【no.422】巨大AIチップが乗り越えた5つの課題とは、Hot Chipsリポート

巨大AIチップが乗り越えた5つの課題とは、Hot Chipsリポート

大手企業やスタートアップが開発にしのぎを削る人工知能(AI)専用チップに異形の新顔が登場した。1枚のウエハーから1つのダイだけを切り出す「ウエハースケール」の巨大AIチップだ。2019年8月に開催されたプロセッサーの祭典「Hot Chips 31」での発表からAIチップの最新動向を探る。

毎年8月に開催されるプロセッサーのカンファレス「Hot Chips」。米スタンフォード大学で開催された今回も盛況で、昨年(2018年)に過去最高を記録した900人ほどをさらに上回る1100人以上が参加した。発表されたプロセッサーの応用先もIoT(Internet of Things)端末から携帯機器、パソコン、サーバー、車載機器まで多岐にわたる。昨年、一昨年に続いて今回も深層学習(ディープラーニング)のトレーニング(学習)や推論に向けたアクセラレーターの発表が相次いだ。

Hot Chips 31講演会場の様子
(撮影:日経 xTECH)
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215mm角の巨大AIチップに注目集まる

中でも最も注目を集めたのが米国のスタートアップ、セレブラスシステムズ(Cerebras Systems)が試作した215mm角(4万6225mm2)の超大型半導体チップ「Wafer-Scale Engine(WSE)」である。口径300mmのSiウエハーから1つのダイだけを切り出し、いわゆる「ウエハースケール」のサイズを誇る。主に深層ニューラルネットワーク(DNN)で利用する積和(MAC)演算などに向ける。同社は講演でGPUのダイサイズで最大を誇る815mm2の「Volta GV100」を引き合いに出し、その大きさをアピールした。登壇したセレブラスの共同設立者でChief Hardware ArchitectのSean Lie氏がこの巨大なチップを掲げると、発表会場は大いに沸いた。

【no.421】最高36%!AI活用のwebプッシュで開封率大幅アップを達成したヒトサラの事例に迫る

最高36%!AI活用のwebプッシュで開封率大幅アップを達成したヒトサラの事例に迫る

月間1億PV、2000万UUを超え、料理人掲載数ナンバーワンで知られるグルメメディア「ヒトサラ」。食通が集まる編集部が生み出すそのコンテンツは、読めば今にも涎が出そうだ。

そのヒトサラのマーケティング手法として、webプッシュ通知が使われている。

ヒトサラは、AppierのAIを活用したMA(マーケティングオートメーション)ツール「AIQUA(アイコア)」を活用し、webプッシュ通知の開封率を平均36%にまでアップさせた。

USEN Media プロダクト・マーケティング課の長﨑卓史氏、吉田亜美氏に話を聞いた。

食を紹介する編集のプロが集まるヒトサラ編集部

ヒトサラは、「料理人の顔が見える」をコンセプトに情報を発信しているメディアだ。

食の目利き・舌利きであるプロの料理人のオススメ情報や、食通のライターたちが取材・執筆する、旬や地方情報が充実した特集など、オリジナルの編集記事を日々配信している。

――吉田
「ヒトサラは編集部を内部に持ち、食のトレンドに精通したプロの編集者によるオリジナル編集コンテンツを発信しています。特に力を入れる特集は編集部自らプロカメラマンを引き連れ、取材へ足を運んでいますね」

取材時はちょうど夏真っ盛りということもあり、ヒトサラ海外版コンテンツのひとつ「ヒトサラハワイ」の拡充に力を入れていた。

ハワイの人気シェフたちが勧める現地のレストランを紹介するグルメガイドをさらに充実させるため、編集部がハワイまで取材に出向いたという。

ターゲットとしている層は、食好きで、外食にお金を使う余裕がある30代以上のアッパーミドル層。接待やデートなどのニーズから、サイトを訪れるユーザーが多いという。

ユーザーの目的がハッキリしているからこそ、サイト内を見てくれない

レストラン検索サービスは競合が多い。ヒトサラではユーザーのエンゲージメント向上のために、会員向けのポイントサービスや、アプリでのプッシュ通知といった施策に取り組んでいた。

しかし、「実力のある編集部が生み出すコンテンツが、本当にユーザーに届いているのか分からない」という課題があったと長﨑氏は言う。

――長﨑
「編集部が生み出すコンテンツのクオリティには『ここでしか読めない』という自信があります。フーディーと呼ばれる、いわゆる『食マニア』な人には受けがいいコンテンツがそろっていますが、一方でサイト内の回遊には課題がありました」

基本的にヒトサラのサイト訪問者は、レストランの予約を目的に検索経由で訪問する。

エリア×シーン(五反田 接待 など)やエリア×ジャンル(五反田 中華 など)でのクエリが多いという。ニーズに合致したレストランを予約することが目的のため、魅力的なコンテンツがサイト内にあっても目を通さない場合が多かった。

ビジネスモデルには、加盟店からの月額掲載料と、ヒトサラ経由のCV(コンバージョン。ここではレストランの予約)ごとに受け取る手数料などがある。そのため、ユーザーに適切にコンテンツを届け、予約まで至ってもらうことが重要になる。

同時に、編集部としてはCVだけでなく、あくまで質の高いコンテンツ自体も楽しんでもらいたい。CVとブランディングのバランスがうまくいっていなかったという。

――長﨑
「CVを広告で刈り取るとなると、どうしても予約を狙いに行ってしまい、いかに最短でレストラン紹介のページに飛ばすかになってしまいます。それだけではなく、編集部のコンテンツを活かすブランディングにも注力したかったんです。当時、そこにアプローチするツールは導入できていませんでした」

――長﨑
「お金に余裕のあるアッパーミドルでも、世の中的に外食の回数は減っています。でも、デートや接待、友達とお酒を飲むときには外食を選択するものだと思うんです。そのニーズにマッチしたお店を提供したいと思っています」

AppierのMAツールを導入した理由

編集部がつくる魅力的な記事をより多くの人に認知してもらい、継続的な顧客接点を確立する必要がある」そう感じ、ヒトサラのマーケティングチームは複数のソリューションを検討し始めた。

そこで長﨑氏は、webプッシュ通知に目をつけた。

――長﨑
「当時、webプッシュ通知はまだ日本で浸透しているとは言えませんでした。Appierという会社も提案いただくまでは知りませんでしたが、海外での実績と、担当者が親身になって対応してくれたので、Appierの『AIQUA』の導入を決めたんです」

ヒトサラは、AIQUA導入前はwebプッシュ通知自体を打っていなかった。

webプッシュ通知を利用してパーソナライズされたコンテンツをユーザーに届けられれば「編集部のコンテンツにもっと光が当たるのではないか」と思ったという。

AIQUAは、月次PV数をベースにした料金体系だ。プッシュの配信数ではなく、ページが見られた回数に応じて課金されるため、求めていた料金体型にマッチしていたという。

――長﨑
「もちろん無料でwebプッシュ通知が使えるツールは無数にあります。しかし、その先のユーザーに対する適切なレコメンドから分析までのPDCAを回すとなると、AIQUAが適切ではないかという結論に至りました」

AIQUAの特徴は、ざっくり以下の通りだ。

  • 自社が保有するオーディエンス情報に加えて、Appierのサードパーティーデータ(広告主が収集したデータではない、外部のデータ)を活用できる
  • AIを活用した分析で、ユーザーをセグメントし、それぞれに対して適したキャンペーンを展開できる
  • 自社サイト外でもリエンゲージできる

特にAppierが持つ、自社サイト外のサードパーティーデータを活用できることは大きい。

通常、企業は自社サイトを訪れたユーザーの自社サイト内の足跡しか追うことができない。(Google Analyticsなど)自社サイト外のデータも取得したい場合は、別のサービスを利用するなどコストをかける必要があるが、コストをかけてまでサードパーティーデータを使おうとする企業は少ない。

AIQUAでは、サイト初訪問でもユーザーの閲覧履歴、趣味嗜好を把握できる。デバイスをまたいだ一見別のアクセスでも、たとえば「このiPhoneとこのブラウザは同一人物かどうか」をAIで類推し、マッチングが可能だ。

その後、季節性のあるコンテンツの画像や映像を細かくセグメントをして配信する。ユーザーがコンテンツを閲覧してから予約・会員登録までの検討段階に、有効なソリューションとして機能しているという。

――長﨑
「現在では週に1〜3回、webプッシュ通知を配信しています。結果として最高で36%は開封されるようになり、サイトのPVも顕著に増加しました。週1〜3回という回数の根拠は、毎日のように配信するとメディアブランドを損ねる配慮からです。メディアの空気感を保ちつつ、ユーザーに優良な情報を提供する。そのようなバランスを考慮して検証中です」

AIQUAの効果は高く、同社のオウンドメディアである「ヒトサラマガジン」を対象にしたSNS広告と同等のパフォーマンスを発揮しているという。

発想の転換を求められるグルメサイト

長﨑氏は今後の展望を、「グルメサイト自体が転換期にある」と語った。

――長﨑
「グルメサイト自体が発想の転換を求められています。Googleはじめとした検索エンジンに情報が集約されるなかで、グルメサイトはわざわざ来てもらう理由が必要になってきている。これまではユーザーが偶然サイトを訪れてくれて、そのうちの何割かがファンになってくれましたが、今後は期待すべきではありません。

ユーザーエンゲージメントを高めるコミュニケーションを、サイト運営側がしっかり設計する必要があると感じます」

今後の展開として、USEN-NEXT GROUPが持つ事業基盤を活かしてAI活用を先頭を切って推進していくという。

ヒトサラが今後も成長し、グルメサイトとして不動の地位を築くのか。そのとき、AIをはじめとしたテクノロジーがその助けとなっていてほしい。

【no.420】東芝、AIで鉄道ダイヤ作成 船舶やバスにも応用

東芝、AIで鉄道ダイヤ作成 船舶やバスにも応用

【ベルリン=志賀優一】東芝は人工知能(AI)を使って、鉄道などの運行ダイヤを作るサービスに乗り出す。線路の状況や車両の性能、駅の停車時間などのデータをAIで分析し、遅延なく運行できるダイヤを作成する。東芝は鉄道会社の収益改善効果の一部などを収入として得る。船舶やバスでも応用でき、AIで社会インフラを効率的に整備する動きが一段と加速しそうだ。

【no.419】「2019世界人工知能大会」開催、上海市がAIのホットスポットへ

「2019世界人工知能大会」開催、上海市がAIのホットスポットへ

上海世界博覧中心で8月29~31日、「2019世界人工知能大会」(以下、大会)が前年に続き開催された(2018年の開催概要は2018年10月1日記事参照)。大会は、国家発展改革委員会、科学技術部、工業信息化部、国家インターネット情報弁公室、中国科学院、中国工程院および上海市政府が主催した。今回のテーマは「スマートで世界とつなぎ、無限の可能性を」で、大会には国内外トップクラスの教育機関、最先端企業、国際組織などから500余りのゲストが参加した。また、会期中には、200を超えるイベントも同時に行われた。

開幕式では、李強中共中央政治局委員・上海市委書記のほか、李勇連合国工業発展組織総幹事らが登壇した。企業からは、テンセント、アリババ、センスタイム、テスラのトップが参加した。

大会に合わせて、さまざまな契約が交わされた。中国工商銀行などは、人工知能(AI)の技術開発を行う依図テクノロジーなど5企業と、計500億元(約7,500億円、1元=約15円)の与信に関する契約を交わした。また、国盛集団、臨港集団、曇鋒基金および上海電気などが100億元規模の上海人工知能産業投資ファンドの立ち上げを発表した。ファンドは、将来的には1,000億元規模を目指す。

閉幕式では、上海市が「AIホットスポットとトップレベルのイノベーション・エコシステムを構築する行動方針」(以下、方針)を発表した(表参照)。AIチップ、ビッグデータ、人材育成などを重点分野とし、2021年には上海市でAIのトップレベルのイノベーション・エコシステムのブランドを構築することを目指すとした。

表 方針の概要
写真 大会入り口の風景(ジェトロ撮影)

大会入り口の風景(ジェトロ撮影)

写真 サミット会場の風景(ジェトロ撮影)

【no.418】カラオケで次に歌う曲、AIがオススメ ドコモと第一興商が共同開発 「DAM」新機種に搭載

カラオケで次に歌う曲、AIがオススメ ドコモと第一興商が共同開発 「DAM」新機種に搭載

NTTドコモと第一興商は9月5日、カラオケの利用者が次に歌いたい楽曲と歌手をAIで予測し、楽曲予約端末「デンモク」上でレコメンドする機能を共同開発したと発表した。客が楽曲を選ぶ時間を短縮し、制限時間内に1曲でも多く歌って楽しんでもらう狙い。

第一興商が10月1日にリリースするカラオケ用システム「LIVE DAM Ai(DAM-XG8000)」とデンモクの新機種「SmartDAM Ai(TM30)」に搭載し、全国のカラオケボックスに導入する予定。

photoオススメ曲をレコメンドする様子

この機能では、客の歌唱履歴などを基に、デンモク上の「オススメ曲」「オススメ歌手」コーナーで次に歌われる確率が高いものを紹介する。歌う順番や周期からグループの特徴を推測できるため、歌い手が1人であっても、複数人であっても適切なレコメンドが可能だとしている。

既存のカラオケ用システム「SmartDAM L」(2015年発売)も楽曲おすすめ機能に対応しているが、新機能ではレコメンドの精度を従来の2.2倍に高めたという。

【no.417】AIの普及を加速 エッジAIで新会社、ドコモら出資

AIの普及を加速 エッジAIで新会社、ドコモら出資

現場に近い場所でAIを処理できるデバイス開発などを手掛けるEDGEMATRIX(東京都渋谷区)は8月29日、エッジAI事業の本格展開に向け、NTTドコモ、清水建設、日本郵政キャピタルから第三者割当増資で計9億円の資金を調達したと発表した。製造業などでニーズの高いエッジAIの普及に向け、デバイスの提供などを行う。

写真中央がEDGEMATRIXの太田洋社長

EDGEMATRIXは4月26日に設立。ITインフラ製品を提供する米Cloudianの日本法人で行っていたAI事業を、7月1日付で引き継いだ。5G通信を使ったIoTサービスが普及する時代は、4K/8Kの高精細映像などのやりとりが増える。大容量データをクラウドに送ると遅延や通信コストなどの問題があるため、エッジAIでこれをカバーする。工場やビルなど複数の監視カメラを使う場所での利用を想定する。

EDGEMATRIXが行う事業は、(1)デバイス事業、(2)プラットフォーム事業、(3)ソリューション事業の3つ。デバイス事業では、現場に近いエッジでリアルタイムにAIを処理してデータを伝送できる小型装置「Edge AI Box」を用意。GPUや無線通信モジュールなどを搭載しており、監視カメラと連携できる。

高精細な映像のAI処理をクラウドで行うには、5G通信のような高速かつ大容量なネットワークが必要だが、エッジデバイスでAI処理し、分析結果だけを伝送すれば通信の負荷を抑えられる。また、数値化されたデータを送るだけでよく、人物の映像データを残さなくて済むので、セキュリティ面でも優位性があるという。

提供するエッジデバイス

Edge AI BoxなどエッジAIを統合管理するプラットフォームも提供する。地図上でデバイスの設置場所や状態を表示できる「Map View」や、カメラで撮影した多数の映像をAI処理して表示する「Edge View」など管理機能の他、パートナー認定されたAIベンダーが開発したアプリケーションをユーザー企業が購入できる「マーケットプレイス」を用意する。

プラットフォーム開発に当たり、EDGEMATRIXはドコモと業務提携した。プラットフォームを通じて手早くアプリを使いたいユーザー企業と、アプリ利用者を増やしたい開発会社の橋渡しをする。プラットフォームは、2020年4月以降に商用化する予定。

ソリューション事業では、EDGEMATRIXのパートナー企業と連携し、エッジAIを導入したいユーザー企業へのコンサルティングサービスなどを行う。現状のAI開発は実証実験をしてもなかなか実用化に結びつかないという課題があるため、上流工程のコンサルティングや、PoC(概念実証)などを専門性のあるパートナー企業と共にサポートするという。

EDGEMATRIXの太田洋社長は「もっとAIを普及、浸透させて、AIを当たり前で身近なものにしていきたい」と意気込みを語った。

【no.416】データの価値を守る。AI文脈で語られるブロックチェーンによる信用創造

データの価値を守る。AI文脈で語られるブロックチェーンによる信用創造

第三次AI(人工知能)ブームと言われて久しいが、近いタイミングでブロックチェーンも注目されるようになった。AI(人工知能)とブロックチェーンは異なった技術ではあるが、一概に無関係な技術とは言えない。現在注目を集めるこの2つの技術は、これから世界のシステムを根本的に変えうるブレイクスルーの技術になりつつある。

AI(人工知能)文脈でブロックチェーンが語られることはあまりないだろう。ブロックチェーンとAI(人工知能)合わせるとどのような価値を生まれるのだろうか。

本稿では、KPMGコンサルティングでブロックチェーンのプロジェクトに携わるシニアマネジャーの宮原 進氏にブロックチェーンとAI(人工知能)の関係性について聞いた。

ブロックチェーンとは?暗号通貨ブームを巻き起こした新たなデータ共有技術

――改めて、ブロックチェーンとはどのような技術なのでしょうか?

――宮原
「ブロックチェーンとは、暗号資産(仮想通貨)の取引を自動処理して記録する技術として2009年に誕生したデータ共有の仕組みです。不特定多数の参加者が存在する市場において、ブロックチェーン誕生以前には、セキュリティを強化した特定のサーバーにて中央集権的に取引データを管理するほかありませんでした。ブロックチェーンの誕生で、複数のコンピュータに分散して取引処理およびデータを保存することによって、特定の管理者を不要とすることが可能となりました。

さらには取引の自動処理とデータの共有化により改ざんの難易度を上げ、取引および保存されたデータに信用を置くことで、取引相手への信用が不要となることがブロックチェーン最大の特徴です」

ブロックチェーンの革新的な点は、不特定多数のユーザーが参加して記録をシェアし監視することで、不正を防止できること。従来信用の担保が難しかった個人間の金銭取引でも利用ができるようになるところだ。

金融分野におけるブロックチェーンは以下の3つのメリットがあるという。

1.データが改ざんできないこと

ブロックチェーンは分散して記録されるうえ、その記録は暗号化されている。そのためデータを改ざんしたとしても、分散して記録されたデータと改ざんされたデータとを照合すれば不正を検出することができる。

2.中央集権を不要とすること

一元管理される取引データを扱う管理者は、信用が担保された金融機関での取り扱いしか成立しなかった。すると、特定の金融機関に集権的にデータが集まるため、独裁的なコントロールが生まれるリスクがある。

さらには中央集権の場合、システムがダウンすれば利用不可となるが、ブロックチェーンだと共有者間で同じデータを持ち寄っているため、1つのデバイスが落ちても、その他デバイスで補完できるためシステム自体はほぼ影響を受けないというのが特徴である。

3.信用創造のコストを下げること

ブロックチェーンは仕組みから取引および保存データに信用を置くことができるため、取引相手に信用を求めない。そのため、従来はコストでありリスクであった取引相手との信用創造が不要となる。


これらのメリットをもれなく享受できたのが暗号通貨をはじめとした金融分野だが、ブロックチェーンはこれからますます活用の幅が広がると考えられている。

――宮原
「ブロックチェーンは、ビットコインなどの暗号通貨で使われる技術だというイメージが先行していますが、じつはさまざまな場面で使われています。以下の条件下であればブロックチェーンの活用の余地があるといえるでしょう。

  • 価値あるものを多数の参加者間で取引する
  • その取引に不正の余地がある

取引参加者全員が分散してデータを持ち、取引やデータ自体に信用を持たせることで、参加者に信用がなくても、データそのものの価値を守ることができます。

もともとはフィンテックとして認識されている技術でしたが、ブロックチェーンの仕組みが注目され、幅広い領域で広く活用されるようになりました」

ブロックチェーンのメリット。データそのものに価値を持たせる

――それではどのような文脈でブロックチェーンが使われているのでしょう

――宮原
「サプライチェーンやシェアリングエコノミー、不動産登記、コンテンツビジネスなどでもブロックチェーンは活躍します。これらの取引のなかで、ブロックチェーンはデータの品質を担保します。たとえば物流、生産から小売までの流路をつなぐビジネスです。流路の途中で不正が入ってしまう、または疑いの余地がある場合、最終的な商品の価値は下がってしまいます。

確実な流路であることをブロックチェーンによって証明することで、商品の価値を保つことができ、ひいては生産者の価値を上げることにつながります。消費者にとっても、安心して商品を手に取ることができます。ブロックチェーンは、物流における商流の質を上げることに一役買っているのです」

また、eスポーツ分野ではゲーム内に登場するトークン取引にもブロックチェーン技術が使われているという。実際の金銭ではなくても、価値が変動しうる取引に活用できるのだ。

では、これからの時代を代表する技術である「AI(人工知能)」と「ブロックチェーン」はどのようなシナジーを生んでいくのだろうか。

【no.415】AIがリアルタイムで解析 特殊詐欺を見抜く実験

AIがリアルタイムで解析 特殊詐欺を見抜く実験

NTTグループは、AI(人工知能)が特殊詐欺を見抜いて、注意を呼び掛ける実証実験を始める。

30日から東京都内120戸で始まる実験では、録音した通話内容をAIがリアルタイムで解析し、詐欺の疑いがあると判断すれば、家族や本人に、電話とメールで通知する。

AIは、「銀行口座」や「振り込み」といった特殊詐欺で使われる言葉をもとに、文脈などもふまえ判断するという。

NTTグループは、2020年秋までに、サービスの実用化を目指す。

【no.414】AIを活用した一棟投資用不動産の投資プランシミュレーションサービス『VALUE AI<バリューアイ>』

AIを活用した一棟投資用不動産の投資プランシミュレーションサービス『VALUE AI<バリューアイ>』ホームページを8月30日から刷新(ニュースリリース)

大和ハウスグループの株式会社コスモスイニシア(本社:東京都港区 社長:高木 嘉幸、HP:https://www.cigr.co.jp/)は、昨年末に投資用不動産に関する調査を行い、その調査結果をもとに人工知能(AI)による不動産価値の将来予測と投資プランシミュレーションが行えるサービス『VALUE AI〈バリューアイ〉』の使い勝手の向上を目的とした改修を行いましたので、お知らせします。

[画像1: https://prtimes.jp/i/2296/1219/resize/d2296-1219-406900-0.jpg]

『VALUE AI』(https://www.cigr.co.jp/biz/value-ai/)は、一棟投資用不動産を保有している不動産オーナーさま、または購入を検討しているお客さまに向けて、無料で不動産価値の将来予測と投資プランシミュレーションを提供するサービスです。当社では昨年末に全国20代~60代の投資家・賃貸経営者・不動産投資検討者を対象に「投資用不動産」に関する調査を実施しました。調査結果をうけ、8月30日にサイトリニューアルを行いました。調査結果については、不動産投資サイト「コスモスイニシア ソリューションサイト」で、詳しくご覧いただけます。
https://go.cigr.co.jp/SurveyReport_20190830

【no.413】AIの得意技を使って業務を効率化する方法

AIの得意技を使って業務を効率化する方法

人工知能(AI)は、「何か」を問うのではなく「どう使うか」を考える時代になってきた。視点を変えると身近な業務の効率化に活用できる」。BRAIN SIGNAL代表取締役社長兼CEOの米川孝宏氏はこう訴える。「日経 xTECHラーニング」で「業務効率化を成功させるためのAI技術活用術」の講師を務める同氏に、AIの活用方法を聞いた。(聞き手は高市清治)

人工知能(AI)に関するコンサルタントを手掛けている中で、AIについて企業からどのような相談が多いでしょうか。

米川孝宏 氏
BRAIN SIGNAL代表取締役社長兼CEO
米川氏:大手企業から、「膨大な顧客の購買データを持っている。AIでなければできない分析をして活用したい」といった相談が多数寄せられます。

AIは一般紙が取り上げるほどメジャーな存在にはなりました。その一方でAIの用途、何ができるのかを具体的にはイメージできていない企業がほとんどです。

得てしてAIはマーケティングや品質検査といったスケールの大きな用途をイメージしがちですが、実は人事や総務、日報作成といった身近な業務でも威力を発揮します。この機会に視点を変えて、AIによる業務効率化を考えてみてほしいと思います。

AIだからこそできることとは、どのようなものでしょうか。

米川氏:AIが得意とする作業は一般に大きく4つに分けられます。「分類」と「回帰(予測)」、「異常検知」、そして「クラスタリング」です。

例えば、撮影した映像データの被写体が犬なのか猫なのかを仕分けるのが「分類」です。天気の変化のデータを読み取って、その日に何が売れそうかを予測するのが「回帰」。防犯カメラに写った映像データから挙動不審な人を見つけたり、大量の製品の映像データから正常な状態ではないものを見つけたりしてシグナルを出す「異常検知」。そして、膨大なデータから類似性を見出して自動的に分類する「クラスタリング」。AIの機能は、だいたいこれらの4つです。