機械が「におい」を覚える日がやってくる? グーグルのAI研究チームが取り組むプロジェクトの価値
グーグルの人工知能(AI)研究チームである「Google Brain」が、分子の構造を基ににおいを推測させようと、機械学習アルゴリズムにトレーニングを続けている。研究が進めば、色のような指標が存在しない嗅覚の分野において、カラーホイールの香りバージョンがついに完成するかもしれない。
TEXT BY SARA HARRISON
TRANSLATION BY MITSUKO SAEKI
WIRED(US)
グーグルには自社ブランドの香水がある。社内のある研究チームのオリジナル香水と呼んだほうがいいかもしれない。熟練のフランス人調香師たちの指導を受けて、バニラ、ジャスミン、メロン、ストロベリーを組み合わせてつくった香りだ。
「出来は悪くありませんでしたよ」と、グーグルのアレックス・ウィルチコは言う。彼はこの香水の小瓶を自宅のキッチンに置いているという。
いまのところ、この香りの販売は予定されていない。だがグーグルは、またひとつわたしたちの暮らしにかかわる新たな分野に鼻を突っ込もうとしている。においの研究だ。
グーグルの人工知能(AI)研究チームである「Google Brain」は10月24日、査読前論文の掲載サイト「arXiv」でひとつの論文を発表した。分子の構造を基にそのにおいを推測させようと、機械学習アルゴリズムに施したトレーニングの過程を記した論文だ。
世界のほとんどの場所を見せてくれる「Google マップ」と比べれば、さほど役には立たないかもしれない。だが、嗅覚の分野で長いこと解決されずにいる数々の難題に、この技術が答えを出してくれるかもしれないのだ。