【no.376】ディープラーニングを超える汎用AIツール「Gen」を開発、MIT

ディープラーニングを超える汎用AIツール「Gen」を開発、MIT

マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、2019年6月下旬に米アリゾナ州フェニックス市で開催されたカンファレンス「Programming Language Design and Implementation」で、新しい確率的プログラミングツール「Gen」に関する論文を発表した。

Genを使えば、初学者でも簡単に人工知能(AI)に触れることができ、専門家は高度なAIプログラミングが可能になる。Genユーザーは方程式を扱ったり、高度なコードを記述したりすることなく、コンピュータビジョンやロボット工学、統計など、AIが適用されるさまざまな分野のモデルやアルゴリズムを作成できる。専門研究者であれば、Genを用いてこれまで実現できなかった、予測タスクに使われる洗練されたモデルや推論アルゴリズムを作成できる。

研究者は論文で、3次元空間内のヒトの姿勢を(不十分なデータから)推論する短いGenプログラムを紹介した。これはコンピュータビジョンにおける難しい推論タスクだ。この問題を容易に解くことができれば、自律システムや人と機械のやりとり、拡張現実(AR)などに応用しやすくなる。

Genは、グラフィックス描画やディープラーニング、ある種の確率シミュレーションを実行するコンポーネントを含んでいる。こうした多様な技術の組み合わせが、推論タスクの高い精度と、処理速度の改善につながっている。

Genのアーキテクチャ(左)と一般的な確率的プログラミングアーキテクチャ(右端)の違い(出典:Gen: a general-purpose probabilistic programming system with programmable inference

研究者によれば、シンプルであること、さらに場合によっては自動化のおかげで、初心者から専門家まで、誰でもGenを容易に利用できる。

「Genを開発した動機の一つは、コンピュータ科学や数学の専門知識が少ないユーザーでも、自動AIにアクセスできるようにすることだった。さらにわれわれは、専門家が簡単かつ迅速に、AIシステムの反復開発やプロトタイピングを行えるようにすることも目指している」(MITのElectrical Engineering and Computer Scienceで博士課程に所属するMarco Cusumano-Towner氏)