【no.100】コピペを見抜く新卒採用AI、サッポロHDが書類選考時間を4割減

コピペを見抜く新卒採用AI、サッポロHDが書類選考時間を4割減

新卒社員の選考業務にAI(人工知能)を活用し、エントリーシート(ES)の判定にかける時間を4割減らした。「コピペ」のシートを見破ることもできるという。

サッポロホールディングス(HD)傘下のサッポロビールは2019年度に入社する新卒社員の採用にAI(人工知能)を導入した。2018年2月から、採用の初期段階でエントリーシート(ES)を使い合否を判定させた。以前は人事部が10~20人で1週間かけていた。全員分を足し合わせると約600時間の業務だった。AIが業務を肩代わりすることで、この時間を4割削減できた。

マイナビと三菱総合研究所(MRI)が共同開発したESの診断サービス「HaRi( ハリ)」を導入した。前年度にサッポロビールを受けた学生のESを学習データに使う。採用した学生と不採用の学生のESの特徴を分析して推論モデルを構築。マイナビを通じて応募してきた学生の合否を判定した。コピー・アンド・ペーストで書かれたかどうかを診断する機能もある。

人事部はAIが不合格と判定したESだけを読む。担当者が合格と判定すれば敗者復活、学生は次の選考へ進める。例年、同社にESを提出する学生は約6000人。2019年度は7000人を超える見込みだ。同社人事部の萬谷浩之マネージャーは「業務を平準化する方法を探していた」と話す。春は採用だけでなく社内異動に伴う業務も増える。人事部の負担を減らす必要があった。

内定辞退の予測も視野に
サッポロビールがHaRiを選んだのはデータ連携の容易さからだ。これまでは新卒の採用管理に特化したマイナビのASPサービス「アクセスオンライン(AOL)」を使ってきた。HaRiとAOLはAP(I アプリケーション・プログラミング・インタフェース)でつながる。AOLのWeb画面から診断項目を選択してHaRiの分析結果を確認できる。

AIによる合否の基準は「AIハイブリッド診断」機能で設定できる。「専門性と志望動機のつながり」「コミュニケーション能力」といった基準について、どれをどれだけ重視するか企業が重みを設定し、合否基準を明確にできる。

現在、サッポロビールは自由記述欄だけをAIの学習に使う。今後は様々なデータの利用を検討していく。例えば、業績の良い社員の入社前のESを分析して活躍が見込めそうな学生を予測したり、内定を辞退する恐れのある学生を見分けたりする。

MRIによるとサッポロビールを含めて15社がHaRiを導入している。業種は製造業、広告代理店、食品と幅広い。ソフトバンクやリクルートといった大手企業も採用活動にAIを利用し始めた。「AI採用」の導入はさらに進みそうだ。

AIによりエントリーシートでそこまでのことがわかるようになってくるのでしょうか。完全に合否をゆだねるのではなく、最初の審査として使うのは良いですね。

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