【no.297】トラックドライバーのヒヤリ・ハット状態をAIが検出 ABEJAと日立物流が技術を開発

トラックドライバーのヒヤリ・ハット状態をAIが検出 ABEJAと日立物流が技術を開発

イメージ (AC)
ディープラーニングを活用したAIの社会実装事業を展開するABEJAは3月5日、日立物流と共同で、トラックドライバーの走行中の車両データからヒヤリ・ハット状態を検出するAIモデルを開発したと発表した。

日立物流は、ドライバーの生体情報や運転中の映像などのデータを様々なIoTセンサーから取得・解析し、事故発生につながる可能性のある状況を特定することで事故を未然に防ぐ「スマート安全運行管理システム」(SSCV)を展開している。今回、両社はSSCVで蓄積したデータから、ヒヤリ・ハット状態を定義、学習することで、走行の危険度評価を自動化するAIモデルを「ABEJA プラットフォーム」上で共同開発した。

また、開発したAIモデルをSSCVにAPI連携し、SSCV上の機能として、2019年4月を目処に、提供する予定。具体的には、ドライバーの走行データについて開発したAIモデルを用いて解析し、ヒヤリ・ハット状態を検知することで、走行時の危険状況をドライバーと管理者にフィードバックする機能として提供する予定。

ABEJAと日立物流は、物流企業に機能を追加したSSCVを提供することで、ドライバーの体調サポートや事故防止を図る。

【no.296】100万文字で4ドル? AIアナが登場、どうする人間

100万文字で4ドル? AIアナが登場、どうする人間

ナナコ、ゆい、エリカにトミー。各地で人工知能(AI)を使ったアナウンサーの開発が進んでいる。人間との違いは?

関西空港が孤立するなど、関西地方で大きな被害がでた昨年9月の台風21号。和歌山県では停電が発生し、ラジオが頼りにされた。対象地域が半径5~15キロ程度のコミュニティーFM、「エフエム和歌山」(和歌山市)は、市内にしぼった気象や避難所の情報を一晩中繰り返し伝えた。

この放送を支えたのは、同局が独自開発したAIアナウンサーだった。一帯では、南海トラフ地震で大きな津波被害が予想されている。同局の山口誠二クロスメディア局長(36)は、災害情報を伝える手段としてAIアナウンサーを考えた。

独学でプログラミングを習得し、ニュースや天気予報の原稿を自動生成し、指定した時刻に読み上げる「オンタイムプレーヤー」のシステムを2017年7月に構築。同年9月には、原稿を繰り返し読む「ダカーポ」システムを開発した。

【no.295】【3/18】世界中のAIスタートアップ40社以上が集結する「Zeroth AI カンファレンス」が秋葉原で開催

【3/18】世界中のAIスタートアップ40社以上が集結する「Zeroth AI カンファレンス」が秋葉原で開催

AI分野に特化したアクセレータプログラム運営元のZerothが主催する「Zeroth AI カンファレンス」が、3月18日(月)に開催されます。

世界中からAI系のスタートアップが40社以上参加し、日本にいながら世界のAI動向が知れる1日となりそうです。

Zerothとは?

Zerothは、香港を拠点とするAI分野に特化したスタートアップアクセラレーター。初期段階にあるスタートアップに対し投資を行い、約3ヶ月に渡って多くの人材が集中的にメンタリング・サポートを実施することで、事業の立ち上げを加速させています。

2016年の創業以来、合計61社に支援を実施しており、ソフトバンクグループのAI特化型インキュベーター兼VCのDEEPCOREと提携。2018年12月から2019年3月まで東京でアクセレータープログラムを実施しています。

なぜ東京開催か?

Zerothによれば、東京には優秀な技術な技術を持つスタートアップが数多く存在しているが、市場として日本に集中しており、海外市場への参入が全くないというケースもあります。

Zerothは、海外に目を向けないことにより多くの機会損失が生まれていると考え、AIコミュニティをグローバルレベルで強化するため、「Zeroth AI カンファレンス」の開催を決定したとのこと。

東京がAI産業発展地の中心地として大きな可能性を秘めているだけでなく、東京を起点に国境を超えた交流が行われることが、アジア全体のAI産業の引き上げにもつながるという考えから、東京が開催地として選ばれたとしています。

【no.294】市民のライフイベントに寄り添う–フィンランド政府が取り組むAIアシスタント「Aurora」

市民のライフイベントに寄り添う–フィンランド政府が取り組むAIアシスタント「Aurora」

フィンランド政府は人工知能(AI)を活用する試みの試験運用を進めている。この試みは、世界でもっとも野心的な公的部門によるAIアシスタントになるかもしれない。

この「Aurora」と名付けられたAIアシスタントは、各ユーザーにパーソナライズされたサービスを提供することを目指すデジタルプラットフォームで、人生の特定のタイミングにおける個人のニーズに合わせて、サービスのフィルタリングを行う。

Auroraの核になっているのは強化学習で、長期的なデータに基づいて、特定のユーザーグループがもっとも必要としているサービスの組み合わせ(公的サービスと民間サービスの両方を含む)をソフトウェアに特定させている。そのようなサービスは優先される一方で、必要性が低いと見なされたサービスの組み合わせは脇道に追いやられる。

プロジェクトの設計者によれば、ユーザーグループは主に匿名化された個人情報に基づいて作成されるという。

ITコンサルティング企業Cybercom Finlandのデータサイエンス事業の責任者であり、Auroraネットワークを設計しているAntti Hahto氏は、米ZDNetの取材に対して「グループレベルで利用できる匿名の情報が多いほど、各個人にパーソナライズされた適切なサービスを提供でき、個人と社会を近づけるのに役立つ」と述べている。

「データが個別の形で必要とされる場合、われわれは『MyData』の原則に従い、他の誰でもなくそのユーザー自身がデータの所有者だとして対応する」(Hahto氏)

このプロジェクトの基礎的な要素の1つが「デジタルツイン」だ。デジタルツインという名前にディストピア的な雰囲気を感じる人もいるかもしれないが、これは仮想の自分が評価されるというようなものではない。中国が急速に開発を進めている社会信用システムで行われているような市民の格付けとは異なる。

多くの意味でまったく逆の役割を果たすものとなりそうだ。ユーザーがどのアプリケーションやサービスを利用し、どれだけのデータを共有するかを選択できるようにするデジタルプラットフォームだ。

【no.293】AIで物流の配送ルートを自動立案–日立が日中、タイでサービス化

AIで物流の配送ルートを自動立案–日立が日中、タイでサービス化

日立製作所は2月28日、人工知能(AI)を利用して最適な物流の配送ルートを立案するという「Hitachi Digital Solution for Logistics/配送最適化サービス」を発表した。4月1日から日本と中国、タイで提供する。

新サービスは、納品日時や物流センター/拠点の位置、走行ルート/時間、渋滞、積荷/滞店時間、車格、ドライバー条件などのデータを全て変数化し、熟練ドライバーの経験(トラックの横付けスペースの利用順序の決定、複数ある配送候補日の調整など)から日立独自のアルゴリズムによるデータ分析を行うことで、効率的な配送計画(車両単位の配送先、配送日時の割り付けや配送ルート、積載率、稼働時間・走行距離など)の自動的に立案する。

また、GPSで配送車の走行記録を取得し、データ連携によって自動的に配送実績も作成できる。利用者は配送計画と実績の比較や可視化による把握が可能。日立はこれらのデータの分析から計画立案の精度向上を支援するほか、今後は利用者自身でも分析ができる機能を追加する予定だという。

物流の課題として日立は、日本では電子商取引の拡大やドライバー人材の不足、長時間労働など、中国やタイでは製造業などのミルクラン(巡回集荷)や共同配送のニーズの高まりがあると指摘する。

現状では熟練者の経験に依存して配送計画を立案するケースが多いといい、日立はAIやデータ分析技術の活用を加味することで、より精度の高い計画を効率的に立案できるようになると説明。同社が三井物産と行った実証実験では、トラック台数を最大で約10%削減し、熟練者と同等かそれ以上に実行性のある配送計画の立案が可能という効果が確認されたとしている。

同社は、IoTプラットフォーム「Lumada」を利用した新サービスと既存システムや他社サービスのデータ連携も可能として、利用者の希望に合わせたデータ活用環境も構築できるという。

【no.292】Google DeepMind、前日に1時間ごとの風力予測AIを開発。風力発電エネルギーの価値が約20%向上

Google DeepMind、前日に1時間ごとの風力予測AIを開発。風力発電エネルギーの価値が約20%向上

ASSOCIATED PRESS

Alphabet傘下のGoogleとAI開発子会社DeepMindは、風力発電システムに機械学習アルゴリズムを応用し、米国中部にある700メガワットの風力発電設備で実際の発電の36時間前に発電量を予測するAIシステムを構築したと発表しました。

このシステムの予測によって、風力発電システムは1時間ごとに送電網に流す最適な電力を、前日の段階でスケジューリングできるとのこと。これによってこの風力発電設備の有用性は以前に比べ約20%も向上したと発表されています。

地熱発電や太陽光発電といった再生可能エネルギーは、炭素を含んだ化石燃料を使わないため温室効果ガスも排出せず、地球環境にも負担を掛けないエネルギー源として注目を集めています。その中でも風力発電は、風力原動機の低価格化にともなって採用が増加しており、電力供給源としての比重を増しつつあります。

しかし、風力発電の有用性を高める上で、ネックとなるのが出力変動の大きさ。風まかせとはよく言ったもので、風力は時間により変動しやすいため「設定した時間に確実に電力を供給できる」火力発電ほどには社会インフラの主軸とはしにくいわけです。

そこでDeepMindとGoogleは、アメリカ中部の700メガワットの風力発電を対象として、機械学習アルゴリズムの運用をスタート。Googleはアメリカや世界各地で再生可能エネルギープロジェクトに投資していますが、テスト地域の発電施設は、中規模の都市で必要な電力を賄えるほどの発電量です。

ニューラルネットワークの訓練には、一般に利用可能な天気予報と過去のタービンデータを使用したとのこと。これを用いて構築したDeepMindシステムの予測結果は、次のグラフで示されているとおりです。実際の発電量は上下する幅が激しく、AIによる予測は追い切れてはいませんが、少なくとも「大きく増減するタイミング」は捉えているようです。
wind
まだまだ研究は初期の段階で、アルゴリズムは洗練され続けている最中で発展途上とのこと。それでも、1時間ごとの予測がない場合よりは、風力エネルギーの有用性が約20%も向上したという結論です。

Googleはこうした機械学習アプローチが風力発電のビジネスを強化し、世界の電力網におけるカーボンフリーなエネルギーの採用を推進することを目標とすると述べています。また風力に限らず太陽光やその他の変化しやすい電源を最大限に活用するアイデアを開発し、機械学習の一般的な利用可能性の探究に参加していきたいとのこと。

【no.291】AIがモデルを審査!? 「副業モデル」マッチングアプリの挑戦

AIがモデルを審査!? 「副業モデル」マッチングアプリの挑戦

企業の採用から男女の出会いに至るまで、人や仕事などを人工知能(AI)を使ってマッチングさせるサービスが広がっている。副業でモデルをしたい人と、広告用などにモデルを探している企業を結び付けるアプリ「週末モデル」を運営するMONOKROM(東京都渋谷区)は2月27日、このモデルのマッチングにAIを活用する取り組みを始めると発表した。

具体的には今後、AIにモデルの審査を「担当」させたりもするという。ただ、モデルの選抜というと、企業の人間が候補者を面接するアナログなオーディションを想像してしまう。容姿やキャラクターなどちょっと数値化しにくい評価基準が多そうなモデルのマッチングを、AIはどう担うのか。

photo副業でできる「週末モデル」。写真は本業で介護福祉士を務める女性(MONOKROM提供)

AIが“主観”なくモデル審査

週末モデルは、主婦や会社員など本業を別に持つ女性が登録することで、副業としてモデルの仕事に応募できるアプリ。2017年末にサービスを開始してモデルは現在約1500人、仕事を募集する企業は約300社登録している。主にWeb上の動画を始めとした広告の案件が多いという。

副業として気軽にモデルに挑戦したい女性と、専業のプロモデルに頼むよりコストを抑えて広告を作りたい企業を引き合わせる仕組み。成約すれば運営側は3割の手数料をもらう。

photoアプリを通し企業からモデルの仕事を受ける(MONOKROM提供)

今回、サービス運営会社のMONOKROMは、AI開発のベンチャーであるAIQ(東京都千代田区)と業務提携した。同社が持つビッグデータ解析の技術を導入し、これまで人力で大量の情報をさばいてきたモデル審査をある程度、AIが主観を交えず自動的にこなすようにしていくという。

【no.290】AI大国の広報大使? 中国・新華網が女性AIアナウンサーを追加

AI大国の広報大使? 中国・新華網が女性AIアナウンサーを追加

中国国営放送・新華社は昨年11月、世界初となるAI男性アナウンサーの「張昭」(英語担当)と「邱浩」(中国語担当)を公開した。それから数カ月を経て2月19日、同社が女性バージョンのAIアナウンサーを用意していると中国現地メディアが報じた。

女性AIアナウンサーの名前は「新小萌」。実在するジャーナリスト・屈萌氏の顔をモデルにしたもので、AI男性アナウンサー同様、検索ポータルの搜狗と新華網が共同で製作した。

新華網は同日、邱浩の新バージョン「新邱浩」もリリースしている。新邱浩は、より滑らかに、自然な身振り手振りを交えながら情緒的にニュースを伝えるようグレードアップされたという。

新華網のAIアナウンサーは、実際のアナウンサーの映像から声、唇の形、表情などを抽出し、ディープラーニング技術を用いて再現された。テキスト記事を入力すると、AIアナウンサーは人の声や口の形を真似てニュースを伝える。

人間のアナウンサーの勤務時間が1日およそ8時間なのに対し、AIアナウンサーは疲れ知らず。24時間稼働できるため、コスト削減や緊急報道番組の迅速な制作などのメリットが期待されている。新華網の説明によれば、昨年11月のリリース以降、すでに約3400件の報道、時間に換算すると合計1万分のニュースを報じる実績を積んでいるという。

なおAIアナウンサー導入から数カ月がたち、中国では好意的に捉える視聴者がいる一方、人間の方が良いという意見も根強く残っているという。AIアナウンサーはまだまだ機械的かつ不自然であるというのが反対派の意見だ。

新小萌は、3月5日に開催される中国最大の政治イベント・全国両会(全国人民代表大会および全国政協会議)で正式に大衆に向けて公開される予定だという。思うに、AIアナウンサーを積極的に推す背景には、中国政府によるAI産業に対する啓発およびPRも含まれているのではないか。AI大国になると宣言している中国にとって、放送網を通じてAIアナウンサーを露出することは、自国の人々に国の政策を広く認知させることに繋がるからだ。言い換えれば、AI時代のシンボルであり広報大使だ。

現在、邱浩、新小萌などAIアナウンサー以外にも、ハンソン・ロボティクス社のAIロボット「ソフィア」が、国連など世界各国でスピーチを行い注目を集めている。人間と機械が共生する時代が迫っているとされる昨今、広報大使としてのAIの存在も今後増えていくのかもしれない。

【no.289】フェイスブック、イケアが認めたAIコマース企業GrokStyleを買収

フェイスブック、イケアが認めたAIコマース企業GrokStyleを買収

フェイスブックは先日、AIテクノロジーとビジュアルサーチ技術に特化したスタートアップ企業「GrokStyle」を買収したと発表した。買収金額などの詳細は明らかにされていない。

家具販売のイケアは、同社のモバイルアプリにGrokStyleが開発した技術を採用しており、ユーザーが家具の写真を撮影すると、オンラインで購入可能な類似商品を表示している。

「GrokStyleをフェイスブックに迎え入れることに興奮している。同社のチームとAI技術はフェイスブックの人工知能関連プロジェクトに、多大な貢献を果たすことになる」と、フェイスブック広報担当のVanessa Chanは述べた。

フェイスブックはGrokStyleのテクノロジーを、個人売買プラットフォームの「フェイスブック・マーケットプレイス」での、関連アイテムの表示に用いることが想定されている。

2015年にサンフランシスコで創業のGrokStyleの公式サイトには「本日、GrokStyleはチームとして新たな歩みを始めたことを宣言する。当社のチームとテクノロジーは、今後も存続を続け、AI技術を小売分野でのビジュアルサーチ機能に活用していく」とのメッセージが掲載された。

フェイスブックはAI分野での優れた人材獲得をめぐり、アマゾンやグーグル、アップルらとの競争に直面している。この分野での競争は多くの場合、AIスタートアップ企業の買収に結びついている。

フェイスブックはここ数年で複数のAI領域のスタートアップを買収しており、その1社には、昨年買収したロンドンのBloomsbury AIがあげられる。Bloomsbury AIはフェイクニュースの発見に強みを持つ企業で、買収金額の詳細は非開示だが、テッククランチは金額を「2300万ドルから3000万ドル(約33億円)」と伝えていた。

【no.288】AIが歯周病リスクを予測、口腔疾患の早期発見に ドコモと東北大

AIが歯周病リスクを予測、口腔疾患の早期発見に ドコモと東北大

NTTドコモと東北大学は2月21日、スマートフォンで撮影した歯茎の画像から歯周病を発見するAI(人工知能)の共同研究を開始すると発表した。2022年度までに商用化を目指す。

東北大学大学院の佐々木啓一教授(歯学研究科長)(左)とNTTドコモ先進技術研究所の滝田亘所長(右)

スマホアプリを使って歯茎の写真を解析。歯茎の色や形状などの特徴から、AIが歯周病と考えられる部位を見つけ、歯周病リスクをユーザーに通知するという。

利用者がスマホを使って気軽に歯周病のリスクを把握できる一方で、歯科医師は患者とのコミュニケーションの接点になったり、往診で持ち運ぶべき器具が減ったりするといったメリットがあるとしている。

本プロジェクトは、東北大学大学院の佐々木啓一教授(歯学研究科長)に、ドコモがAIによる画像・動画診断技術の活用を持ちかけたことで実現した。

東北大学が持つ歯周病の知見や画像などの症例データを基に、歯周病のリスクを予測する機械学習モデルを作成。現時点での認識精度は「理想的な条件で8割程度」としているが、一般ユーザーに自身のスマホで撮影してもらうシーンを考慮すると、環境光や顔の角度の違い、手ブレの影響など認識上の課題も多い。

東北大学が持つ歯周病の知見や画像などの症例データを基に、歯周病のリスクを予測する機械学習モデル

これら課題については、今後機械学習の改善やサンプル数の増加、ディープラーニング(深層学習)などで一般的な環境での認識精度を上げたいとしている。

アプリをどのような形で提供するかは「全く未定」(NTTドコモ先進技術研究所の滝田亘所長)という。

「今のところ考えられるのは、法人向けの診断に取り入れてもらうことや、歯科医師への提供など。逆にユーザーから毎月お金をいただくようなことはあまり考えていない」(滝田所長)

AIが発見する口腔疾患としては歯周病の他、顎関節症や口腔がんも見つけられるよう研究を進めていく。

歯周病の他、顎関節症や口腔がんも見つけられるよう研究を進めていく

健康アプリか、医療機器か

佐々木教授は「厚生労働省と相談しながら研究を進めている」と話す。歯周病発見AIのアプリが、単なる「健康アプリ」なのか、それとも「医療機器(ソフトウェア)」に当たるものなのか、判断が難しいからだ。

「ユーザーに使ってもらって、自分の中で受診するかどうかを判断する1つのツールということであれば、これは健康アプリであって医療機器ではない」(佐々木教授)

滝田所長は「従来の枠組みであれば、スマホ自体が医療機器という定義はありえない。ここに疾病のリスクを推定する機能を入れるとどうなるか。自分で使う分には医療機器にはならない。しかしこれを医療機関とつないでやりとりをした瞬間に医療機器となるであろうという議論がある」とし、AIを用いた画像診断は従来の医療機器の枠組みに収まらず、法的に十分な整備がないと説明する。

「新しいタイプの医療の形は実際に実例を積み上げ、関係官庁とよくコミュニケーションを取り、医療機器の境界を定めていかないといけない」(滝田所長)

佐々木教授も「今までのカテゴリーにないものだと思う。(法的にグレーだとしても)初めから厚労省と相談しながら進めているという点で、本気度を見てもらえたら」と意気込みを語った。