【no.504】ディープラーニングを用いた万能AIは企業に浸透するのか

ディープラーニングを用いた万能AIは企業に浸透するのか

「AIはパターンマッチングにすぎない」「RPAで事足りている」。これは、キーマンズネット編集部が実施したAI(人工知能)導入に関するアンケート調査(参考記事)に寄せられた声だ。

昨今、「AIを取り入れた」とうたうサービスは次々と登場し、メディアでもAIの文字を見ない日はない。先述したアンケートでも、また先述したアンケートでは、回答者の約9割が「AIが必要だ」と回答した。しかし一口にAIというが、そもそもどういったものだろうか。

「令和元年版情報通信白書」(総務省)では、AIに関する確立した定義はないとしながら、「人間の思考プロセスと同じような形で動作するプログラム、あるいは人間が知的と感じる情報処理・技術といった広い概念」とされている。

現在、企業で広く使われ始めているAIは、アルゴリズムに基づき、入力データを基にコンピュータがパターンやルールを導いて新たなデータを識別するマシンラーニングだ。より注目を集めているのはディープラーニングで、脳の神経回路構造を模倣したニューラルネットワークを多層構造で用いることにより、特徴量抽出を自動で行うというものだ。(詳しくは「用語解説:ディープラーニング(Deep Learning、深層学習)」を参照)

【no.502】医療AIは「鉄腕アトム」か「機動戦士ガンダム」か

医療AIは「鉄腕アトム」か「機動戦士ガンダム」か

AI(人工知能)の進展により、様々な分野でAIの活用が行われるようになってきている。自動車、不動産、建設業、小売業などなど、AI導入に関するニュースを見聞きしない日はないくらいだ。例えば、タクシーやバスの自動運転、年齢と性別を見てお薦めの飲料物を選んでくれる自動販売機、話すことで音楽の再生やニュースを聞けるスマートスピーカー、どれも裏側にはAIが活用されている。具体的には、顔認証や物体識別などを行う画像認識技術、言葉を検索したり翻訳する自然言語処理技術、声を理解したり話せるようにする音声認識技術や音声合成技術などが使われており、それら技術を総称としてAIということも多い。

AIの利活用について、医療の分野も例外でなく、医療AI、メディカルAIとも呼ばれることもある。業界を問わず様々な企業が、医療分野に最新の情報技術、AIを用いて支援、貢献しようと新しい取り組みを始めている。分かりやすい事例としては、内視鏡画像や放射線画像に対するAIによる病変の検出やアラート、ゲノム医療におけるゲノムデータ解析と治療方法の紐付けの候補探し、診察室や薬局における音声認識とテキスト化、などが挙げられるだろう。

政府も医療の分野でのAI活用を支援している。厚生労働省が「保健医療分野AI開発加速コンソーシアム」において議論を現在進めており、重点6領域として、「ゲノム医療」、「画像診断支援」、「診断・治療支援」、「医薬品開発」、「介護・認知症」、「手術支援」についてロードマップの検討を行っている。また、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「AIホスピタルによる高度診断・治療システム」においても、医療分野にAIを活用する研究、社会実装のプロジェクトが複数の病院を巻き込んで進められている。アカデミアでは、日本メディカルAI学会が2018年に設立され、年次大会において、医療とAIについての発表やディスカッションがなされている。また、医療機器プログラムとして薬事承認された品目にAIが入った事例も出てきている。このように、産官学で医療分野にAIの取り組みが日本においても始められてきているのが現状である。

【no.499】AI開発のアラヤとモルフォが提携

AI開発のアラヤとモルフォが提携

人工知能(AI)開発スタートアップのアラヤ(東京・港)とモルフォ(東京・千代田)は業務提携した。AIモデルを自動で圧縮するソフトウエア「Pressai(プレッサイ)」のCPU(中央演算処理装置)版を共同で開発し、3月からサービスを提供する。

プレッサイはクラウドではなく端末側(エッジ)でデータを処理する「エッジAI」の開発に役立つソフトウエアだ。アラヤの独自技術を使うほか、モルフォの深層学習(ディープラーニング)推論エンジンでAIモデルをCPU処理向けに最適化する。

自動車やスマートフォンといった端末側の処理では機器の性能や使える電力に限界があり、演算量を抑えるなどの工夫が必要となる。両社によれば、プレッサイを使えば精度を保ったまま演算量を最良の場合で3%(97%減)にまで圧縮できるという。

AIでは高性能な画像処理半導体(GPU)を使うことが多いが、一般的な機器に組み込まれていることが多いCPUでもAIを動かせるようにする。圧縮と実装の工程を自動化して、AIモデル実用化にかかる時間を短縮する。エッジAIの開発を加速して自動車やスマートフォン、ドローン、監視カメラなど、幅広い業界での事業展開を目指す。

アラヤは2013年に創業した。エッジAIやドローン、ロボットが状況を自ら判断して動けるようにする自律AIの技術を持つ。04年創業のモルフォはAIを使った画像認識技術を研究開発し、車載機器などに提供している。

【no.498】AIにキャラクターを、CESで目立ったアジアのアプローチ

AIにキャラクターを、CESで目立ったアジアのアプローチ

米ラスベガスで開かれた世界最大のデジタル技術展示会「CES」で、中国・深センの企業、銀星科技(Silver Star Technology)が新型のロボット掃除機を展示していた。ルンバのような形状だが、中央に液晶で表示される「目」が付いている。この「かわいいロボット掃除機」は、まだ名前も付いていない、単なる試作品だが、筆者がツイッターでつぶやいたところ猛烈にバズった。

TAKASU@Nico-Tech 深セン MakerFaire Bangkok2020@tks

Shenzhen SilverStar Robotics, fantastic!

そうだよ、ロボット掃除機はこうでなければ、、

埋め込み動画

7,448人がこの話題について話しています

 

筆者のツイートは、この原稿を書いている1月11日時点で2万件のいいね、7352件のリツイートがあった。CESでは世界中の名だたる企業が大きな発表を行う。今年はソニーが電気自動車の開発に乗りだすことや、トヨタ自動車が実験都市「Woven City」をつくると発表したことが大きな話題となった。そうした大ニュースに比べたら、無名企業のささいな試作品にすぎないロボット掃除機だが、筆者のツイートのリツイートの数は米国のトヨタ公式アカウントのWoven Cityに関するツイートを上回った。

ハッシュタグごとにツイートを分析するサイトaka.tvが掲載したCES2020でのランキング。ロボット掃除機へのツイートは大きな注目を集めた

CESでは、一般公開前のプレスデーに様々なセッションが開かれる。その中で「現在のAIについての神話と現実(Myth and Reality in Today’s AI)」というセッションがあった。

AIに関する議論は、それぞれの「AI」の定義がバラバラだったり、現時点で可能なことと不可能なことの区別がついていなかったり、できていないことの技術的な課題がきちんと認識できていなかったりすることが多く、表層的なものになりがちだ。ところが、このセッションは、登壇者がユニティ・テクノロジーズやマイクロソフトなどで実際に手を動かして仕事をしている人たちで構成されていることや、さほど大きい会場でなかったこともあって、中身の濃いセッションになった。

【no.497】お久しぶりか、初めましてか――“AI美空ひばり”に見る「デジタル故人」との付き合い方

お久しぶりか、初めましてか――“AI美空ひばり”に見る「デジタル故人」との付き合い方

ゴさと怖さとモラル的なグレーゾーン感がない交ぜに

2019年末に放送された「第70回NHK紅白歌合戦」で、“AI美空ひばり”が新曲「あれから」を披露して話題を集めた。ヤマハの専門スタッフがディープラーニングを活用して故・美空ひばりの歌声と歌唱法を追求し、音声合成技術を使った表現としてはかなり完成度が高い作品に仕上がっていたと思う。

一方で、映像表現における表情や動きの硬さ、「お久しぶりです。あなたのことをずっと見ていましたよ」といった曲間のセリフなどに違和感を覚える人も多く、ネットには「死者を冒涜(ぼうとく)している」「不気味の谷だ」といった言葉があふれたのも事実だ。

“AI美空ひばり”(NHKより)

筆者も最新のデジタル技術に感心した反面、他者が故人をコントロールすることに対してモラル的な戸惑いや怖さを感じた。感情がこんがらがったときは、その一つ一つをもみほぐして整理するしかない。これから私たちはAI美空ひばり的な存在とどう向き合っていけばいいのだろうか。

故人の思考パターンも偽映像もその気になれば作れる

故人をデジタル上で部分的に再現する取り組みは既にかなり広がっていて、恐らく止まることはない。

故人がSNSなどに遺したコンテンツをもとに、当人のアバターを作り出すサービス「Eternime」(エターナム)は14年にスタートし、20年1月時点で4万6000人以上の登録者を集めている。

また、18年10月には米マサチューセッツ工科大学メディアラボのホセイン・ラーナマ客員教授が、亡くなった経営者の判断力を再現するサービス「Augmented Eternity」(オーグメンテッド・エターニティ)を計画していると発表した。

故人の歌声だけでなく、思考パターンや語彙(ごい)、口調の癖などを再現することは、技術的に不可能ではなくなっている。さらにいえば、故人が考えたり言ったりしないようなことまで映像化することもできるだろう。20年1月、米Facebookは精巧な偽映像(ディープフェイク)動画を独自の判断基準で削除すると発表した。それくらいディープフェイクを作る技術は当たり前のものになっている。

【no.496】請求書の処理、AIで効率化 オートメーションラボ

請求書の処理、AIで効率化 オートメーションラボ

オートメーションラボ(東京・千代田)は、企業が受け取る請求書の処理を効率化するソフトを販売する。発行元によって様式が異なる請求書の各項目を、人工知能(AI)の技術を使って仕訳し、振り込みデータの発行、保管まで自動で行う。請求書を大量に受け取っている大手企業を中心に顧客を開拓している。

【no.494】CES 2020:インテルが考えるノートPCの未来は、「AI」と「折り畳み」がキーワードになる

CES 2020:インテルが考えるノートPCの未来は、「AI」と「折り畳み」がキーワードになる

PCは死にかけている──。そんな主張が重視されたことは、あまりない。それどころか「iPad Pro」の“侵攻”にもかかわらず、PCは仕事に使うデヴァイスとしての地位を固めてさえいる。

だが、PCはこれからどこへと向かうのだろうか? そして「ムーアの法則」を過去のものとし、いかに進化し続けるのだろうか?

インテルは「CES 2020」で、未来のPCの考えうる姿と、それがどう働くのかについてのヴィジョンを提示した。一見したところ、それはスマートフォンの未来とも、そして現在とも異なるもののようである。そこから見えたのは、折り畳み式の画面、人工知能(AI)、そして「Chrome OS」だった。

重要性が増すAI関連機能

なかでも、すぐに手に入るものがAIである。なぜなら、すでにここにあるからだ。「Ice Lake(アイスレイク)」と呼ばれるインテルの最新世代コアプロセッサーは、AIに最適化された機能を搭載したPCというかたちで、すでに出荷が始まっている。

その筆頭に挙げられるのが「インテル ディープラーニング・ブースト」と呼ばれる機能だ。アルゴリズムが新しいデータを訓練に基づいて解釈するプロセスである機械学習の推論を、端末内蔵型(オンデヴァイス)で加速させる。

CES 2020におけるインテルの基調講演で詳細が示された通り、年内にも出荷が開始される次世代アーキテクチャーの「Tiger Lake(タイガーレイク)」は、2桁に及ぶ性能の向上、「Thunderbolt 4」の統合、新型グラフィックアーキテクチャーなど、誰もが期待していたような性能の向上を実現している。それだけでなく、AIのタスクを扱う手法においても優れた改善が施されている。

「(AIは)プラットフォームにおいて、あらゆる重大な要素と同等に重要な存在になっています」と、インテルでクライアントコンピューティングを担当するジェネラルマネージャーのグレゴリー・ブライアントは言う。「わたしたちのロードマップとイノヴェイション、研究開発、エンジニアリング、開発者たちとの協力関係を推進するという観点において、最優先される存在なのです」

【no.493】苦悩するグーグル、自社サービスに「説明可能AI」を組み込んだ事情

苦悩するグーグル、自社サービスに「説明可能AI」を組み込んだ事情

「我々は『人工知能(AI)の基本理念』に従ったAIの構築に努めている。(その理念に沿って)人間がAIの挙動を理解するのに役立つ『説明可能なAI(Explainable AI)』を導入できることをうれしく思う」。米グーグルのトレイシー・フレイ(Tracy Frey) クラウドAI戦略ディレクターは同社ブログでこう表明した。

グーグルは2019年11月に、クラウド型AIサービスの一部に説明可能AIの機能を加えたと明らかにした。機械学習モデルの出力について、入力データの各要素がどれくらい寄与したのかを算出して表示できる。このサマリー情報を通じ、ユーザーはAIがなぜその判断を下したのか、理由を理解できる。

自転車による所要到達時間を予測する機械学習モデルについて、入力した気象条件のうち「最高気温」が予測に大きく効いていると分かる
(出所:米グーグル)
[画像のクリックで拡大表示]
画像から「猫」を検出する機械学習モデルについて、画像内のどのピクセルが検出に大きく寄与したかを緑色で示した
(出所:グーグル)
[画像のクリックで拡大表示]

注目したいのは、グーグルがこのサービスを、同社が2018年6月に策定した「AIの基本理念」の一端を担う取り組みと位置づけている点だ。この理念は、グーグルが開発するAIについて「不公平なバイアスを防ぐ」「人々への説明責任を果たす」などの原則を掲げている。

同社はサービスの発表と合わせ、説明可能AIについて27ページにおよぶホワイトペーパーを公開した。この文書は同社が採用する説明可能AIの詳細を明らかにするとともに、説明可能AIの限界や、人間とAIとの付き合い方について、グーグルの考えを示すものとなっている。

【no.492】防衛省 約2.7億円かけ“AI人事”導入へ

防衛省 約2.7億円かけ“AI人事”導入へ

防衛省が、幹部自衛官の人事に人工知能(AI)を活用する方針を固めたことがわかった。

防衛省は、2020年度予算に、AI開発費としておよそ2億7,000万円を計上し、今後2年間で、人事評価や異動に関するシステムを開発する方針。

対象となるのは、将官から尉官までの4万人を超える幹部自衛官で、およそ25万人の自衛官のうち、6分の1程度。

人事にAIなどの技術を活用する「HRテック」は、民間で活用が広がっていて、防衛省も、AIの活用で業務を効率化したい考え。

【no.491】進む工作機械の自動化、AIで現場をもっと楽に

進む工作機械の自動化、AIで現場をもっと楽に

AIで現場をもっと楽に

ロボットと並んでMECTの会場で多くの来場者の目を引いていたのが、工作機械における人工知能(AI)の活用だ。AIによって、生産現場における作業者の負荷軽減や装置のダウンタイム削減、稼働率向上が期待できるからだ。近年、工作機械メーカーがAI導入を本格化させており、各社がデモンストレーションや技術展示を競っていた。

シチズンマシナリー(本社長野県・御代田町)は、旋盤への切りくずのかみ込みを即座に検出するAI機能を参考出展した(図7)。背面主軸チャック部に設けた振動センサーから得た加工中の振動波形の乱れをAIで解析して、かみ込みの発生の有無を検出する。

(a)
[画像のクリックで拡大表示]
(b)
[画像のクリックで拡大表示]
図7 シチズンマシナリーのAIを利用した切りくずのかみ込み検出
振動データを解析して検出する(a)。(b)は、かみ込み検出のデモンストレーション画面。所沢事業所で稼働中の旋盤のかみ込みをリアルタイムで検出していた。(写真:日経ものづくり)