【no.621】手遅れになる前に。豪州でAIを活用した「ミツバチ保護」プロジェクト始動

手遅れになる前に。豪州でAIを活用した「ミツバチ保護」プロジェクト始動

生態系に大きな影響を及ぼすとされるミツバチの存在。その現象や絶滅の危機を救うため、オーストラリアの食品会社Bega Cheeseと養蜂家たちが、人工知能(AI)を使った保護プロジェクト「パープルハイブ・プロジェクト」を立ち上げた。

ミツバチの減少や絶滅の危機を招く要因のひとつに、「ダニ」の存在が挙げられている。ヘギダニやそれらが運ぶウイルスは、ミツバチや蜂の巣を破壊するほど致命的なダメージを及ぼす。これまでオーストラリアを除く全世界でその存在が確認されていたが、今年4月にはオーストラリアでも発見される事態となった。放置すると被害は甚大になる恐れがある。それがパープルハイブ・プロジェクトの立ち上げの経緯となった。

従来、オーストラリアの養蜂家たちは、ダニがいるかどうかを自分たちの目、つまりは「目視」で確認してきた。しかし、それでは多大な労力がかかるばかりか、効率も悪い。そこで、「パープルハイブ」と名付けられた太陽熱で動作するダニ自動検出機が開発・投入されることになった。

パープルハイブには画像認識AIが搭載されている。パープルハイブが備え付けられた養蜂箱にミツバチが入るたびに、AIが自動的にスキャニングを実施。ダニに寄生されているかどうかを、360度カメラで24時間入念に監視する。仮にダニが発見された場合、養蜂家たちのスマートフォンにアラートが届けられ、該当する養蜂箱を隔離するように促すという仕組みだ。