【no.439】「シリコンバレーよりメルカリ」、海外のすご腕AI技術者が殺到する秘密

「シリコンバレーよりメルカリ」、海外のすご腕AI技術者が殺到する秘密

メルカリに限らず、AI(人工知能)技術を競争力の源泉にしているAIスタートアップの多くは、エンジニアに占める外国人比率が他の企業より飛び抜けて高い。例えば人事や介護分野のAIを開発するエクサウィザーズは半分弱、エッジデバイス向けAI技術を開発するLeapMindは3割が外国人のエンジニアである。

外国人エンジニアを積極的に採用する理由は明白だ。AIスタートアップの人事担当者は「日本人のAIエンジニアは絶対数が足りない」と口をそろえる。

救いとなるのは外国人のAIエンジニアだ。米リンクトイン(LinkedIn)などのSNS(交流サイト)を通じて求人を出すと、日本人よりも外国人からの応募が多くなるという。エクサウィザーズの人事担当者は「創業当初から優秀なエンジニアを広く求めた結果、自然と外国人比率が高くなった」と語る。

では、外国人AIエンジニアはなぜ就職先として米国ではなく日本を選ぶのか。「東京の生活が好き」「日本文学が好き」「たまたま親の駐在で日本に縁があった」など理由は様々だが、複数のエンジニアは「米国はあまりにもエンジニア同士の競争が激しすぎる」と回答した。

あるエンジニアは「東京は米シリコンバレー周辺のようなエンジニア同士の激烈な競争がない分、目の前のサービス開発に集中できる」と語る。米国のような高い給与は期待できない一方、そこそこの収入で便利な生活を送れるのは東京の大きな利点だという。

今後、大企業かスタートアップ企業かを問わず、AIを競争力の源泉にするなら外国人エンジニアの活用は不可欠なのが実情だ。日本のオフィスで働く外国人AIエンジニアの実像と、人材を引き付け活用するスタートアップ企業の工夫を明らかにする。