【no.257】金正恩氏の最終目標、韓国の研究者が人工知能で分析

金正恩氏の最終目標、韓国の研究者が人工知能で分析

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の発言や周辺の状況などを人工知能(AI)を使って分析したところ、北朝鮮は「核・経済並進路線」を放棄しておらず、2020年に核保有国になることを目指しているとの結果が出た。

壇国大学政策科学研究所と社団法人サンド研究所、世宗経営諮問研究チームが先日「テキストマイニング技法」と「システムダイナミクス理論」によって金正恩氏の「核戦略」を共同で分析した。テキストマイニングとはAIを使ってビッグデータからキーワードとなる言葉の頻度や意味などを分析する技法で、2016年に米国の大統領選挙でトランプ大統領の当選を予測したことでも知られる。システムダイナミクスは複数の事象間の動態的な関係を把握し、それを視覚化する理論だ。

金正恩氏による2013年3月の「核・経済並進路線」の演説文、16年5月の「朝鮮労働党第7次大会報告書」、そして昨年4月の朝鮮労働党全体会議で発表された新たな「経済発展路線」などを研究チームが分析したところ「金正恩氏は非核化の意志が非常に弱い」との結果が出た。たとえば核関連の発言で「核開発の意志」を示す「核武力」「核兵器」などの言葉はその使用頻度が「非核化関連の用語」よりも非常に多かったという。

さらに「戦略的地位」「核軍縮」など「核保有」と関連した重要キーワードの文脈とその意味を分析したところ、金正恩氏が昨年4月の朝鮮労働党全体会議で宣布した「核・経済並進路線勝利」と「経済建設総路線戦略」は「核保有国の地位で経済強国という目標を達成すること」がその意図であるとされた。金正恩氏は「核を放棄しそれを経済と引き替えにする考えは持っていない」ということだ。研究チームは「北朝鮮は核・経済並進路線を放棄しておらず、この並進路線の最終目標は2020年に核保有国として経済強国になる『戦略国家の地位』を得ること」と分析している。

テキストマイニングの専門家として知られる世宗経営諮問のキム・ギュイル氏は「金正恩氏の発言を分析すると核保有国で使われる表現が多いが、それは核の放棄ではなく核軍縮が目標のようだ」との見方を示した。サンド研究所のチェ・ギョンヒ氏は「時間が過ぎるほど北朝鮮は内部の結束と体制維持の手段として核をさらに利用するだろう」「核開発は金正恩氏の地位を支えると同時に、権威体制の強化にも大きく寄与してきた」とコメントした。