「AIプロジェクトを担当してくれ」突然の上司のむちゃぶり あなたが最初にやるべきことは?
「ライバル企業がAI(人工知能)を使ったサービスを発表したそうだ。それで、ウチはどうするんだ?」
読者の皆さんの中には、突然上司から「これからはAIの時代だ。うちでも何かやろう」とむちゃぶりされた経験がある方がいるのではないだろうか。いまは「第3次AIブーム」が起きているといわれ、企業のAI活用に関するニュースを目にしない日はないと言っても過言ではないほど、日々AIのニュースが飛び交っている。
上司から突然「ウチでもAIをやるぞ」とむちゃぶりされたものの、どうやって自社でAI(人工知能)を使えばいいか分からない。そんなAI初心者のビジネスパーソン向けに、企業のAI活用や導入のイロハについて分かりやすく解説する連載です(全4回予定)。
AIブームに沸く日本。他国に後れを取りながらも、企業のAI導入は少しずつ進んでいる。総務省が2018年に発表した調査では、自社内の業務(プロセス)にAIを導入済みの日本企業は全体の22%で、20年までに44%に達するという。
同じく自社の製品やサービス(プロダクト)にAIを導入済みの日本企業は20%で、20年には38%に達するそうだ。米国やドイツに比べて後れを取っているものの、今後もAI導入に踏み切る日本企業はますます増えていくだろう。
しかし、「自分たちはAIを使って何を目指すのか」を決めないまま、個別の事例を検討していってしまうと、議論は迷走してしまう恐れがある。
AIの主な活用事例(図は筆者作成)
例えば、Microsoftはクラウドサービス「Office 365」において、AI技術を活用した分析機能「MyAnalytics」を提供している。これは、日々の業務における会議やメール、集中的に業務を行った時間などを可視化し、AIがその問題点や改善点を提案するというもの。
追加料金は発生するが、Office 365の対応バージョンを契約していれば簡単に利用開始できる。つまり、単に「AIを活用しろ」という要望に応えるだけなら、こういった便利なツールを使うことで明日にでも実現できてしまうわけだ。
そもそも、ビジネスの世界において「AIとは何か」という定義は非常に曖昧だ。先ほど本連載におけるAIの定義を述べたが、これはあくまで議論を先に進めるために仮置きしたもので、学術的にこのような定義があるわけではない。
とはいえAIに関する技術は日進月歩で、特定のAI技術や概念のみを「本当のAIである」と定義することは、AIの活用や発展をむしろ阻害する恐れがある。研究ではなくビジネスとしてAIを扱う立場であれば、幅広くAI活用を検討すべきだろう。
繰り返しになるが、既に多数のアプリケーションが存在する状況で個別の事例から検討を始めてしまうと、収拾が付かなくなるだろう。
一定の土台に基づいて検討を進めるためには、通常のシステム導入と同様に「AIを使って目指すこと」を決めることが重要だ。
上記の主な活用事例、をヒントに自社での導入の目的を決めていくと良さそうです。
ぜひご活用ください。
次回の更新も楽しみにして頂けますと幸いです!