【no.575】AIがホワイトカラーの仕事も奪う? その時代は、すでに単純な事務作業から始まっている

AIがホワイトカラーの仕事も奪う? その時代は、すでに単純な事務作業から始まっている

児童福祉や養子縁組、メンタルヘルスなどに関するサーヴィスを提供している慈善団体のニューヨーク・ファウンドリングは2018年、“カット&ペースト地獄”に陥っていた。

さまざまな法的要件を満たすためには、異なる文書やデータベース間でテキストを移動させる必要がある。その作業に臨床医や管理スタッフたちが何時間もかけていたのだ。同団体の最高情報責任者(CIO)のアリック・ヒルは、当時のスタッフの年間転職率が42パーセントに達したのは、こうした単調なデータ入力が原因だったと考えている。

「わたしたちは華やかで活気のある事業を展開しているわけはありません」と、ヒルは言う。「単に紙の臨床記録から脱却しようとしているだけなのです」

ニューヨーク・ファウンドリングではそれ以来、退屈な作業を実行するために独自に作成した「ソフトウェアロボット」と呼ばれる単純なプログラムを使って、不満の多かったこれらの作業の大部分を自動化してきた。

プログラムの多くは、例えばテキストが入力されている欄をひとつのデータベースからコピーして別のデータベースに貼り付けるなど、ユーザーのキー操作を記録して模倣することによって構築されている。こうして何時間も続く反復的でストレスを誘発する作業を不要にしたのだ。

この結果、ニューヨーク・ファウンドリングの転職率は17パーセントに減少したという。「非常に驚きました」と、ヒルは言う。