【no.316】AIによる自動文字起こし、“危ういワード”をどう排除する?

AIによる自動文字起こし、“危ういワード”をどう排除する?

今年3月に行われた元メジャーリーガー・イチロー選手の現役引退会見は多くの人たちの注目を集めた。この様子はネットテレビ「AbemaTV」でもライブ配信されたが、AI(人工知能)を使ったリアルタイム字幕のテキストに間違いが多く、ネットで話題になった。

音声認識による文字入力サービスはいくつも登場しているが、特に法人向けサービスなどでは、イチロー選手の会見で出てきたような“危ういワード”をどう排除していくかがポイントになる。

国内大手の電子書籍取次であるメディアドゥホールディングスも、音声文字起こしサービスを提供する企業の一つ。同社はGoogleの音声認識API「Cloud Speech API」を活用した音声自動文字起こしシステム「Smart書記」を開発し、法人向けに提供している。

AI音声自動文字起こしシステム「Smart書記」の画面

メディアドゥホールディングスのSmart書記事業部 榊原輝雄マネージャー(プロダクト担当)は、「現状、文字起こしで“良くないワード”が表示されてしまうのは事実で、課題に感じている」とし、「同意を得たユーザーから取得した日本語の音声データをGoogleに渡すなどして、テキスト化の精度を上げて対策する」と説明する。

AISmart書記とは
AIクラウドでデータを共有できる

NGワードにどう対応するか

Smart書記は、マイクから集音した音声をAIによる音声認識でテキスト化するWebサービス。複数のマイクを用意すれば、会議、セミナー、商談、取材における複数話者の会話を1つの収録データとしてクラウド上で共有可能。営業担当者が商談中に交わした会話のテキストデータを、本社にいる担当者がリアルタイムで編集したりできる。110の言語への自動翻訳も可能で、出力するフォーマットはテキストファイル、Word、Excelから選べる。

AIWordでテキストデータを出力

今秋にはiOSアプリも提供予定。ピンマイクを用意しなくても、iPhoneのマイクで音声を認識し、テキスト内容も確認できる。

AIiOSアプリも今秋提供する予定
AI自動翻訳も可能だ

ピンマイクによる音声認識のデモでは、発話とほぼ同時に音声がテキスト化され、精度も悪くない印象だった。榊原マネージャーは「音声も発言内容もはっきりしているセミナー用途では実用に耐えうるが、普段の会議ではAIが認識しやすいよう、はっきりしゃべる必要がある」と話す。ICレコーダーの音声データを直接PCに取り込むこともできるが、音質が良くないため肉声より精度は落ちるという。

同社は2017年10月に徳島県知事の記者会見などにSmart書記を利用する実証実験を行っていた。自治体からのニーズは多く、民間でも役員会、決算説明会など引き合いは多いとしている。「特に営業マンは商談後に帰社し、夜遅くまで報告書をまとめる必要があり、働き方改革を進める会社にニーズがある」(榊原マネージャー)

一方で、前述したように精度面での課題は残る。Smart書記では明らかに「NG」とされるワードのフィードバックを受け付けており、NGワードのデータをためている。「Facebook」を「フェイスブック」表記にしたいなど、ユーザーごとの要望には辞書登録機能で対応する。

AIテキスト訂正用の辞書機能を用意

こうしたNGワードの照合は、リアルタイムで音声をテキスト化し、その内容をサービス画面に反映する間に行う。そのため、リアルタイムで処理している間、一瞬NGワードが表示されてしまうこともある。榊原マネージャーは「句読点や改行など日本語特有の表現は、インテグレートの際にわれわれで調整する必要がある。文字起こしの精度についてもGoogleと話し合いながら引き続き改善を続けたい」と語った。

【no.315】ドコモの「AI運行バス」が出発、九州大学の学内バスで初の商用導入

【no.315】ドコモの「AI運行バス」が出発、九州大学の学内バスで初の商用導入

NTTドコモは、次世代のバス運行管理システム「AI運行バス」を九州大学に提供しました。これまで全国10か所で実証実験が行われていましたが、商用サービスとしての導入は今回が初めてとなります。

九州大学では「aimo(アイモ)」というサービス名称で、学内移動用の無料バスとして導入します。

AI運行バス▲左から、福岡市 副市長の光山裕朗氏、NTTドコモの吉澤和弘社長、九州大学総長の久保千春氏、九州大学副学長の安浦寛人氏

AI運行バスのシステムでは、時刻表や運行ダイヤは設定されず、バス停のみが設置されます。乗客はスマホを使って予約し、数分後に配車されたバスに乗って目的地に向かいます。

固定の運行ルートは存在せず、バスのその時の乗客の行きたいルートに合わせて調整されます。途中の停留所で乗客がある場合、経由地がリアルタイムで変更され、全ての乗客を運ぶために最も効率の良いルートが選択されます。このルート選択にAI技術を活用しているわけです。

AI運行バス

■日本最大のキャンパスで実証

九州大学は2018年、都心部にあった3つのキャンパスから伊都キャンパスへの移転を完了しました。伊都キャンパスの敷地面積は東京ドーム58個分にも及ぶ275ヘクタール。切り開かれた山の中に大きな校舎が点在する壮大なキャンパスです。学内に車道や交差点から、信号機まで揃っており、新しい交通システムの技術検証には格好の環境と言えます。

AI運行バス

九州大学では、自動運転などの技術に伊都キャンパスを活用するために「スマートモビリティ推進コンソーシアム」を設立。九州大学、福岡市のほかNTTドコモ、日産、DeNAといった企業が参加しています。

日産やDeNAは自動運動の実証実験を行なっていますが、ドコモは「自動運転社会の手前の技術」としてAI運行バスを検証しました。

NTTドコモの谷直樹氏は、AI運行バスにより「新しい需要の創出」ができると強調します。すなわち、リアルタイムにルートが設定ができるAI運行バスでは、これまでの固定ルートの路線バスではバス停を設置できなかったような場所にもバス停を置くことができるため、新たなの乗車需要を生み出せるというわけです。

AI運行バス

さらに、AIによる運行管理によって、輸送効率も向上できるとしています。九州大学で運行している固定ルートのバスの運行効率は4%程度、つまり50人のバスなら平均で2人しか乗っていないという効率の悪さでした。それをAI運行バスに置き換えると、都営バスに近い水準のバス並みの19%まで改善したとしています。ピーク時間帯の輸送力を変えずに、乗客の平均的な待ち時間を抑える効率的な仕組みになっています。

AI運行バス▲NTTドコモ 執行役員 IoTビジネス部長の谷直樹氏

AI運行バスは過疎化が進む地方や、観光客の足として適した交通システム。ドコモではAI運行バスのシステムを全国の自治体やバス事業者を中心に販売していくとしています。谷氏は「2020年度末(2021年3月)までに全国100エリア以上での展開を目指す」と表明しました。

【no.313】今年の新入社員は「AIスピーカー型」、朝礼や宴会の押しつけはNG

今年の新入社員は「AIスピーカー型」、朝礼や宴会の押しつけはNG

4月1日を迎え、今年もあなたの会社に新入社員は入社しただろうか。ここ数年、新卒採用は売り手市場が続いている。そのなかで採用された今年の新入社員には、どのような特徴があり、上司・先輩世代は彼らとどう付き合えばいいのか。『若者のトリセツ』などの著書があり、産労総合研究所が毎年発表する「新入社員のタイプ」の調査や分析を行う「新社会人の採用・育成研究会」のメンバー・岩間夏樹氏に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 林恭子)

売り手市場で“就活は楽勝”
なぜ今年の新入社員は「AIスピーカー型」か

――2019年度入社の新入社員は、どのようなタイプなのでしょうか?

「新社会人の採用・育成研究会」のメンバー・岩間夏樹氏 Photo:DOL

私もメンバーである「新社会人の採用・育成研究会」では、2019年度に入社する新入社員のタイプを「呼びかけ次第のAIスピーカー型」と名付けました。多くの人がAIスピーカーって面白そう、欲しいと興味を持っているその様子が、売り手市場のなかで採用された今年の新入社員ととても似ていると考えたためです。

ただし、AIスピーカーには便利そうだけれど、使いこなすのがなかなか難しいという面もあります。単純に、音楽をかけたり、今日の天気を質問したりするくらいなら問題ありませんが、テレビをつけたり、部屋の明かりをつけたりするのには、他の機器のさまざまな設定や機能の追加が必要で、お金もかかります。同じように今年の新入社員も、上司の側からすると、部下としては若干扱いにくい面があるのではないかと考えています。

リーマンショックをきっかけとしてはじまった第2次就職氷河期は数年前に終わり、新卒学生の就職は一転して売り手市場に変わりました。

就職氷河期の頃は「内定なしで卒業するのではないか」と不安を抱え、血眼になって就活する学生が数多くいました。また入社後も、「とにかく会社の都合に合わせます」というような殊勝なところがあり、辛くても本音を隠す会社への忠実さがありました。

一方で、最近の学生からは「基本的に何とかなるだろう」「内定が取れずに卒業することはないだろう」という楽勝ムードが漂っています。

【no.314】300店のベーカリーに導入された画像認識AIレジの秘密に迫る

300店のベーカリーに導入された画像認識AIレジの秘密に迫る

弊社のAIは100%の精度は求めていません。人間と同じように、よく似たパンは間違えることがありますよ」── そう言うのは、AIレジ「ベーカリースキャン」開発元である株式会社ブレインの原 進之介執行役員だ。AIの精度が100%ではないにせよ、それを包み隠さず話す姿に驚いた。しかもAIレジを導入したベーカリー店長を前にだ。

これは一体どういうことなのか。店舗でパンがどのように購入されているのか、その様子を実際に見てきた。

画像認識が搭載されたAIレジでの購買体験

購入者がトレイに好きなパンを取り、行列に並ぶ。ベーカリーでよく見る光景だ。

パンやトレイにも、特別変わったことはない。

会計時に登場するのが、AIレジである。セミセルフ精算機の横にある特殊な撮影装置も、AIレジの一部だ。ここで画像認識技術を使い、パンを識別しているという。

識別されたパンは購入者側のモニターにも表示される。

その後、購入者自身が会計を済ませ、その間にスタッフがパンの袋詰めを行う。

紹介した購入フローは至ってシンプルだが、じつに多くの課題を解決している。単に「パンを画像認識で識別する」ことだけが価値ではない。

ここからは、AIレジを導入したベーカリー「ジャン・フランソワ」東京ミッドタウン日比谷店の大津 綾香店長と、ジャン・フランソワ運営元である株式会社グルメブランズカンパニーの広報を担当する落合 菜月氏、原氏の3人に、AIレジの仕組みと導入後の本音を聞いていく。

ディープラーニングは、パン屋のAIレジでは使えなかった


――単刀直入ですが、パンをどのように識別しているのでしょうか? やはり、ディープラーニングを活用しているのでしょうか?

――原
「ディープラーニングは使っていません。画像認識は独自開発した技術を使っています。画像データを学習させるという点では、ディープラーニングと変わりません。しかし、学習させる個体は30~40あれば十分です。パンをさまざまな角度から撮影すればいいので、実際に用意していただくパンは3 ~ 4つで十分です。40個もパンを焼くのは大変なので」

――原
「ディープラーニングは、AIレジには適さないと思います。数百、数千の個体を学習させるのは、非常に時間とコストがかかります。ベーカリーでは毎月、多い場合で20種類近くの新商品が出ます。その登録を時間をかけて行うのは、現実的ではなかったんです」

実際、新商品が出た際には店員がたったの2~3分で登録できる仕様になっている。

驚くべきは、画像認識に必須のハイスペックなマシンも必要ないという点だ。ベーカリースキャンは、市販のパソコンレベルのCPUだけで十分に動作するという。

――画像認識機能だけでなく、POSシステム自体も開発されたということでしょうか?

――原
「そうです。ただ、もともとは画像認識の部分だけを開発し、ベーカリー業界に適した既存のPOSシステムに連携させようと考えていました。しかし、当初はどのPOSメーカーに交渉しても、了解が得られませんでした。双方のシステム開発がハードルになったんです。それなら自分たちで作ってしまおうと。POSシステムの要件をいちから勉強しました」

こうして生まれたベーカリースキャンは、すでに全国300店舗、合計450台が導入されている。さらに、画像認識の精度を上げるための特許も取得している。

下から照明を当てることで、識別が難しい輪郭部分の認識精度を上げているという。

ベーカリースキャン誕生の裏にある、圧倒的ユーザー視点のプロダクト開発

――今でこそ多くの導入実績がありますが、ベーカリースキャンはいつどこで誕生したのでしょうか?

――原
「きっかけは、地元兵庫の外食事業者からの相談でした」

「ベーカリー事業をフランチャイズ展開したいが、初心者でも簡単に扱えるレジ欲しい──。」

ベーカリーのレジは、会計はもちろん、同時に袋詰めまでする必要がある。当然、ピーク時は混雑し、店内に長い行列ができる。その問題は地元だけではなく、全国の繁盛店の共通の課題だった。

――原
「ベーカリースキャンは、お客様自身が支払いをするセミセルフレジです。お客様が支払いをしている間に、店員は袋詰めができます。さらに、従来は金銭授受と袋詰めを交互に行っていたので、衛生的にも良くなかったんですね」

原氏は、ユーザー目線に立ったプロダクト開発・改良を徹底しているという。設置工事から稼働初日まで3日間は、担当スタッフが付きっきりでサポートする。導入後もスタッフが足を運び、現場の課題を見逃さない。

――原
「袋詰めのスペースが狭いとか、レジ待ちの行列が他のお客様を妨げているとか、最大限の効果が出るように踏み込んだ課題抽出をしながら導入を進めています。地道に、着実に、ユーザーに寄り添ってモノを売るのが我々のポリシーです。重要なのは、AIや画像認識の技術を使用することではありません。これらの技術が100%の精度を出すのは無理だと思っているので、AIと人間の役割分担を考えるんです。そうすることで解決できる課題が明確になります。

なので、ベーカリースキャンは人間と同じように間違えることは、お店の方にも伝えています。そのうえで、そこを補うように工夫しているんです」

【no.312】写真から商品データを推測、メルカリがAI活用の実態を解説

写真から商品データを推測、メルカリがAI活用の実態を解説

メルカリは、AIを活用して出品を簡単にすることに注力している。「売ることを空気に」したいと、メルカリ取締役CPOの濱田優貴氏(写真1)は言う。AI企業としてのメルカリの強みとして濱田氏は、メルカリのサービスを介して得た大規模なデータセットと、豊富なAI人材を挙げる。

大規模なデータセットについては、サービス開始から6年を経て蓄積した、数十億を超える商品データがある。メルカリを利用したユーザーが投稿した、累計出品数11億品超の写真画像や説明文である。これをディープラーニングで学習している。これにより、ある写真画像と類似した商品のデータを得られるようにしている。

AI人材については、現在、データ収集とモデル作成に携わるML(マシンラーニング)エンジニアが約20人、作成したモデルを運用するシステム構築・運用エンジニアが約10人、合計で約30人のエンジニアを抱えている。2019年4月には新卒10人を追加し、2019年9月には新卒20人を追加する。

写真を撮るだけで出品できるようにする

会見では、AIの活用例として、2017年10月から運用しているAI出品の機能について説明した。出品時に登録した商品の写真画像から、商品の内容などの入力候補を提示する機能である(図1)。タイトル、カテゴリ、ブランドを推定し、これらを手動で入力する手間を省く。価格についても、どのくらいで売れるかを示してくれる。

図1:AI出品の概要。出品時に登録した商品の写真画像から、商品の内容などの入力候補を提示してくれる(出典:メルカリ)図1:AI出品の概要。出品時に登録した商品の写真画像から、商品の内容などの入力候補を提示してくれる(出典:メルカリ)
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出品を極限まで簡単にする、とメルカリは言う。あらゆる商品を、写真だけで出品できるようにしたいとしている。次期アプリのプロトタイプでは、スマホをモノにかざすだけでモノを認識し、出品価格を表示する。この流れで、そのまま出品できる。現在でも、書籍やゲームソフトなどの識別が容易なものについては、写真だけで商品説明まで自動で入り、1分以内で出品できる。

AI出品では、AIの活用方法に工夫を凝らした。ディープラーニングだけでは商品カテゴリやブランドの増減・再構築のたびに再学習が必要になるため、ディープラーニングで学習させたモデルを活用しつつ、k-近傍法を組み合わせた(図2)。「ディープラーニングの運用面の弱点を古典的な手法でカバーしている」(メルカリでエンジニアリングマネージャーを務める山口拓真氏)。

【no.311】ドライブスルーのメニュー看板をAI化、状況や顧客に合わせお勧め表示へ。米マクドナルド、AI企業を買収

【no.311】ドライブスルーのメニュー看板をAI化、状況や顧客に合わせお勧め表示へ。米マクドナルド、AI企業を買収

米マクドナルドが、機械学習システムのスタートアップDynamic Yieldを3億ドルで買収したと発表しました。この買収によって近い将来、ドライブすする~の入り口に掲げるメニュー表が、そのときの状況に合わせて最適なおすすめメニューを表示するようになるかもしれません。

考えられるメニュー表ディスプレイは、その日の気候や時間帯、周辺地域におけるイベントや道路の混雑状況を考慮し、さらに過去の販売実績データから人気トレンドの商品、ドライブスルーで注文されやすい商品などをAIが検討し、最適なメニューの組み合わせを表示します。

たとえば、非常に暑いhideあればMcFlurryやアイスコーヒーを一番見やすい位置に掲げたり、待ち行列が長くなれば提供の早いメニューをおすすめに提案したりといった具合。最終的には、車のナンバープレートを読み取って顧客の過去の注文履歴から瞬時に好みとおすすめのメニューに表示を切り替えることも考えているとのことです。

すでに2018年の段階で、いくつかの店舗ではこのAIをテスト済み。マクドナルドのグローバルCIO(最高情報責任者)のダニエル・ヘンリー氏はこの後3ヶ月の間に1000店舗以上でこのAIメニュー看板をテストするつもりだとWiredに述べました。最終的に全米1万4000店のマクドナルドにこれを供給するであろうことは容易に想像がつくものの、マクドナルドはそのほかの市場にもこのシステムを提供していく考えです。

またドライブスルーだけでなく、セルフオーダー方式のタッチ端末画面や、モバイルアプリの表示にもAIを活用していくとのこと。もし日本での利用方法を考えるならば、回転寿司のオーダー用タブレットなんかにこのAI技術が応用できるかもしれません。

なお、Dynamic Yieldはマクドナルド傘下にはなるものの独立企業として機能し、IKEAやその他の現在の顧客との取引も継続します。

【no.310】ドコモ、AI運行バスの提供開始…乗りたいときに行きたい場所まで自由に移動

ドコモ、AI運行バスの提供開始…乗りたいときに行きたい場所まで自由に移動

NTTドコモは、AI(人工知能)を活用したオンデマンド交通システム「AI運行バス」を4月1日より全国で提供を開始。あわせて、2017年9月より実証実験を積み上げてきた九州大学伊都キャンパスにて、同日より商用提供を開始する。

AI運行バスは、乗りたいときに行きたい場所まで、自由に移動できるオンデマンド交通システム。需要に応じて配車されるので、時刻表などを気にせず、いつでも気軽に利用できる。予約は乗車人数、乗降場所、乗降希望時刻などを伝えるだけ。スマートフォンのアプリや電話から利用できる。時刻表も運行ルートも決まっておらず、利用者の移動需要に最も効率的に対応できる送迎順で、必要な乗降ポイント間を走行できるため、定時・定路線の循環バスなどに比べ、利用のない区間の走行が不要になるなどの効率化も見込める。

AI運行バスは、高度なAIにより配車を制御。出発地・目的地の異なる利用客の乗降リクエストが新たに発生すると、複数の車両から効果的な配車・ルートを算出するための膨大な計算をAIがリアルタイムに行い、効率的な乗り合わせ(乗り合せる組合せ)を実現する。また将来的には、日本全国の大量の人口統計データを活用し、移動需要のある場所、時間、乗車人数を事前にAIで予測し、それに応じた走行ルートや配車数の決定も可能になるという。

AI運行バスの提供価格は、営業区域数とバスの車両台数により異なるが、初期導入費用は50万円、月額利用料は18万円から。今後ドコモはAI運行バスの提供により、移動利便性向上と地域経済活性化など社会課題解決に貢献し、2020年度末までに100エリアでの導入をめざしていく。

【no.309】AIが株式投資をサポート、「資産運用は難しい」払拭へ HEROZとSMBC日興証券

AIが株式投資をサポート、「資産運用は難しい」払拭へ HEROZとSMBC日興証券

SMBC日興証券とAI(人工知能)ベンチャーのHEROZは3月25日、AIを活用して個人向けの株式投資をサポートする「AI株式ポートフォリオ診断」を共同開発したと発表した。SMBC日興証券でネット取引を行う「ダイレクトコース」利用者向けに3月29日から提供する。

AISMBC日興証券とAI(人工知能)ベンチャーのHEROZが「AI株式ポートフォリオ診断」を共同開発

追加投資金額、購入を検討している銘柄とその市場、リスク許容度を選ぶと、AIがリスクと期待収益を考慮して株式投資のポートフォリオを提案。保有している銘柄の情報を基に、AIが売買すべき銘柄を表示して資産運用をサポートする。株式を保有していないユーザーも同様にポートフォリオを作成できる。

AI「AI株式ポートフォリオ診断」の画面
AI「AI株式ポートフォリオ診断」の画面

AI株式ポートフォリオ診断には、将棋AIで培ったHEROZの独自AI技術「HEROZ Kishin」を活用した。ディープラーニングの手法を用い、上場銘柄の決算データ(売上高、営業利益、総資産など)と株価データ(始値、終値、高値、安値)を学習させた株価予測AIが、1カ月先の期待収益性を銘柄ごとに数値化。その数値を基にそれぞれのユーザー向けにおすすめ銘柄を提案する。ユーザーはスコア化された数値は見られない。予測モデルは年2回更新する。

AIAIが株価を予測

「資産運用は難しい」をAIで払拭

SMBC日興証券は、ネット取引での株式資産運用について課題を抱えていたという。

同社の丸山真志さん(ダイレクトチャネル事業部長)によると、ネット取引では1年間取引実績がなく、実質的に“休眠状態”になっているユーザーが少なくない。また、その内の85%は「保有している銘柄は5つ以下」という状態だ。「多くの銘柄を持ち、分散投資する方が利益が出る傾向がある。ネット取引は自己責任、自己判断といわれることもあり、投資はしたいがどうしていいか分からないという人たちも多い。AIで投資のきっかけをコンスタントに提案したい」(丸山さん)

HEROZの浅原大輔CFOは、「AIの優位性は網羅性にある。人間の場合は数百程度の銘柄しかチェックできないと思うが、AIなら普段見ないような銘柄も含め3000もの上場銘柄を基に予測できる。プロの人間に匹敵する相当熟練したレベルになってきており、バックテストの結果を見てもAIを使うと資産が増える可能性が高いといえる」と話す。

【no.308】「雇用の未来」の著者が推薦するAI時代のスキルとは

「雇用の未来」の著者が推薦するAI時代のスキルとは

AIが人間の仕事を奪うー。2013年に世界に衝撃を与えた論文「雇用の未来」の著者、オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授が来日した。株式会社エクサウィザーズ主催の講演会のあと同准教授と個別に話す機会を得たので、「雇用の未来」論文発表後の社会の変化について聞いてみた。

 

 

ーー先生の書かれた論文「雇用の未来」は先進国の世論に大きな影響を与えたわけですが、最初の反応はどのようなものだったのでしょうかその後変化はありましたか?

オズボーン 論文に対する反応は、段階的に変化していきました。最初の段階では、先進国の人々はかなりショックを受けていたようなに思います。それまでAIが雇用に与える影響について、人々は十分に考えてこなかったのでしょう。論文の公開を受けて、非常に真剣な議論が世界中で巻き起こりました。しばらくすると、今度は論文に対する批判が起こり始めました。私の論文を批判するいくつかの論文は、数字の正確さに対する疑問を投げかけてきました。方法論に対する疑問を呈する論文もありました。しかしそうした細かな批判があったとしても、AIの自動化によって多くの雇用が危機にさらされるという論文の骨子そのものが無効だという主張はありませんでした。一方で、テクノロジーがものすごい勢いで進化し始め社会を大きく変えようとしていることに、多くの人たちが気づき始めました。実際に音声生成技術の完成度が高まり、コールセンター業務に使われ始めるというようなことも起こり始めました。実際に、AIが人間の仕事を代替し始めたわけです。

 

 

ーー多くの人は、まだ不安や恐れの中にいるのでしょうか?AIが引き起こす時代の変化に前向きに対処しようという動きには、まだなっていないのでしょうか?

オズボーン 前向きな反応も増えてきています。ベーシックインカムの議論が出てきていることもその一例でしょう。でもその一方で、少なくとも英米両国では、雇用の変化が政治的状況を不安定にさせているように思います。産業革命のときも政治が不安定になり、大きな社会課題をいくつか引き起こしました。今の英国や米国の政治の不安定が、こうした大きな社会課題の兆しを示しているのかもしれません。

 

 

ーー産業革命のときには最初は事業家だけがうるおい、一般労働者の給与が上昇するまでに50年から60年もかかっています。同じようなことがAI革命でも起こるのでしょうか?

オズボーン 必ず同じような苦しみを味わなければならない、というわけではないと思います。産業革命のときにわれわれは多くのことを学びました。例えば労働組合を作って雇用主と交渉する、ということなどです。この領域で、テクノロジーが一般労働者を手助けするかもしれません。テクノロジーは実業家のためのもののように思われがちですが、労働者が利用してもいいわけです。例えば機械学習がウーバーのアプリに使われていますが、同時にウーバーの運転手たちも自分たち専用のアプリを作ってストライキを起こす、などの手段を取ることも可能なわけです。テクノロジーが問題の解決に使われてもいいわけです。

 

 

ーーなるほど。ところで僕自身もよく質問を受けることなんですが、AI時代に人々はどのようなスキルを身につけていけばいいのでしょうか? AIによって代替されないスキルって、どのようなものがありますか?

オズボーン ソーシャル・インテリジェンスとクリエイティビティーだと思います。

 

 

ーーソーシャル・インテリジェンスってどのようなスキルですか?

オズボーン ソーシャル・インテリジェンスは、人間理解を核とした非常に幅広いスキルのことです。交渉力や、人員管理能力、説得力などが、ソーシャル・インテリジェンスに入ります。

 

 

ーーどうしてAIは、ソーシャル・インテリジェンスの領域に入ってこれないのでしょうか?

オズボーン なぜなら我々人間は、非常に複雑だからです。人間の考えや行動を、完璧に予測することのできるデータセットなど今のところ存在しません。人間は社会的動物です。他の動物の脳と違って、われわれの脳というハードウエアは主に、他の人間とどのようにインタラクションするのか、ということに重点を置いた仕組みになっています。AIというソフトウエアが人間の脳を完全に再現できないことは、当たり前と言えば当たり前です。

 

 

ーー特化型のハードウェアを汎用型ソフトウェアで再現しようとしても簡単にできるものではない、ということですね。では具体的には、どのような仕事がソーシャル・インテリジェンスを必要としているのでしょうか?

オズボーン 管理職、起業家がそうですね。従業員を管理するにはソーシャル・インテリジェンスが必要になってきます。取引先との交渉や、投資家を説得する能力もソーシャル・インテリジェンスです。

メンター的な仕事にもソーシャル・インテリジェンスは不可欠です。ウエイターやウエイトレスもそうですね。人事部の仕事も、ソーシャル・インテリジェンスが必要になってきます。

 

 

ーー確かに。マクドナルドの店員の業務を完全自動化しようと思えばできるわけだけど、それでも人間を雇用し、「スマイルゼロ円」と書いてあります。同社が、ソーシャル・インテリジェンスを重視している証拠ですね。

オズボーン そうだと思います。でも、中にはソーシャル・インテリジェンスを重視しないケースもあります。日本に来て気づきましたが、受付の人の代わりに電話で代替している企業が多いですね。

 

 

ーーそうですね。特にベンチャー企業では、電話が置いてあるだけだったりします。大企業ではソーシャル・インテリジェンスを重視して、受付嬢を置いてるところがまだ多いですけれどもね。さてもう一つのスキルはクリエイティビティーということですが、AIにもクリエイティビティーはあるんじゃないでしょうか?YouTubeで「AI 楽曲」で検索すると、AIが作曲した楽曲が無数にヒットします。

オズボーン そうですね。でもいい曲ってありますか?

 

 

ーーうーん、どうだろう。聞いた感じは、人間が作曲したものとそう変わらないと思いますが。

オズボーン 今はまだもの珍しさからAIの楽曲を聴くひとがいますが、目新しさがなくなってでもAIの曲を楽しむ人がいるでしょうか?

クリエイティビティーに関して新しい議論が出てきています。

例えばAIが何万もの楽曲を次から次にと作ったとします。あなたがその内の1曲を気に入ったとします。クリエイティビティーってどこに存在するのでしょうか?AI側でしょうか?あなた側でしょうか?

 

 

ーーなるほどAIは過去の楽曲のデータを使って無作為に楽曲を作り続けるだけ。その無数の楽曲の中から一曲を選ぶという作業こそが、クリエイティビティーだというわけですね。では碁の打ち手はどうでしょう?アルファGOがリ・セドル氏を打ち負かしたとき、記者会見でリ氏は「こんな打ち手を見たことがなかった。非常にクリエイティブな打ち手だった。コンピューターにはクリエイティビティーがないと言われているが、クリエイティビティーがないのは、同じ定石を何千年も打ち続けている人間のほうではないでしょうか」と語っていました。

オズボーン そうですね。ただゲームは実際の現実社会とは大きくかけ離れています。環境がしっかりと定義されている。ゴールがはっきりと決められていて、そこに向かう過程も全て正確に把握できます。現実社会はゲームと違って、かなりファジーな環境の中で進んでいきます。ゴールは必ずしも1つではなく、また今どのような状況なのかを示してくれる正確なデータも十分に集まりません。

それにAIがゲームの中でクリエイティブな打ち手を見つけてきたとしても、実際にはすでに存在する打ち手を真似ただけかもしれない。クリエイティビティーって何か、どこからくるのか、という先ほどの問いに戻ってしまいます。

 

 

ーーなるほど。確かに現実社会の中では、人間のクリエイティビティーってまだまだ必要な感じがしますね。ところでクリエイティビティーが必要な具体的な仕事って、どんなものがありますか?

オズボーン 芸術などは当然、クリエイティビティーが必要ですよね。あと学者も研究にはクリエイティビティーが必要です。

 

 

ーーでもそういう意味では、すべての仕事にクリエイティビティーが必要になりませんか?

オズボーン その通りです。どの仕事にも、ルーチンワークとクリエイティブワークが含まれます。ルーチンワークはどんどんAIに代替され、クリエイティブワークの部分で人間は活躍することになると思います。

 

 

ーーなるほど。これまで雇用の数が少なくなると言う、量の部分だけが注目されてきたわけですが、質の部分こそがより重要だということですね。同じ仕事の中でも、ソーシャル・インテリジェンスとクリエイティビティーがより重要になってくる。仕事の数が少なくなることを心配するよりも、仕事の質がどのように変化していくのか、今後求められる質の変化に自分がどう対応していくのか、などといったことが重要になるということですね。

オズボーン  そうですね。それと先ほどベーシックインカムの話をしましたが、富をどのように分配していくのかということも、しっかり議論していかないといけなくなるでしょうね。

 

【取材を終えて】

AI時代にどのようなスキルが必要なのか、だんだん見えてきたように思う。やはり対人能力とクリエイティビティーなんだな。対人関係でAIが精度をあげられないのは、人間があまりにも複雑だから。ゴールの設定も難しいし、感情の機微を正確に測るセンサーもない。クリエイティビティーも同じ。結局クリエイティビティーは受け手側の感性に左右されるので、感性のないAIには無理。考えてみれば、今もう既にクリエイティビティーと対人関係重視の傾向は出始めている。今評価されるのは、性格問題ありそうだけど、めちゃくちゃ独創的に動き回っている人か、それほど際立った能力ないけどニコニコしている人かのどちらか。

やがてソーシャル・インテリジェンスと、クリエイティビティーが核にある雇用は残り、ルーチンワークは次々とAIに取って代わられる。一方で、今はルーチンワークが中心の職種でも、ソーシャル・インテリジェンスやクリエイティビティーを加味することで、新たな需要を喚起できるかもしれない。そこに新たなビジネスチャンスがあるのかもしれない。そう思った。

 

【no307】人工知能専門展「第3回AI・人工知能EXPO」は4月3日から3日間開催 5万人が来場見込み

人工知能専門展「第3回AI・人工知能EXPO」は4月3日から3日間開催 5万人が来場見込み

「第3回AI・人工知能EXPO」が4月3日(水)〜5日(金)の3日間開催される。同展示会は、ディープラーニング・画像・音声認識・チャットボット・ロボットなどが集まる人工知能専門展。今回開催するイベントは、前回の1.5倍の規模に拡大し250社が出展、全国から約50,000名が来場すると見込まれている。イベントは事前申し込み制で、ホームページから招待券をダウンロードすると無料で入場できる。

ロボットブースでは、睡眠ロボット「ネモフ」のパルスボッツ(ブース番号:12-1)や、台湾の教育ロボット「Kebbi」を開発する「Nuwa Robotics Ltd.(ブース番号:10-12)」、人工知能検査システムを搭載した「外観検査ロボット」のAIハヤブサ(ブース番号:5-33)などが展示を行う。


パルスボッツは、睡眠ロボット「ネモフ」と、ロボット会話作成サービス「IFRO reaction(イフロリアクション)」を展示する。IFRO reactionは、1問1答のリアクション会話を簡単に生成し多様なロボットに組み込むことができるサービス。パルスボッツは「IFRO」の2019年中のリリースを目指し、昨年9月に資金調達を行なっている。

AIブースでは、10か国語話せるバーチャルロボット「AI さくらさん(ティファナ・ドットコム:ブース番号1-19)」や、リアルタイムで人の声を特定キャラの声へ変換する音声AI変換技術「リアチェンvoice(クリムゾンテクノロジーブース:番号2-6)」、NTTドコモ(ブース番号:7-19)の人の感情を活用した「AIインフォテイメント」のデモンストレーション、AIエージェントAPI/雑談対話サービス「かたらい」の展示などが行なわれる。


他にも、人の感情まで認識し、文脈にあった会話が行える対話型AI「HAL(クリスタルメソッド)」や、来場者の年齢・性別など即座に分析する顔認識エンジン「FaceMe(サイバーリンク)」なども登場するようだ。