【no.422】巨大AIチップが乗り越えた5つの課題とは、Hot Chipsリポート

巨大AIチップが乗り越えた5つの課題とは、Hot Chipsリポート

大手企業やスタートアップが開発にしのぎを削る人工知能(AI)専用チップに異形の新顔が登場した。1枚のウエハーから1つのダイだけを切り出す「ウエハースケール」の巨大AIチップだ。2019年8月に開催されたプロセッサーの祭典「Hot Chips 31」での発表からAIチップの最新動向を探る。

毎年8月に開催されるプロセッサーのカンファレス「Hot Chips」。米スタンフォード大学で開催された今回も盛況で、昨年(2018年)に過去最高を記録した900人ほどをさらに上回る1100人以上が参加した。発表されたプロセッサーの応用先もIoT(Internet of Things)端末から携帯機器、パソコン、サーバー、車載機器まで多岐にわたる。昨年、一昨年に続いて今回も深層学習(ディープラーニング)のトレーニング(学習)や推論に向けたアクセラレーターの発表が相次いだ。

Hot Chips 31講演会場の様子
(撮影:日経 xTECH)
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215mm角の巨大AIチップに注目集まる

中でも最も注目を集めたのが米国のスタートアップ、セレブラスシステムズ(Cerebras Systems)が試作した215mm角(4万6225mm2)の超大型半導体チップ「Wafer-Scale Engine(WSE)」である。口径300mmのSiウエハーから1つのダイだけを切り出し、いわゆる「ウエハースケール」のサイズを誇る。主に深層ニューラルネットワーク(DNN)で利用する積和(MAC)演算などに向ける。同社は講演でGPUのダイサイズで最大を誇る815mm2の「Volta GV100」を引き合いに出し、その大きさをアピールした。登壇したセレブラスの共同設立者でChief Hardware ArchitectのSean Lie氏がこの巨大なチップを掲げると、発表会場は大いに沸いた。