【no.242】日本野球機構、AIを使って試合写真に選手名を自動でタグ付け、MicrosoftのAIを利用

日本野球機構、AIを使って試合写真に選手名を自動でタグ付け、MicrosoftのAIを利用

本プロ野球のセントラル・リーグとパシフィック・リーグを統括するNPBは、各球団が所有する写真資産を一元的に管理するNPB CICサービスを提供している。各球団の外部への写真貸出・請求管理なども、業務サポートの一環として行っている。

写真の貸出にあたっては、写真利用者が検索しやすいように各写真に写っている選手を特定し、タグ付けしておく必要がある。これまでは、多い時ではプロ野球1試合あたり3000枚の写真の中から300枚程度の写真を選別し、各球団関係者が試合終了後約4時間かけ、マニュアルで選手の特定と選手名のタグ付けを行ってきた。

今回、AIを使って写真に選手名を自動でタグ付けできるようにした。写真解析には、学習済みAIである「Microsoft Cognitive Services」およびディープラーニングのフレームワーク「Microsoft Cognitive Toolkit」を採用した。Microsoft Cognitive Servicesの「Face API」を活用して顔を認識し、Microsoft Cognitive Toolkitで作成した独自判定モデルを組み合わせた。

今回開発したAIを使うと、選手の顔が写っていない斜めや横から撮影した写真であっても、「打撃」、「投球」、「守備」、「走塁」の4つのシーンを分類したり、選手名を推定したりできる。さらに、「Azure Durable Functions」を活用して処理を高速化していることで、マニュアルによる最終的な確認作業も含めて30分程度で処理を完了できるようにした。

NPB CICは、富士フイルムイメージングシステムズのクラウド型ファイル管理・共有サービス「IMAGE WORKS」を基盤として利用している。AIを用いた写真画像へのタグ付け機能は、IMAGE WORKS全体で利用できる。今後は、プロ野球だけでなく他の野球団体や野球以外のスポーツでの本機能の利用、一般企業のコンテンツ活用への展開、さらにビデオ分析機能「Azure Video Indexer」を活用した動画解析なども視野に入れている。

日本マイクロソフトは、研究開発機関である米Microsoft Researchが開発したニューラルネットワークモデル「ResNet」を提供するとともに、IMAGE WORKSの開発元である富士フイルムソフトウエアと複数回にわたりハッカソンを開催し、検証を重ねてきた。これにより、選手名の推定精度を認識率90%以上まで高めた。

毎試合ごとに4時間もかけて選別作業が行われていたというのも知らなかったですが、画像識別の技術は各産業で応用されていますね。
次回の更新も楽しみにして頂けますと幸いです!