【no.313】今年の新入社員は「AIスピーカー型」、朝礼や宴会の押しつけはNG

今年の新入社員は「AIスピーカー型」、朝礼や宴会の押しつけはNG

4月1日を迎え、今年もあなたの会社に新入社員は入社しただろうか。ここ数年、新卒採用は売り手市場が続いている。そのなかで採用された今年の新入社員には、どのような特徴があり、上司・先輩世代は彼らとどう付き合えばいいのか。『若者のトリセツ』などの著書があり、産労総合研究所が毎年発表する「新入社員のタイプ」の調査や分析を行う「新社会人の採用・育成研究会」のメンバー・岩間夏樹氏に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 林恭子)

売り手市場で“就活は楽勝”
なぜ今年の新入社員は「AIスピーカー型」か

――2019年度入社の新入社員は、どのようなタイプなのでしょうか?

「新社会人の採用・育成研究会」のメンバー・岩間夏樹氏 Photo:DOL

私もメンバーである「新社会人の採用・育成研究会」では、2019年度に入社する新入社員のタイプを「呼びかけ次第のAIスピーカー型」と名付けました。多くの人がAIスピーカーって面白そう、欲しいと興味を持っているその様子が、売り手市場のなかで採用された今年の新入社員ととても似ていると考えたためです。

ただし、AIスピーカーには便利そうだけれど、使いこなすのがなかなか難しいという面もあります。単純に、音楽をかけたり、今日の天気を質問したりするくらいなら問題ありませんが、テレビをつけたり、部屋の明かりをつけたりするのには、他の機器のさまざまな設定や機能の追加が必要で、お金もかかります。同じように今年の新入社員も、上司の側からすると、部下としては若干扱いにくい面があるのではないかと考えています。

リーマンショックをきっかけとしてはじまった第2次就職氷河期は数年前に終わり、新卒学生の就職は一転して売り手市場に変わりました。

就職氷河期の頃は「内定なしで卒業するのではないか」と不安を抱え、血眼になって就活する学生が数多くいました。また入社後も、「とにかく会社の都合に合わせます」というような殊勝なところがあり、辛くても本音を隠す会社への忠実さがありました。

一方で、最近の学生からは「基本的に何とかなるだろう」「内定が取れずに卒業することはないだろう」という楽勝ムードが漂っています。

【no.312】写真から商品データを推測、メルカリがAI活用の実態を解説

写真から商品データを推測、メルカリがAI活用の実態を解説

メルカリは、AIを活用して出品を簡単にすることに注力している。「売ることを空気に」したいと、メルカリ取締役CPOの濱田優貴氏(写真1)は言う。AI企業としてのメルカリの強みとして濱田氏は、メルカリのサービスを介して得た大規模なデータセットと、豊富なAI人材を挙げる。

大規模なデータセットについては、サービス開始から6年を経て蓄積した、数十億を超える商品データがある。メルカリを利用したユーザーが投稿した、累計出品数11億品超の写真画像や説明文である。これをディープラーニングで学習している。これにより、ある写真画像と類似した商品のデータを得られるようにしている。

AI人材については、現在、データ収集とモデル作成に携わるML(マシンラーニング)エンジニアが約20人、作成したモデルを運用するシステム構築・運用エンジニアが約10人、合計で約30人のエンジニアを抱えている。2019年4月には新卒10人を追加し、2019年9月には新卒20人を追加する。

写真を撮るだけで出品できるようにする

会見では、AIの活用例として、2017年10月から運用しているAI出品の機能について説明した。出品時に登録した商品の写真画像から、商品の内容などの入力候補を提示する機能である(図1)。タイトル、カテゴリ、ブランドを推定し、これらを手動で入力する手間を省く。価格についても、どのくらいで売れるかを示してくれる。

図1:AI出品の概要。出品時に登録した商品の写真画像から、商品の内容などの入力候補を提示してくれる(出典:メルカリ)図1:AI出品の概要。出品時に登録した商品の写真画像から、商品の内容などの入力候補を提示してくれる(出典:メルカリ)
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出品を極限まで簡単にする、とメルカリは言う。あらゆる商品を、写真だけで出品できるようにしたいとしている。次期アプリのプロトタイプでは、スマホをモノにかざすだけでモノを認識し、出品価格を表示する。この流れで、そのまま出品できる。現在でも、書籍やゲームソフトなどの識別が容易なものについては、写真だけで商品説明まで自動で入り、1分以内で出品できる。

AI出品では、AIの活用方法に工夫を凝らした。ディープラーニングだけでは商品カテゴリやブランドの増減・再構築のたびに再学習が必要になるため、ディープラーニングで学習させたモデルを活用しつつ、k-近傍法を組み合わせた(図2)。「ディープラーニングの運用面の弱点を古典的な手法でカバーしている」(メルカリでエンジニアリングマネージャーを務める山口拓真氏)。

【no.311】ドライブスルーのメニュー看板をAI化、状況や顧客に合わせお勧め表示へ。米マクドナルド、AI企業を買収

【no.311】ドライブスルーのメニュー看板をAI化、状況や顧客に合わせお勧め表示へ。米マクドナルド、AI企業を買収

米マクドナルドが、機械学習システムのスタートアップDynamic Yieldを3億ドルで買収したと発表しました。この買収によって近い将来、ドライブすする~の入り口に掲げるメニュー表が、そのときの状況に合わせて最適なおすすめメニューを表示するようになるかもしれません。

考えられるメニュー表ディスプレイは、その日の気候や時間帯、周辺地域におけるイベントや道路の混雑状況を考慮し、さらに過去の販売実績データから人気トレンドの商品、ドライブスルーで注文されやすい商品などをAIが検討し、最適なメニューの組み合わせを表示します。

たとえば、非常に暑いhideあればMcFlurryやアイスコーヒーを一番見やすい位置に掲げたり、待ち行列が長くなれば提供の早いメニューをおすすめに提案したりといった具合。最終的には、車のナンバープレートを読み取って顧客の過去の注文履歴から瞬時に好みとおすすめのメニューに表示を切り替えることも考えているとのことです。

すでに2018年の段階で、いくつかの店舗ではこのAIをテスト済み。マクドナルドのグローバルCIO(最高情報責任者)のダニエル・ヘンリー氏はこの後3ヶ月の間に1000店舗以上でこのAIメニュー看板をテストするつもりだとWiredに述べました。最終的に全米1万4000店のマクドナルドにこれを供給するであろうことは容易に想像がつくものの、マクドナルドはそのほかの市場にもこのシステムを提供していく考えです。

またドライブスルーだけでなく、セルフオーダー方式のタッチ端末画面や、モバイルアプリの表示にもAIを活用していくとのこと。もし日本での利用方法を考えるならば、回転寿司のオーダー用タブレットなんかにこのAI技術が応用できるかもしれません。

なお、Dynamic Yieldはマクドナルド傘下にはなるものの独立企業として機能し、IKEAやその他の現在の顧客との取引も継続します。

【no.310】ドコモ、AI運行バスの提供開始…乗りたいときに行きたい場所まで自由に移動

ドコモ、AI運行バスの提供開始…乗りたいときに行きたい場所まで自由に移動

NTTドコモは、AI(人工知能)を活用したオンデマンド交通システム「AI運行バス」を4月1日より全国で提供を開始。あわせて、2017年9月より実証実験を積み上げてきた九州大学伊都キャンパスにて、同日より商用提供を開始する。

AI運行バスは、乗りたいときに行きたい場所まで、自由に移動できるオンデマンド交通システム。需要に応じて配車されるので、時刻表などを気にせず、いつでも気軽に利用できる。予約は乗車人数、乗降場所、乗降希望時刻などを伝えるだけ。スマートフォンのアプリや電話から利用できる。時刻表も運行ルートも決まっておらず、利用者の移動需要に最も効率的に対応できる送迎順で、必要な乗降ポイント間を走行できるため、定時・定路線の循環バスなどに比べ、利用のない区間の走行が不要になるなどの効率化も見込める。

AI運行バスは、高度なAIにより配車を制御。出発地・目的地の異なる利用客の乗降リクエストが新たに発生すると、複数の車両から効果的な配車・ルートを算出するための膨大な計算をAIがリアルタイムに行い、効率的な乗り合わせ(乗り合せる組合せ)を実現する。また将来的には、日本全国の大量の人口統計データを活用し、移動需要のある場所、時間、乗車人数を事前にAIで予測し、それに応じた走行ルートや配車数の決定も可能になるという。

AI運行バスの提供価格は、営業区域数とバスの車両台数により異なるが、初期導入費用は50万円、月額利用料は18万円から。今後ドコモはAI運行バスの提供により、移動利便性向上と地域経済活性化など社会課題解決に貢献し、2020年度末までに100エリアでの導入をめざしていく。

【no.309】AIが株式投資をサポート、「資産運用は難しい」払拭へ HEROZとSMBC日興証券

AIが株式投資をサポート、「資産運用は難しい」払拭へ HEROZとSMBC日興証券

SMBC日興証券とAI(人工知能)ベンチャーのHEROZは3月25日、AIを活用して個人向けの株式投資をサポートする「AI株式ポートフォリオ診断」を共同開発したと発表した。SMBC日興証券でネット取引を行う「ダイレクトコース」利用者向けに3月29日から提供する。

AISMBC日興証券とAI(人工知能)ベンチャーのHEROZが「AI株式ポートフォリオ診断」を共同開発

追加投資金額、購入を検討している銘柄とその市場、リスク許容度を選ぶと、AIがリスクと期待収益を考慮して株式投資のポートフォリオを提案。保有している銘柄の情報を基に、AIが売買すべき銘柄を表示して資産運用をサポートする。株式を保有していないユーザーも同様にポートフォリオを作成できる。

AI「AI株式ポートフォリオ診断」の画面
AI「AI株式ポートフォリオ診断」の画面

AI株式ポートフォリオ診断には、将棋AIで培ったHEROZの独自AI技術「HEROZ Kishin」を活用した。ディープラーニングの手法を用い、上場銘柄の決算データ(売上高、営業利益、総資産など)と株価データ(始値、終値、高値、安値)を学習させた株価予測AIが、1カ月先の期待収益性を銘柄ごとに数値化。その数値を基にそれぞれのユーザー向けにおすすめ銘柄を提案する。ユーザーはスコア化された数値は見られない。予測モデルは年2回更新する。

AIAIが株価を予測

「資産運用は難しい」をAIで払拭

SMBC日興証券は、ネット取引での株式資産運用について課題を抱えていたという。

同社の丸山真志さん(ダイレクトチャネル事業部長)によると、ネット取引では1年間取引実績がなく、実質的に“休眠状態”になっているユーザーが少なくない。また、その内の85%は「保有している銘柄は5つ以下」という状態だ。「多くの銘柄を持ち、分散投資する方が利益が出る傾向がある。ネット取引は自己責任、自己判断といわれることもあり、投資はしたいがどうしていいか分からないという人たちも多い。AIで投資のきっかけをコンスタントに提案したい」(丸山さん)

HEROZの浅原大輔CFOは、「AIの優位性は網羅性にある。人間の場合は数百程度の銘柄しかチェックできないと思うが、AIなら普段見ないような銘柄も含め3000もの上場銘柄を基に予測できる。プロの人間に匹敵する相当熟練したレベルになってきており、バックテストの結果を見てもAIを使うと資産が増える可能性が高いといえる」と話す。

【no.308】「雇用の未来」の著者が推薦するAI時代のスキルとは

「雇用の未来」の著者が推薦するAI時代のスキルとは

AIが人間の仕事を奪うー。2013年に世界に衝撃を与えた論文「雇用の未来」の著者、オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授が来日した。株式会社エクサウィザーズ主催の講演会のあと同准教授と個別に話す機会を得たので、「雇用の未来」論文発表後の社会の変化について聞いてみた。

 

 

ーー先生の書かれた論文「雇用の未来」は先進国の世論に大きな影響を与えたわけですが、最初の反応はどのようなものだったのでしょうかその後変化はありましたか?

オズボーン 論文に対する反応は、段階的に変化していきました。最初の段階では、先進国の人々はかなりショックを受けていたようなに思います。それまでAIが雇用に与える影響について、人々は十分に考えてこなかったのでしょう。論文の公開を受けて、非常に真剣な議論が世界中で巻き起こりました。しばらくすると、今度は論文に対する批判が起こり始めました。私の論文を批判するいくつかの論文は、数字の正確さに対する疑問を投げかけてきました。方法論に対する疑問を呈する論文もありました。しかしそうした細かな批判があったとしても、AIの自動化によって多くの雇用が危機にさらされるという論文の骨子そのものが無効だという主張はありませんでした。一方で、テクノロジーがものすごい勢いで進化し始め社会を大きく変えようとしていることに、多くの人たちが気づき始めました。実際に音声生成技術の完成度が高まり、コールセンター業務に使われ始めるというようなことも起こり始めました。実際に、AIが人間の仕事を代替し始めたわけです。

 

 

ーー多くの人は、まだ不安や恐れの中にいるのでしょうか?AIが引き起こす時代の変化に前向きに対処しようという動きには、まだなっていないのでしょうか?

オズボーン 前向きな反応も増えてきています。ベーシックインカムの議論が出てきていることもその一例でしょう。でもその一方で、少なくとも英米両国では、雇用の変化が政治的状況を不安定にさせているように思います。産業革命のときも政治が不安定になり、大きな社会課題をいくつか引き起こしました。今の英国や米国の政治の不安定が、こうした大きな社会課題の兆しを示しているのかもしれません。

 

 

ーー産業革命のときには最初は事業家だけがうるおい、一般労働者の給与が上昇するまでに50年から60年もかかっています。同じようなことがAI革命でも起こるのでしょうか?

オズボーン 必ず同じような苦しみを味わなければならない、というわけではないと思います。産業革命のときにわれわれは多くのことを学びました。例えば労働組合を作って雇用主と交渉する、ということなどです。この領域で、テクノロジーが一般労働者を手助けするかもしれません。テクノロジーは実業家のためのもののように思われがちですが、労働者が利用してもいいわけです。例えば機械学習がウーバーのアプリに使われていますが、同時にウーバーの運転手たちも自分たち専用のアプリを作ってストライキを起こす、などの手段を取ることも可能なわけです。テクノロジーが問題の解決に使われてもいいわけです。

 

 

ーーなるほど。ところで僕自身もよく質問を受けることなんですが、AI時代に人々はどのようなスキルを身につけていけばいいのでしょうか? AIによって代替されないスキルって、どのようなものがありますか?

オズボーン ソーシャル・インテリジェンスとクリエイティビティーだと思います。

 

 

ーーソーシャル・インテリジェンスってどのようなスキルですか?

オズボーン ソーシャル・インテリジェンスは、人間理解を核とした非常に幅広いスキルのことです。交渉力や、人員管理能力、説得力などが、ソーシャル・インテリジェンスに入ります。

 

 

ーーどうしてAIは、ソーシャル・インテリジェンスの領域に入ってこれないのでしょうか?

オズボーン なぜなら我々人間は、非常に複雑だからです。人間の考えや行動を、完璧に予測することのできるデータセットなど今のところ存在しません。人間は社会的動物です。他の動物の脳と違って、われわれの脳というハードウエアは主に、他の人間とどのようにインタラクションするのか、ということに重点を置いた仕組みになっています。AIというソフトウエアが人間の脳を完全に再現できないことは、当たり前と言えば当たり前です。

 

 

ーー特化型のハードウェアを汎用型ソフトウェアで再現しようとしても簡単にできるものではない、ということですね。では具体的には、どのような仕事がソーシャル・インテリジェンスを必要としているのでしょうか?

オズボーン 管理職、起業家がそうですね。従業員を管理するにはソーシャル・インテリジェンスが必要になってきます。取引先との交渉や、投資家を説得する能力もソーシャル・インテリジェンスです。

メンター的な仕事にもソーシャル・インテリジェンスは不可欠です。ウエイターやウエイトレスもそうですね。人事部の仕事も、ソーシャル・インテリジェンスが必要になってきます。

 

 

ーー確かに。マクドナルドの店員の業務を完全自動化しようと思えばできるわけだけど、それでも人間を雇用し、「スマイルゼロ円」と書いてあります。同社が、ソーシャル・インテリジェンスを重視している証拠ですね。

オズボーン そうだと思います。でも、中にはソーシャル・インテリジェンスを重視しないケースもあります。日本に来て気づきましたが、受付の人の代わりに電話で代替している企業が多いですね。

 

 

ーーそうですね。特にベンチャー企業では、電話が置いてあるだけだったりします。大企業ではソーシャル・インテリジェンスを重視して、受付嬢を置いてるところがまだ多いですけれどもね。さてもう一つのスキルはクリエイティビティーということですが、AIにもクリエイティビティーはあるんじゃないでしょうか?YouTubeで「AI 楽曲」で検索すると、AIが作曲した楽曲が無数にヒットします。

オズボーン そうですね。でもいい曲ってありますか?

 

 

ーーうーん、どうだろう。聞いた感じは、人間が作曲したものとそう変わらないと思いますが。

オズボーン 今はまだもの珍しさからAIの楽曲を聴くひとがいますが、目新しさがなくなってでもAIの曲を楽しむ人がいるでしょうか?

クリエイティビティーに関して新しい議論が出てきています。

例えばAIが何万もの楽曲を次から次にと作ったとします。あなたがその内の1曲を気に入ったとします。クリエイティビティーってどこに存在するのでしょうか?AI側でしょうか?あなた側でしょうか?

 

 

ーーなるほどAIは過去の楽曲のデータを使って無作為に楽曲を作り続けるだけ。その無数の楽曲の中から一曲を選ぶという作業こそが、クリエイティビティーだというわけですね。では碁の打ち手はどうでしょう?アルファGOがリ・セドル氏を打ち負かしたとき、記者会見でリ氏は「こんな打ち手を見たことがなかった。非常にクリエイティブな打ち手だった。コンピューターにはクリエイティビティーがないと言われているが、クリエイティビティーがないのは、同じ定石を何千年も打ち続けている人間のほうではないでしょうか」と語っていました。

オズボーン そうですね。ただゲームは実際の現実社会とは大きくかけ離れています。環境がしっかりと定義されている。ゴールがはっきりと決められていて、そこに向かう過程も全て正確に把握できます。現実社会はゲームと違って、かなりファジーな環境の中で進んでいきます。ゴールは必ずしも1つではなく、また今どのような状況なのかを示してくれる正確なデータも十分に集まりません。

それにAIがゲームの中でクリエイティブな打ち手を見つけてきたとしても、実際にはすでに存在する打ち手を真似ただけかもしれない。クリエイティビティーって何か、どこからくるのか、という先ほどの問いに戻ってしまいます。

 

 

ーーなるほど。確かに現実社会の中では、人間のクリエイティビティーってまだまだ必要な感じがしますね。ところでクリエイティビティーが必要な具体的な仕事って、どんなものがありますか?

オズボーン 芸術などは当然、クリエイティビティーが必要ですよね。あと学者も研究にはクリエイティビティーが必要です。

 

 

ーーでもそういう意味では、すべての仕事にクリエイティビティーが必要になりませんか?

オズボーン その通りです。どの仕事にも、ルーチンワークとクリエイティブワークが含まれます。ルーチンワークはどんどんAIに代替され、クリエイティブワークの部分で人間は活躍することになると思います。

 

 

ーーなるほど。これまで雇用の数が少なくなると言う、量の部分だけが注目されてきたわけですが、質の部分こそがより重要だということですね。同じ仕事の中でも、ソーシャル・インテリジェンスとクリエイティビティーがより重要になってくる。仕事の数が少なくなることを心配するよりも、仕事の質がどのように変化していくのか、今後求められる質の変化に自分がどう対応していくのか、などといったことが重要になるということですね。

オズボーン  そうですね。それと先ほどベーシックインカムの話をしましたが、富をどのように分配していくのかということも、しっかり議論していかないといけなくなるでしょうね。

 

【取材を終えて】

AI時代にどのようなスキルが必要なのか、だんだん見えてきたように思う。やはり対人能力とクリエイティビティーなんだな。対人関係でAIが精度をあげられないのは、人間があまりにも複雑だから。ゴールの設定も難しいし、感情の機微を正確に測るセンサーもない。クリエイティビティーも同じ。結局クリエイティビティーは受け手側の感性に左右されるので、感性のないAIには無理。考えてみれば、今もう既にクリエイティビティーと対人関係重視の傾向は出始めている。今評価されるのは、性格問題ありそうだけど、めちゃくちゃ独創的に動き回っている人か、それほど際立った能力ないけどニコニコしている人かのどちらか。

やがてソーシャル・インテリジェンスと、クリエイティビティーが核にある雇用は残り、ルーチンワークは次々とAIに取って代わられる。一方で、今はルーチンワークが中心の職種でも、ソーシャル・インテリジェンスやクリエイティビティーを加味することで、新たな需要を喚起できるかもしれない。そこに新たなビジネスチャンスがあるのかもしれない。そう思った。

 

【no307】人工知能専門展「第3回AI・人工知能EXPO」は4月3日から3日間開催 5万人が来場見込み

人工知能専門展「第3回AI・人工知能EXPO」は4月3日から3日間開催 5万人が来場見込み

「第3回AI・人工知能EXPO」が4月3日(水)〜5日(金)の3日間開催される。同展示会は、ディープラーニング・画像・音声認識・チャットボット・ロボットなどが集まる人工知能専門展。今回開催するイベントは、前回の1.5倍の規模に拡大し250社が出展、全国から約50,000名が来場すると見込まれている。イベントは事前申し込み制で、ホームページから招待券をダウンロードすると無料で入場できる。

ロボットブースでは、睡眠ロボット「ネモフ」のパルスボッツ(ブース番号:12-1)や、台湾の教育ロボット「Kebbi」を開発する「Nuwa Robotics Ltd.(ブース番号:10-12)」、人工知能検査システムを搭載した「外観検査ロボット」のAIハヤブサ(ブース番号:5-33)などが展示を行う。


パルスボッツは、睡眠ロボット「ネモフ」と、ロボット会話作成サービス「IFRO reaction(イフロリアクション)」を展示する。IFRO reactionは、1問1答のリアクション会話を簡単に生成し多様なロボットに組み込むことができるサービス。パルスボッツは「IFRO」の2019年中のリリースを目指し、昨年9月に資金調達を行なっている。

AIブースでは、10か国語話せるバーチャルロボット「AI さくらさん(ティファナ・ドットコム:ブース番号1-19)」や、リアルタイムで人の声を特定キャラの声へ変換する音声AI変換技術「リアチェンvoice(クリムゾンテクノロジーブース:番号2-6)」、NTTドコモ(ブース番号:7-19)の人の感情を活用した「AIインフォテイメント」のデモンストレーション、AIエージェントAPI/雑談対話サービス「かたらい」の展示などが行なわれる。


他にも、人の感情まで認識し、文脈にあった会話が行える対話型AI「HAL(クリスタルメソッド)」や、来場者の年齢・性別など即座に分析する顔認識エンジン「FaceMe(サイバーリンク)」なども登場するようだ。

【no.306】介護の人手不足にAIを活用 次世代医療推進 国が中間報告

介護の人手不足にAIを活用 次世代医療推進 国が中間報告

介護の未来をAIが変える。

2040年の医療・福祉の在り方について検討する厚生労働省と経済産業省合同のワーキンググループが19日、根本厚生労働相に中間報告書を手渡した。

報告書は、2040年に100歳以上の高齢者が30万人を超え、医療・介護分野での人手不足が、さらに深刻化すると指摘。

AIやロボット技術などを活用した、次世代医療の取り組みを推進している。

番組は、この課題解決にいち早く着手している、あるAIベンチャーを取材した。

都内にある企業「エクサウィザーズ」では、AIを介護に生かそうという取り組みが行われていた。

このベンチャー企業では、認知症患者の介護をサポートするAIの開発が進められている。

天井に設置したカメラと、介護士が眼鏡に装着した2台のカメラで、介護の様子を撮影。

その映像や音声をAIが解析し、介護士と患者の距離や、目が合っている時間などを測定する。

「もう少し離れた位置に立っていただいて、自分の腕を伸ばして、相手に自分の腕を引っ張っていただいて、起きていただくというような介助をしていただければいいと思います」

AIが集めたデータを参考にし、介護をする映像を見たベテラン介護士が、患者とのスムーズなコミュニケーションの取り方を、若手介護士にアドバイスするという仕組み。

エクサウィザーズ・石山洸社長

「とにかく介護の世界は、人が足りないというところもあるので。ほとんど全ての人が、ご家庭で介護をしたりですとか、ケアをしたりですとか、そういう時代になってくると思うんですね」

「今度、(介護の仕方を)教える人の数も足りないという形になるかと思うんですが、インターネットですとか、オンラインの技術、あるいはAIみたいなものをうまく使いながら、サポートしていくということが必要なのかなと思います」

今後、介護施設や病院で実証実験を進め、将来的には、ベテラン介護士の代わりにAIが若手の指導を担うことを目指す。

【no.305】婚活業界初「本物のAI」を導入、人柄まで見てマッチングする実力

婚活業界初「本物のAI」を導入、人柄まで見てマッチングする実力

婚活業界初「本物のAI」を導入、人柄まで見てマッチングする実力

婚活業界で流行のAIだが
厳密にはAIではないものが多数

AI搭載をうたった婚活アプリは、出てきては消え、を繰り返している。AIの精度が問題かと思いきや、そういう問題でもないようだ。

結婚相談所、パートナーエージェントの広報、平田恵さんは次のように語る。

「婚活アプリに搭載されているAIは、厳密には人工知能でないものが多いです。使われているのは、年収や趣味、行動パターンが似ている人を割り出し、マッチングさせている仕組みです」

またFRONTEOの池内さんも言う。

「昨今の人工知能ブームでは、演出としてAIという言葉を使っているようなケースも見られています。“Aを選んだ人はBを選ぶことが多いから、この人も同じだろう”と、協調フィルタリングというシンプルな仕組みだけを使っている場合もあります」

ただし、AI搭載の有無にかかわらず、婚活アプリが長続きしないのには婚活業界が置かれている現在の状況も大きく関係しているという。

「ここ2~3年、婚活業界は今までにない盛り上がりをみせています。婚活アプリは大変な勢いで増えており、結婚相談所を利用する人も増加しています。そのため、利用者が求めるハードルも大分上がり、お客様自身が自分の納得のできるサービスを選ぶ時代になっています」(平田さん)

需要の少ない婚活アプリや結婚相談所などの婚活サービスは、問答無用でどんどん消えていっているのだという。

婚活サービスには、個人情報の提出が欠かせない。大手の結婚相談所ともなると、源泉徴収票や学歴証明書はもちろん、家族の勤め先も提示する必要がある。アプリはそこまでではないものの、やはり顔写真を含む、多くの個人情報を掲載しなければ利用できないものもある。企業の信頼度が、何より重視されるのだ。

【no.303】AI開発でよく耳にする「アノテーション」とは?

AI開発でよく耳にする「アノテーション」とは?

人工知能(AI)の領域には、さまざまな専門用語があります。「よく耳にするけど、実はあまり分かっていない」というキーワードも少なくありません。今回は、そういった用語の中から「アノテーション」を取り上げ、その意味を解説します。

そもそもアノテーションとは?

アノテーションはテキストや音声、画像などあらゆる形態のデータにタグを付ける作業のことです。

機械学習アルゴリズムはタグが付いたデータを取り込むことで、パターンを認識できるようになります。そのためAI開発者は、機械学習アルゴリズムを学習させるために、タグが付いた状態のデータを用意することが必須となります。正確にタグ付けできていないデータを取り込んでも、AIは正しく学習できません。そのため、アノテーションは機械学習における、不可欠な前処理とも言えるのです。

さまざまなアノテーションの種類

一口に「アノテーション」といっても、さまざまな種類があります。代表的なものを幾つか紹介します。

意味的(セマンティック)アノテーション:

意味的アノテーションは、「人」「物」「企業名」などテキスト内のさまざまな単語に意味付けをするタグ付けです。機械学習アルゴリズムがデータを読み込めるようにするのが目的です。意味的アノテーションの活用事例には、検索エンジンの関連性の改良やチャットボットの学習などがあります。

画像・映像アノテーション:

機械学習による画像認識や映像処理は、機密情報の自動認識・漏えい防止、自動車の自動運転、電子商取引での商品リストの分類など幅広く活用されています。

これらの機械学習モデルは、画像や映像の内容を理解しなければ機能しません。データサイエンティストは、機械学習アルゴリズムに画像認識や映像処理を学習させるために、グラウンドトゥルース(現場測定データ)として利用できる、正確にタグ付けされた大量のデータを必要とします。

一般的に画像や映像のアノテーションでは、画像に描かれた架空の箱であるバウンディングボックスを使用します。機械学習モデルが、バウンディングボックスの中のものをそれぞれ異なる種類の情報だと認識できるように、タグが付けられています。

テキスト・コンテンツ分類:

テキストやコンテンツ分類も「アノテーション」に含まれるものです。これは、前もって定義されたカテゴリをフリーテキストで書かれた文書に割り当てる作業です。例えば、文書の中の文や段落を、トピックごとにタグ付けすることができます。コンテンツ分類の代表的な例としては、国内、国際、スポーツ、娯楽など主題別のカテゴリでニュース記事を分類することが挙げられます。

エンティティアノテーション:

「エンティティ」とは、データ構築の際に、人・物・場所・事象・概念・サービスといった対象物を同一のカテゴリでまとめたものです。

エンティティアノテーションは、エンティティに基づいてAIが文章を読めるように、非構造化文章に情報をタグ付けするプロセスのことです。

例えば、弊社が提供している「GengoAI」の裏側をお話すると、学習データを作成するために、2万2000人以上のクラウドワーカーが手作業でタグ付けをしています。対象となる非構造化テキスト(記事など)の中で、どれが人の名前で、どの単語が組織の名前なのか、どの単語が場所の名前でどれが会社の名前なのか、単語一つひとつにタグを付けています。

エンティティアノテーションはさまざまな種類があります。多くのソリューションではこれらのうち複数がシステムに組み込まれているので、データサイエンティストは用途に応じて、適した方法を用いてデータを操作することができます。全てをここで紹介することはできませんが、以下の代表例だけでも、その多様性をお分かりいただけると思います。