【no.630】プロ野球に“AI解説者”が登場、体操界では3D技術の導入で判定に革命【スポーツのデジタル化】

プレー予測が選手の故障防止にも
AI(人工知能)がスポーツ界で果たす役割はさまざまあり、一つはデータ分析に基づく戦況予測が挙げられる。

「WARP」はサッカー戦況予測AIを搭載した世界初のAIサッカーシミュレーションメディアで、Sports AI社が2017年に立ち上げた。「WARP」はJリーグの公認データであるスタッツデータ、トラッキングデータに加え、サッカー専門媒体が提供する選手情報を反映した約20体のAIを使って10分間の試合を100回実施し、最も確率の高い結果を提示する。これはサッカーくじ「toto」の予想に用いられるなど主にサッカー観戦者向けの技術で、2018年のFIFAワールドカップでは、日本vsセネガル戦の2-2の引き分けという予想を見事に的中させ、注目を集めた。

アメリカの「アマゾンウェブサービス」(AWS)も、プレー予測の面でさまざまな競技に携わっている。機械学習サービス「Amazon SageMaker」を用い、F1では、レース展開の予測や運転技術の評価をテレビ観戦者向けに提供。ラップタイムやタイヤの性能劣化、天気などのデータを反映することにより、たとえば「追い越しを成功させる確率」などが予測できる。タイヤの温度やオーバーヒートが起こる確率までも随時提供されるという。これらのデータにより、レース中の車がどのような状況であるのかがリアルタイムで認知できる。

アメリカンフットボールリーグのNFLは、「デジタルアスリート」という名称のAIをASWと共同で開発している。これは、アメフトにおいて大きな問題となっている、選手の脳震とうを防ぐことが大きな目的だ。「Amazon SageMaker」や画像・動画認識AIサービス「Amazon Rekognition」などの機能を使って選手同士が接触した際の位置関係や速度、加速度、姿勢などを分析し、ケガをしにくい動作を選手たちに促していく。上記のシミュレーション型AI技術は、アスリートや監督、コーチがデータ解析や戦術解析を行う場合にも、もちろん有効的だ。