【no.466】自然災害 AIで備える

自然災害 AIで備える

自然災害に関する不安は全世界共通となっている。特に何種類もの大規模な自然災害を経験している日本は、世界に対して天災への備えを教えることができる「災害対策先進国」とみる人もいる。今夏の台風による水害、被災された皆様ならびにそのご家族の皆様には心よりお見舞い申し上げます。千葉では電力の復旧に2週間もかかり、北陸新幹線の復旧にも時間を要するのを見るにつけ、災害対策の大切さを痛感する。

ベンチャーキャピタリスト教育機関のカウフマンフェローズの会長。データ解析やフィンテック、クラウドなどのIT(情報技術)のスタートアップに投資するSOZOベンチャーズを2011年に設立。

ベンチャーキャピタリスト教育機関のカウフマンフェローズの会長。データ解析やフィンテック、クラウドなどのIT(情報技術)のスタートアップに投資するSOZOベンチャーズを2011年に設立。

時にスタートアップは、自分の経験から生まれ、世界を良くしたいと思う強い信念から創り上げられる。ワン・コンサーンの創業者のアフマド・ワニ氏はインドのカシミール地方出身で、彼自身2005年の大地震の経験がきっかけで、スタンフォード大学院での地震の研究の為に渡米した。

ところが14年にカシミールに一時帰国した際、豪雨に遭遇した。500人以上の死者が出たカシミール大災害だ。ワニ氏自身も、横にある家が次々と流されていく中、自分も家もいつ流されるかもしれない、生きるか死ぬかわからない状況を屋上で1週間過ごした。ワニ氏のこの体験が、単なる研究ではなく”実際に人を助けるようなことをしたい”、”世界をより良くしたい”と思いを強くし、ワン・コンサーンの起業へと突き動かしたのだ。

人工知能(AI)にはいろんな活用事例があるが、多くの人にとっては漠然とした遠くの世界のように捉えられているように思う。AIにより”人間の仕事がなくなる”と話題に上がることもあるが、シリコンバレーでは地道で人間の生活そのものに大きな影響を与えるようなAI活用の事例も出てきている。

ワニ氏が強調するのは、現在の多くの問題は多面的で複雑に連関しており、最新のテクノロジーこそがその問題を実際に解決できるという点だ。具体例として、現在の巨大なインフラ網を考えると、大規模の災害の影響は特定の建物や地域だけに対する影響を測定してもほとんど意味がなく、広範囲の多種・大量のデータを加味して分析していくことが不可欠になる。

ワン・コンサーンは特定地域に対して災害の影響をミクロの建物、そこに関わる人の単位で、それぞれがつながった電力、上下水道、道路などに対する影響を統合的に加味した災害予測を行うことができるデータサービスをAIとマシンラーニングの技術を活用して提供している。同社のサービスを使うことで自治体や企業は事前の災害対策の準備を備え、より適切な災害予測と防災・減災システムの構築が可能になる。

実際にワン・コンサーンの技術は熊本市で導入が進む。16年の地震災害や18年の水害などの経験を踏まえ、災害への対策が急務となっている。同社が提供する防災対策・対応プラットフォームを既存のシステムと併用することで、熊本市における防災対応力を従来よりも向上させようとしている。シリコンバレーの信念と技術が日本にも届き、それが世界の災害対策モデルとなると信じている。

【no.465】I導入が遅れている日本企業 背景には「年功序列」にしがみつく人々

I導入が遅れている日本企業 背景には「年功序列」にしがみつく人々

日本オラクル(東京都港区)は11月13日、日本の職場におけるAI(人工知能)の活用に関する調査の結果報告会を実施した。同会は、2019年10月に発表された「職場におけるAI調査」に関して日本企業にフォーカスした分析結果を公表するために開催された。職場におけるAI調査は世界10カ国、地域を対象に19年7~8月にかけて行われたもの。対象となった米国、フランス、中国、インドなどの企業で従業員、マネジャー、人事部門リーダーの立場にいる人8370人が対象。

【参考記事】「上司よりAIを信頼する人」の割合は? 世界10カ国対象の「職場におけるAI」調査

調査の結果では、18年に行われた同様の調査と比較して、何らかの形で「職場でAIを利用している」と回答した従業員の割合がおよそ1.5倍に増えた。国別では、インドがトップで78%。次いで中国(77%)、アラブ首長国連邦(62%)と並ぶ。

世界各国に共通する傾向としては、「回答者の64%が自身のマネジャーよりもロボットの方を信頼している」ことと合わせ、「マネジャーには新たな役割が求められている」点が挙げられた。

【no.464】AIの英語、東大レベル センター試験9割超正解

AIの英語、東大レベル センター試験9割超正解

200点満点で185点、偏差値は64.1――。人工知能(AI)が今年1月に実施された大学入試センター試験の英語(筆記)に挑戦したところ、こんな結果が出た。「ロボットは東大に入れるか」プロジェクト(通称・東ロボくん)チームが19日までに明らかにした。

2016年に大手予備校のセンター試験模試で5教科8科目を受けた際の英語は95点(偏差値50.5)にとどまっており、今回は大幅な成績アップを果たしたことになる。チームは「記述式の2次試験はまだ難しいが、センター試験に限れば東大合格者と遜色ない結果だ」としている。センター試験本番への挑戦結果を公表したのは初めて。

成績が伸びた要因には、AI関連の先端技術「ディープラーニング(深層学習)」に基づく文章読解技術の大幅な進歩がある。さらに、文章から不要な文を見つけ出す問題など、従来は苦手だった分野にチーム独自の技術を適用し、正答率が大幅に高まったという。全問を解くのにかかった時間は数秒以内だった。

【no.463】“AI美空ひばり”の新曲「あれから」がCD化 12月発売

“AI美空ひばり”の新曲「あれから」がCD化 12月発売

レコード会社の日本コロムビアは11月18日、AI技術を使って歌手の故・美空ひばりさんの歌声を再現した新曲「あれから」をCD化し、12月18日に発売すると発表した。11月27日に先行して楽曲を公式サイトで配信する予定。

新曲「あれから」。日本コロムビアより

9月にNHK総合で放送されたドキュメンタリー番組「NHKスペシャル AIでよみがえる 美空ひばり」で生まれた楽曲で、作詞家の秋元康さんがプロデュースした。歌声の再現には、ディープラーニング(深層学習)を活用したヤマハの歌声合成技術「VOCALOID:AI」を使用している。

当初はCD化の予定はなかったが、番組放送後に大きな反響があったことなどから、CD化が決定。「川の流れのように」以来、約30年ぶりの新曲になる。

「あれから」は、NHKが大みそかに放送する「第70回NHK紅白歌合戦」でも披露される予定。演出の内容は明かされていない。

【no.462】イーロン・マスク、脳に埋め込むAIチップが自閉症や統合失調症の”治療”に役立つと主張

イーロン・マスク、脳に埋め込むAIチップが自閉症や統合失調症の”治療”に役立つと主張

  • テスラとスペースXのCEOイーロン・マスク氏は、ポッドキャスト『Artificial Intelligence』で自身の神経テクノロジー会社「ニューラリンク(Neuralink)」について語った。ニューラリンクは人間の脳にチップを埋めようと考えている。
  • マスク氏はニューラリンクが「脳に関連する多くの病気を治す」だろうと語った。その具体例として、マスク氏は自閉症や統合失調症を挙げたが、自閉症は病気ではない。
  • マスク氏は以前、ニューラリンクがパーキンソン病やアルツハイマー病といった神経学的疾患の治療に役立つだろうと語っていた。

イーロン・マスク氏は、ニューラリンクが統合失調症や自閉症を「治す」ことができるだろうと語った。

11月12日に掲載されたポッドキャスト『Artificial Intelligence』で、マスク氏はニューラリンクに関して、自身が予見している最も楽しみな効果について尋ねられた。ニューラリンクは脳の活動を記録し、脳に刺激を与えるために、人間の脳に埋め込むことのできるAI(人工知能)チップの開発を目指している。

「ニューラリンクについては、脳に関連する多くの病気を治すだろうと考えている。自閉症、統合失調症、記憶障害…… どんなものも治せるだろう」

自閉症は病気ではなく発達障害であり、マスク氏がどういう意味でニューラリンクが自閉症を「治す」ことができると言ったのかは、明らかでない。

イギリスの自閉症協会(National Autistic Society)は、「自閉症は病気ではなく、『治す』ことはできない。自閉症は自身のアイデンティティーの基本的な側面と感じている人も多い」としている。

世界保健機関(WHO)は、統合失調症を「深刻な精神疾患」 と定義付けている。

マスク氏が2016年に立ち上げたニューラリンクは、創業から最初の数年は秘密主義的だった。

【no.461】AIが選んだ「美味しいラーメン店ランキング」都内版が発表 どんな結果に?

AIが選んだ「美味しいラーメン店ランキング」都内版が発表 どんな結果に?

東京大学の出身者が立ち上げた人工知能(AI)ベンチャーのTDAI Lab(東京都中央区)は11月12日、自社のサービスであるオンラインレビュー信頼性スコアリングAI「WISE REVIEW」を使い、「AIが選ぶ本当に美味しいラーメン百名店in東京2019」を発表した。

東大発ベンチャーがAIによるラーメン店ランキングを発表(出所:TDAI Lab公式Webサイト)

東京都内のラーメン店を、Google上のレビューから分析。過去に5件以上レビューを投稿したことのある人が行ったレビューが100件以上ある店を対象にした。2019年1月1日以降のレビューを基に評価を行った。

それぞれの店について、Google上のレビューを基に各店をランク付けした「単純平均ランキング」や、WISE REVIEWを用いて算出したスコア「WISE Score」、またそれを基に再度ランク付けした「WISE Scoreランキング」「信頼できるレビューの割合」などを表示。単純平均ランキングで上位にいても、WISE Scoreランキングで極端にランクが低いような店は、信ぴょう性の低いレビューが多いとAIが判断したことになる。なお、今回1位となった「青島食堂 秋葉原店」は単純平均ランキングは13位だった。また、単純平均ランキングでトップ10かつWISE Scoreランキングでもトップ10にランクインした店は5店だった。これら5店は、Google上のレビューで高い評価がなされ、さらにそれぞれのレビューの信ぴょう性も高いとAIが判断したことになる。

トップ5の店一覧(出所:TDAI Lab公式Webサイト)

WISE Reviewは感情的で適切だと思われないレビューや、“やらせ”と思われる信頼性が低いものを検知するサービス。ECサイトや飲食店予約サイト、転職サイトといった口コミサイトでの利用や、マーケティングリサーチ等に活用できるという。

各店の詳しいデータも見られる(出所:TDAI Lab公式Webサイト)

消費者の購買行動が変化することにより、口コミの重要性が高まる一方で、やらせなどが横行し、どれが真実の情報なのかを見極めることが難しくなっている。こうした状況についてTDAI Labは「出品者は『不当なアンチレビュー』による、“もっと売れたはず”という機会損失、消費者は「ヤラセレビュー」による、“もっと良いものが買えたはず”という機会損失」が起きていると指摘している。

【mo.460】オムロンが2つのAI技術を新たに発表。「欠陥抽出」と「機械学習モデル統合」

オムロンが2つのAI技術を新たに発表。「欠陥抽出」と「機械学習モデル統合」

オムロンは11月13日記者発表会を開催し、新たなAI技術を2つ発表した。外見検査における欠陥抽出AIと、異なる場所に存在するデータを集約することなく、機械学習モデルの統合によってAIの性能を高める技術だ。

関連記事:「AIは人間と異なる知性と認識すべき」オムロンサイニックエックス設立1年、代表が語る「人と機械の融和」に必要なこと

人の感性・熟練者の経験を再現した欠陥抽出AI

外観検査については、熟練の検査員の検査手法を再現した欠陥抽出AIと、これらを既存の画像処理システムに搭載できるシステムを開発した。オムロンが30年以上にわたって外観検査の現場で培った検査内容に対する知見と画像処理技術により、手持ちの画像データから学習すべき画像を自動判断。誰でも数分で最適な学習を実現するという。

AIモデルの軽量化も実現し、通常のPCのような限られた計算リソースの中でも作動できるため、専門知識持ったエンジニアがいなくともAI開発が可能という。

▲欠陥抽出AIの活用事例。出典:オムロンプレスリリースより

開発背景として、近年の熟練技能者の不足や人件費の高騰が深刻化しており、製造業では属人化していた搬送、組立、検査工程などの自動化が急務となっていいることが挙げられる。

製品の外観検査では、さまざまな色や大きさのキズの判別や、良品自体が大きくばらつく場合の欠陥品の判定など、経験豊富な熟練技能者の感性と経験が必要となる。

そのため、人と同じように対象物の特徴を認識でき、判断基準を自動で学習できるAIに期待が高まっている。しかし、実用化においては以下のような課題があるため、導入が進んでいないのが現状だ。

【no.459】AIとのコラボでパフォーマンスを向上!「コラボレーティブ・インテリジェンス」

AIとのコラボでパフォーマンスを向上!「コラボレーティブ・インテリジェンス」

「人間の能力を補い、強化する」というAI(人工知能)本来の目的を達成する手段として、コラボレーティブ・インテリジェンス(協調的知能)という概念が注目を集めている。

近年は、人間とロボットの協調に限らず、ロボットとロボット、AIとAIを協調させることで、効率よく費用対効果の高いソリューションを模索する動きも活発化している。

お互いの強みを強化する、コラボレーティブ・インテリジェンス

GoodStudio / shutterstock.com, ZUU online

(画像=GoodStudio / shutterstock.com, ZUU online)

コラボレーティブ・インテリジェンス(CI)とは、「人間とAIがそれぞれのインテリジェンス(知能)を最適な形で融合させ、お互いの強みを強化する」という意味をもつ。

アクセンチュア・リサーチのマネージング・ディレクター、H・ジェームス・ウィルソン氏と、チーフ・テクノロジー・アンド・イノベーション・オフィサーのポール・ドーハティ氏が、1500の企業を対象に実施した調査によると、人間の従業員とAIが共同で作業を行った結果、企業のパフォーマンスに著しい向上が見られたという。

つまり、人間の得意分野は従来通り人間が担当し、不得意分野をAIが補うよう業務をCI化することで、パフォーマンスの効率化および最大化が期待できるというわけだ。

例えば、あらゆる組織の成長に不可欠な要素として、リーダーシップやチームワーク、創造性、社会的スキル、スピード、スケーラビリティ、定量性などが挙げられる。現時点において、リーダーシップや創造性、社会的スキルは人間の方が得意であるため、引き続き人間の専門領域とし、具体的な数値を使った表現が得意なAIには、定量性の領域を任せるなど、役割を分担する。

【no.458】AIで“くずし字”の解読に挑む

AIで“くずし字”の解読に挑む

日本で古くから使われてきた手書きの文字「くずし字」を、AI=人工知能を使って瞬時に今の文字に置き換えるシステムの開発を競う国際コンペが行われ、およそ300チームがより精度の高い解読に挑みました。

「くずし字」は平安時代から明治時代の初めごろまで広く使われていましたが、今の文字と形が大きく異なっていたり複数の文字が連続して書かれたりしていることから、正確に解読できる人には限りがあります。
このため「人文学オープンデータ共同利用センター」などは、AIを使ってくずし字を瞬時に今の文字に置き換えるシステムを開発し、そのうえで新たな発想を加えてさらに精度を高めようと国際コンペを行いました。

コンペでは、センターのシステムをもとに新たな手法を開発することで、数千枚の画像に書かれたくずし字をどれだけ正確に認識できるかが競われ、国内外の企業や研究者などおよそ300チームが参加しました。

11日、東京都内で上位の10チームが表彰され、優勝した中国のチームは、95%の割合でくずし字を正しく解読できたということです。

【no.457】「Onkyo AI」をコールセンター業務に導入「機械音声で修理品の引取依頼を自動受付」オンキヨーとNAISTの産学共同研究と

「Onkyo AI」をコールセンター業務に導入「機械音声で修理品の引取依頼を自動受付」オンキヨーとNAISTの産学共同研究と

オンキヨー株式会社は、コールセンター電話窓口業務を効率化するため、「Onkyo AI」の導入を11月5日より開始したことを発表した。オンキョーブランドとパイオニアブランドの製品について「機械音声による自動受付」で、修理品の引取りを依頼できる。
「Onkyo AI」は同社のコールセンター事業を行うODSコミュニケーションサービス株式会社が、年内の実用化を目指すことを2019年8月8日時点に発表していた。

同システムは、提供コストがリーズナブルであり、クライアントのシステムに応じて、必要な機能のみ追加する柔軟な構成を実現することが可能なAWS「Amazon Connect」連携となっている。なお、同システムの開発にあたっては、国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)の知能コミュニケーション研究室と産学共同研究を行っている。