ以上に好意的に受けとめていることが明らかになりました。

行政機関のAI活用に懸念を抱く人はわずか25%

 1年前と比べてAIを活用したサービスをより好意的に受けとめていると答えた人は全体の45%。あまり変わらないと回答した人は43%。受容度が下がっていると答えた人は12%でした。

今回の調査では、回答者全体の62%が、行政機関は民間企業と同等またはそれ以上にAIを活用したサービスを提供する資格があると回答しています。また56%が、新たな行政サービスまたは既存サービスの向上に向けて行政機関がAIを活用することを支持すると回答。一方で、行政機関によるAIの倫理的かつ責任ある利用について懸念を表明したのは、わずか25%でした。

今回の調査は日本では実施されていませんが、Accenture日本法人であるアクセンチュア公共サービス・医療健康本部 マネジング・ディレクターの水田 響氏は「日本においては行政サービスの抜本的な効率化・高度化が喫緊の課題です。課題解消に向けてはAIをはじめとする先進デジタル技術のさらなる活用は不可欠です」とコメントしています。

行政を効率化し、隠れた課題を見つけ出して先手を打って対策する、さらには画一的でない一人一人に合ったサービスを提供する、そんな正しいAI活用を期待したいものです。

【no.322】「AI大国」中国について知っておきたい5つのこと

「AI大国」中国について知っておきたい5つのこと

「AI大国」中国について知っておきたい5つのこと

オックスフォード大学で中国の人工知能(AI)開発について研究しているジェフ・ディン博士は、昨年1年間に得た重要な点ついての考察を最近発表した。中国のAI産業の現状をよく反映しているので、内容を以下に簡単にまとめて紹介する。

1.  中国語を話すAIコミュニティと英語を話すAIコミュニティには非対称性がある
中国人研究者の大半は英語を読むことができるし、欧米のほぼすべての主要な研究開発の内容はすぐに中国語に翻訳される。だが、逆もまた然りとはいえない。そのため、中国の研究コミュニティは英語圏の研究コミュニティよりも両陣営で起きていることをずっとよく理解している。中国のAI産業が成長を続けるにつれて、欧米人にとっては大きなデメリットとなるかもしれない。

2. 欧米人は中国のAIの能力を過大評価している
過大評価の原因は、一部はメディアにあり、一部は「AI軍拡競争」という物語を自らの課題を進めるために利用している欧米の関係者にある。だが、欧米人が中国企業の技術力や能力を正確に理解できていないことも一因だ。中国人作家らの詳しい調査によると、中国のAI大手大半は実際にはそれほど印象的なテクノロジーを持ち合わせておらず、一般に考えられているよりアルゴリズムは洗練されたものではないし、研究規模も小さい。

3. 中国政府はAIを社会統治のための道具として捉えている
中国のコンサルティング企業、ヨウ・インテリジェンス(Yiou Intelligence)の報告書によれば、AI企業上位100社のうち、もっとも多いのはセキュリティ(治安維持や安全保障)関連の企業だ。顔認識を扱うスタートアップ企業、警備や安全監視のプラットホームを提供する企業も含まれている。中には、中国の少数民族であるウイグル族の住む新彊(しんきょう)自治区に対する政府の監視社会体制に直接関与している企業もある。ほかにも、中国の監視技術を中央アジアなどに輸出している企業もある。

4.  AI研究は中国・米国間の協力によって大きな利益を得ている
中国企業と米国企業の間ではこれまで「米国製」や「中国製」という言葉の意味が揺らぐほど、才能やアイデアが自由に飛び交ってきた。たとえば、米本社を除けば最大規模の研究機関である北京のマイクロソフト・リサーチ・アジア(MSRA)がある。20年間の歴史の中で、MSRAはマイクロソフトの研究活動の境界を押し広げるとともに、中国におけるAIエコシステムを形成する上で重要な役割を果たしてきた。中国で人気を博しているチャットボット「シャオアイス(XiaoIce)」のようなプロジェクトは、中国の膨大なユーザー基盤を活用して同社のAI技術に磨きをかけている。またMSRAは、中国の主要AI企業で活躍する数千人もの才能ある中国人研究者を育成してきた。

5.  中国人はAI倫理に関心がある
確かに中国人と米国人のプライバシーに関する考えは異なるかもしれないが、中国人がプライバシーをまったく気にしないというのは間違いだ。大手テック企業はプライバシー侵害論争にはまり込み、地方当局はデータ保護に違反した企業を訴えている。また、中国の哲学者や研究者は倫理に関するさまざまな会話を国レベルの議論に引き上げた。

【no.321】ソフトバンクロボティクス、AI清掃ロボットで8社と「AI Clean パートナー」に

ソフトバンクロボティクス、AI清掃ロボットで8社と「AI Clean パートナー」に

ソフトバンクロボティクスは4月10日、法人を対象とするオフィスや業務フロア向けのバキュームAI清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」における「AI Clean パートナー」として、アクティオ、大塚商会、シーバイエス、ソフトバンク、ダスキン、ディーコープ、リコージャパン、リ・プロダクツの8社とパートナー契約を締結したと発表した。

バキュームAI清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」
バキュームAI清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」

今後、各パートナーと同社は連携し、Whizを活用して人手不足や清掃員の高齢化などの清掃業界が抱える課題の解決を目指す。

また、Whizを、希望する施設の清掃に最大1カ月無料で活用できる「AI Clean 元年」キャンペーンを4月10日から開始する。

第1弾の申し込み受け付けは4月30日まで。1日活用した後に契約する場合は、その後1カ月分が無料で利用できる。第2弾の申し込みの受け付け開始は、夏以降に予定している。同キャンペーンでは、第1弾で1000施設、第2弾で2000施設の合計3000施設に提供するという。

なお、AI Clean パートナーは、AI Clean 元年キャンペーンの申し込み受け付けのほか、当選者の希望する施設におけるWhizの清掃ルートの作成などで協力する。さらに、法人向けにWhizの販売やレンタルを行うなど、さまざまな形でWhizのビジネス展開に協力する予定。

【no.320】イノベーションを担うリーダーが把握しておきたい自動化、AI、ロボット

イノベーションを担うリーダーが把握しておきたい自動化、AI、ロボット

競争相手の先手を取り続けるためには、最高情報責任者(CIO)や最高技術責任者(CTO)、最高デジタル責任者(CDO)などの業務やビジネスモデルへの最新技術の導入を担う企業幹部が、インテリジェントマシンやロボティックプロセスオートメーション(RPA)ボット、人工知能(AI)、ロボットなどの自動化技術に目を向ける必要がある。自動化には、「認識」(sense)のための技術(いつどのような理由でアクションを起こすかを決定するための情報の収集と評価)から「適応」(adapt)のための技術(アクションの方法を決定し、タスクを順序付けて実行する)まで、広範囲の多様な技術が包含されている。真の自動化を実現するには、この両方のタイプのアクションが必要になる。

完全な自動化には認識と適応の両フェーズの技術が必要

自動化によって従来よりも幅広い業務プロセスが変革されつつあることで、この技術への注目が高まっている。自動化は仕事を変え、仕事の進め方を変えている。また顧客体験を支える業務を変容させ、製品やサービスのデザイン、生産、流通、サポートを従来よりもはるかに効果的なものにするために役立っている。自動化は顧客体験の改善に直接的に寄与するようになっており、この技術によって初めて、パーソナライゼーションなどのソリューションを大規模に導入することが可能になった。

CIOやCTO、CDOなどの技術的なイノベーションの推進を担うリーダーは、自動化技術が自社のビジネスに与える幅広い影響を常に意識する必要がある。自動化が効果を上げている分野をいくつか挙げてみよう。

  • AIで強化されたRPA。AIは自動化の一側面にすぎず、AIに関連する領域には多くのアルゴリズムやツールが含まれている。しかし多くの自動化技術では効果を高めるためにAIが利用されており、近い将来にそうなると見込まれているケースも多い。例えば、RPAはすでに業務で大きな価値を生み出しているが、コグニティブAIを組み合わせることで、今後さらに多くのビジネス課題をより洗練された方法で解決できるようになるだろう。
  • ソフトウェア定義インフラストラクチャ。自動化は企業インフラの基本的な部分でも始まっている。実際、最近ではCIOが管理しているインフラの大部分がソフトウェアを基盤にしている。今では、コンテナを含む「Infrastructure as Code」が現代のエンタープライズインフラストラクチャの基礎になっている。

【no.319】「エンジニアじゃなくていい」 メルカリが求めるAI人材の条件

「エンジニアじゃなくていい」 メルカリが求めるAI人材の条件

「どういうデータを取得し、どのようにプロダクトに落とし込むかという発想を持つ人がいればAIは加速する」――メルカリ取締役CPO(Chief Product Officer)の濱田優貴さんは、こう話す。

同社は3月28日に技術説明会を開催。同社は現在AI(人工知能)技術に注力しており、フリマアプリ「メルカリ」でも積極的にAIを組み込んだ機能を提供している。

AI人材の採用を強化する中、同社がAIに取り組む理由や、フリマアプリ「メルカリ」の今後について語った。

目指すのは「かざすだけで出品」

メルカリで特に注力するのが、売ることの簡略化だ。ECサイトの登場で、多くの人にとって商品の売買は身近なものになってきたが、濱田さんは「売ることへのハードルはまだ高い。AIを使って売ることをもっと簡単にしたい」と話す。

AIAIを活用して出品を簡便化

売ることの簡略化には既に取り組んでおり、現状は、スマートフォンで写真を撮ると商品名、カテゴリー、ブランドなどを自動で表示する機能を提供。本、ゲーム、CDなど一部の分野では、販売金額まで提案してくれる。

今後はディープラーニングによる画像認識や物体認識の技術を生かし、スマホカメラを商品にかざすだけで出品できる機能を追加する予定。ノートPCやカメラなど一部の商品では、スマホカメラをかざすだけで「メルカリで平均●●円で売れています!」といった推定価格を表示できるプロトタイプも開発した。

購入者向けには、欲しい商品の写真を撮るだけで類似の出品物を探せる機能を開発中。名前が分からない商品も検索できるようにし、購入機会の損失を減らす狙いだ。

AI写真検索機能も用意する

「AIを加速させる人材」の条件

同社は現在、AI人材として機械学習エンジニア約20人、開発したAIをサービスに組み込む技術者約10人を抱えている。4月には新卒約10人が入社し、10月に海外から新卒約20人が入社する予定だ。

AIAI人材を積極採用

濱田さんは「AIを作る人間と使う人間は今後分かれてくる。AIのモデルを作るのは引き続き専門性が必要だが、どのようなデータを取得してどのようにプロダクトに落とし込むかを考えるのはエンジニアでなくてもいい」とし、「いまはそれを考えられる人材が不足している。エンジニアはAIに食わせるデータを作ったりする作業がほとんどなので、正しくAIを理解できる知恵のある人がいればAIが加速すると思う」と、求める人材像について語った。

【no.318】GoogleはAI倫理の多様性のために「多様性の敵」を取り入れるべきか

GoogleはAI倫理の多様性のために「多様性の敵」を取り入れるべきか

Googleさんが3月26日に立ち上げたAI倫理原則について考える外部専門家による諮問委員会ATEACが、従業員やメンバーの反対にあって、わずか10日後の4月5日に解散になりました。

 ateac
Googleが紹介したATEACの8人のメンバー

AIは原子力と同じくらい、というか原子力以上に、使い方次第で破壊的な武器にもなるということで、AIの最先端をいくGoogle、MicrosoftAmazonはそれぞれに批判されたりその対策を提示したりしています。

GoogleがATEACを立ち上げることになったきっかけは、同社が米国防総省(DoD)とAI開発プロジェクト「Project Maven」に関する契約を結んだことに対して社内で批判が高まったことでした。

Project Mavenはおおまかに言うと、戦場で敵兵をピンポイントで検出するためのツールを開発するプロジェクト。無駄なく確実に敵だけを殺せるので結果的に多くの命を救うことになると説明していましたが、かなりの違和感が。というわけで、従業員が請願書を出し、スンダー・ピチャイCEOは「契約はもう更新しない」と約束し、Googleが守るべきAI原則を発表しました。

 pichai
AI倫理原則についてのピチャイさんのツイート

ATEACは、GoogleがこのAI原則をちゃんと守って行動しているかを見守り、サポートするためのものになるはずでした。

だから、従業員は立ち上げに反対したのではなく、問題はそのメンバーだったのです。8人のメンバーの1人、ケイ・コールズ・ジェームズさんが、ドナルド・トランプ大統領への影響も大きい保守系シンクタンクHeritage Foundationの所長で、日頃からLGBTQや移民に対する理解のない発言を繰り返しているので、この人をメンバーにするのは絶対反対!ということでした。

 james
Heritage Foundationのケイ・コールズ・ジェームズ所長

Googleはこの反対に対し、ジェームズさんをメンバーにしたのは「思考の多様性(ダイバーシティ)のため」と説明しましたが、従業員有志は「これはダイバーシティという言葉の武器化だ」と批判。ジェームズさんをメンバーにするということは、彼女の(アンチ弱者な)意見を支持しているということで、それは受け入れられない、としています。

メンバーに選ばれた英バース大学のジョアンナ・ブライソン准教授は、あるメンバー(ジェームズさんのことでしょう)についてGoogleに疑問を呈したら、例えば共和党を含む社会を広く納得させるために多様性が必要だと説明されたとツイートしました。

Googleさんの本心はよく分かりません。本当にダイバーシティを重視した結果だったのかもしれません。いずれにしても、1回くらい会合をもってみてほしかった(予定では年に4回やる予定でした)です。超一流の専門家の意見を聞いて、もしかしたらジェームズさんの考えが変わったかもしれないので。

それから、少し前までGoogleでGoogle Cloud AI担当チーフサイエンティストをやってたスタンフォード大のフェイ・フェイ・リー博士が、Googleを離れて人間中心のAI研究所「Human-Centered AI Institute(HAI)」を立ち上げたことも気になります。

 hai
HAI立ち上げについて語るフェイ・フェイ・リー博士

リーさんはHAI立ち上げに当たり、Googleにいる間、IT業界がAIに多大な投資をしているのを目の当たりにして、人間中心のAI研究所の設立が非常に重要だと考えたと語りました。これって、Googleのやり方を見ていたら、人間中心の研究所を別に作らないと危険だと思ったということかな、と。

AI倫理については、GoogleやAppleが所属する非営利団体Partnership on Artificial Intelligence to Benefit People and SocietyやTeslaのイーロン・マスクCEOや元Y CombinatorのCEO、サム・アルトマン氏が立ち上げた非営利のAI研究企業OpenAIなどの、企業が当事者となっている団体や、もちろん大学の研究所などが活発に議論しています。

難しすぎるテーマではありますが、議論の行方については関心を持ち続けていたいところです。

【no.317】マックがテック化。約330億円でAIメニューを導入へ

マックがテック化。約330億円でAIメニューを導入へ

AIを使っておすすめメニューを提案してくれる

今回マックがお買い上げしたのはDynamic Yield Ltdというニューヨークを拠点とする、「意思決定論理テクノロジー」に特化するスタートアップ企業。端的に言えば、AIを使って人々がどんなものを好きか判断し、メニューを人々が関心を持つ順番に表示できるようにする、ということらしいです。

これはすでにFacebookがやっているもので、ユーザーがウェブサイトを見る嗜好性や投稿にいいねをつけたりコメントをつけたりする動向を学習して、ユーザーが関心を寄せるフィードを表示するもの。McDonald(マクドナルド)はこれにより、1日の特定の時間や場所によってオススメするメニューをAIでカスタマイズできるというわけ。

たとえば、早朝だったらコーヒーやエッグマックマフィンをサジェストし、暑い日ならマックシェイクにポテトをサジェストするという感じでしょうか。アルゴリズムが現在選択されたアイテムに基づいてプラスするアイテムをオススメするので、ビッグマックを頼んだらポテトと炭酸飲料がサジェストされるという仕組みのよう。

マック=テック企業への道

今回の買収は、McDonaldがこの20年間にしてきた中でも最大の投資。ここにきてテックな会社になろうとえいやっと思い切ったわけですね。最近ではセルフサービスキオスクを作ったりUberEatsのデリバリーを採用したり、McDonaldのオリジナルモバイル注文アプリを開発したりしてIT化も著しいですし。

McDonaldは、2019年にドライブスルーにこのAIを組み込むことを計画しており、その後は国際的にも展開していく予定です。さらにAI技術はセルフサービスキオスクとアプリにも組み込む予定とか。昨年この技術をすでに3万8000店舗で試しています。

でも、正直に言わせてもらえば、マックのアイテムはもう定番になりすぎてて、ここまでアルゴリズムに投資するのはちょっと馬鹿げてるような気もしないでもないですが。だってビッグマックにはポテトと炭酸飲料がつきものだし、暑い日に頼みたいメニューは決まってますし。まあ、この買収は企業のアルゴリズム崇拝の象徴のようなものかもしれません。非時系列フィードさえあれば間違いないと。

AIになってもスマイルをゼロ円で買えるのかどうかが気になるところですね。