【no.560】顧客体験(CX)をAIで高度化する方法とは?ガートナーが注目技術や活用法、事例を解説

顧客体験(CX)をAIで高度化する方法とは?ガートナーが注目技術や活用法、事例を解説

顧客体験(CX:Customer Experience)の向上に向けて、人工知能(AI)を活用する動きが広がりを見せている。認識速度が人間より格段に速く、しかも学習を通じて認識能力の向上が可能なAIは、今後CXでも非常に重要な存在となることが見込まれる。一方で、AIの活用に課題を抱える企業も多い。ガートナー シニア ディレクター,アナリストのブライアン・パトリック・マヌサマ氏が、CXの向上に向けたAI活用の課題、活用を見込めるAI技術、具体的な活用方法について、事例も交えながら解説する。

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顧客体験(UX)の向上にAIが果たす役割が大きくなってきた
(Photo/Getty Image)
<目次>
AIに苦労しつつもCXへの活用は着々と
「感知」「思考」「実行」におけるAIの有効性
人では気づけない“兆し”をAIが炙り出す
新たな販売チャネルへとボットが進化

AIに苦労しつつもCXへの活用は着々と
AIの登場が顧客体験(CX)に大きなインパクトをもたらしている。理由は明快だ。近年の技術革新により、AIはテキストや画像、音声など、非構造化データも適切に認識できるまでになった。しかも、認識速度は人間より格段に高速で、学習を通じて能力を高められる。この特性から、たとえばチャットボットへの応用を通じて対話品質を高めたり、人の動きの分析結果から店内のレイアウトを見直したりすることで、さらなるCXの向上を見込むことができるからだ。

ただし、「AI活用は一筋縄ではいきません」と指摘するのは、ガートナー シニアディレクター,アナリストのブライアン・パトリック・マヌサマ氏だ。それは、ガートナーが世界中の1000人以上のCIOを対象に毎年実施する「CIOサーベイ」からも見て取れる。同調査ではAIの採用動向について尋ねているが、その結果を見ると、2019年に「1年以内に導入する」と回答した割合が23%だったのに対して、2020年の「導入済み」との回答は4ポイント低い19%だ。