【no.541】AIは、どのように攻撃され、どのように守るのか――そのブラックボックスを垣間見る

AIは、どのように攻撃され、どのように守るのか――そのブラックボックスを垣間見る

多くのセキュリティベンダーにとって、「AIで守る」ことはさほど目新しいことではない。これまでも、例えば迷惑メール対策にAI/機械学習が使われている。文面から、その迷惑メール“らしさ”を判断する「ベイズ推定」は機械学習の一種であり、これらは既にソリューションの一部として活用されていると考えていいだろう。

AIは進化し、さまざまな方法で、防御に、そして攻撃に使われている。本特集では「セキュリティにとってのAIとは?」をキーワードに、現在各社で行われている技術研究や取り組みなどを聞く。今回はトレンドマイクロにおける「AI」について、さまざまな視点から同社セキュリティエバンジェリストの山外一徳氏に聞いた。

身近にある攻撃活用例――これも“AI活用”
山外氏はまず、「AIで攻撃を仕掛けていく」という攻撃側の手法を取り上げた。トレンドマイクロの調査の一環で、「ダークウェブ」と呼ばれるエリアに存在する、アンダーグラウンドなチャットサービスでのAI活用事例を発見したという。このチャットツール自体は“正規”のものだが、その上で不正に収集したカード情報やアカウント/パスワード情報などの売買を“チャットbot”が応対しているのだという。売る側はbotに任せてスムーズに売買を完了でき、買う側も的確に不正な情報を入手できる。こういったものが2018年ごろから動いているという。