【no.370】表情を読み取る「AIお姉さん」が画面から話しかけてくる

表情を読み取る「AIお姉さん」が画面から話しかけてくる

2019年6月末、モニター画面から話しかけてくる等身大のAI(人工知能)エージェントを街角に置く実証実験が行われる。ユーザーが「この近くに授乳室はある?」と聞くと「(最寄りの商業施設の名前である)トリエA館の4階にあります」と回答してくれる。あるいは「ところで私、みなさんに楽しんでもらうため、いろんなクイズを用意しました。どうでしょう。私とクイズを、やってみますか?」と自ら話題を振ってくる。

「レイチェル」の様子。デジタルサイネージのモニター画面にほぼ等身大の人型として映し出される

この実証実験でモニター画面(デジタルサイネージ)から語りかけてくるのは、スタートアップ企業のクーガー(東京・渋谷区)が開発を進めてきたバーチャル・ヒューマン・エージェント(VHA)「レイチェル」である。表情を備えた顔、身振りによる表現ができる体を備え、通行客に話しかけ、表情を読み取りながら対話する。

実証実験の日程は2019年6月29日〜30日、場所は京王線調布駅近くの商業施設「トリエ京王調布 C館」。シネマコンプレックス「イオンシネマ シアタス調布」や、猿田彦珈琲の旗艦店「調布焙煎ホール」などが入居する施設だ。実証実験の実施にあたり、電通国際情報サービスが協力。また街角への設置やコンテンツでは京王電鉄が協力した。

実証実験では「レイチェル」がその場に居合わせる人々を対象に、「感情を表現しながら話しかける」「調布の魅力や周辺情報を伝える」「クイズ形式で、地元で行われるオリンピック競技の知識などを伝える」などのコミュニケーションを試みる。デジタルサイネージ広告の新たな使い方を開拓する狙いがある。実験の結果を受けて、デジタル広告やアミューズメント施設の情報案内などに利用範囲が広がっていく可能性もある。

【no.369】ピザの写真からレシピを推測するAI

ザの写真からレシピを推測するAI

認識した具材から調理方法を逆工程にさかのぼって分析。

機械学習の一種で、ふたつののニューラル・ネットワークが競い合う「敵対的生成ネットワーク(GAN)」を使うと、たとえば存在しないポケモンが生成できたり、逆にニューロンをひとつずつ切りながらAIに人間の顔をイメージングさせるとおどろおどろしい結果を招いたりと、いろんな画像を作ることが出来るようになります。

ですがMITでは、ニューラル・ネットワークを使ってコンピューターにピッツァの作り方を教える研究をしているのだそうです。

その名は「PizzaGAN」計画

その研究の題名は「How to make a pizza: Learning a compositional layer-based GAN model」と呼ばれ、訳すと「ピッツァの作り方:複合的なレイヤベースのGANモデルの学習」となります。これはZDNetがarxiv.orgの論文を取り挙げたもので、総じて「PizzaGAN Project」というプロジェクト名で呼ばれています。

この研究では、作り方ひとつずつの手順を反映した生成モデルを構築することによって、機械にピッツァの作り方を教えます。平たくいうと、ピッツァはチーズや具材のを重ねて作られているので、研究者たちは具材ごとにピッツァの画像を分析し、調理の各段階を認識する方法を機械に教えることにしたのでした。なので具材のないピッツァは1通りにしか認識されません。ですがそこにトッピングや具材を載せていくと、見た目の結果が変わることになります。その見た目の違いを鑑定することで、理論的にニューラル・ネットワークがピッツァを作る手順を逆に追ってリヴァース・エンジニアリングすることが出来るようになるのです。

学習方法

研究者たちはまず、合成データセットのピッツァ画像のクリップアートを、およそ5,500枚作成しました。続いて、Instagramで「#pizza」のハッシュタグを打ち込み、本物の写真を検索。それから好ましくない写真を除外し、最終的に9,213枚ものリアルなピッツァ写真をゲットすることに成功しました。

それから「PizzaGAN」がやったことはふたつ。ひとつ目は、AIにたとえばペパロニなど個別の具材をどのように追加/除去するのかを教え、合成画像を作成しました。次に、別のモデルで出てきたトッピングを検出し、それが置かれている深さを計算することで、調理過程にどのトッピングがいつ現れるのか、その順番を予測しました。なのでもし、マッシュルームとペパロニとオリーヴのピッツァ写真があったとしたら、「PizzaGAN」はその3種を検知できます。そしてマッシュルームが一番上にのっていることがわかれば、それが最後にトッピングされたことを理解するのです。(サイトでは、具材の追加と除去、調理の前後をインタラクティヴに比較できるようになっています)

【no.367】災害時の情報収集にSNS活用、AIが信頼性を評価 LINEや自治体ら「AI防災協議会」設立

災害時の情報収集にSNS活用、AIが信頼性を評価 LINEや自治体ら「AI防災協議会」設立

災害時の情報収集にSNSの書き込みやAI(人工知能)を活用する仕組みを検討する「AI防災協議会」が6月18日に設立された。LINE、ヤフー、SOMPOリスクマネジメントなど8社に加え、AIや防災などを専門にする研究機関と有識者、茨城県など全国18の自治体が参加する。

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SNSやチャットbotを活用し、一般人からの情報を収集、整理するシステムを検討する。集めた情報の信頼性をAIが評価することで、デマや誤報などを取り除いた情報を防災対応者や被災者に向けて発信できる仕組みを目指す。2019年夏以降、神戸市などで防災訓練での活用や実証実験を行う。

【no.366】PythonでつながるAIの世界

PythonでつながるAIの世界

コンピュータ言語を詳しく知らなくても、その役割や位置づけを知っておくことは、AI企業との共創で力になるだろう。ここではPython言語(以下、Python)を通じて現在のAI分野の全体像を大まかに整理してみよう。

オープンイノベーションの取り組みとして注目を集めるAI分野

平成から令和へ、時代の区切りが新しくなっても引き続き人工知能(AI:Artificial Intelligence)の分野は盛況が続いている。一方、昨年のガートナージャパンの発表によれば、AIは技術用語として黎明期から「過度な期待」のピーク期を過ぎ、幻滅期に入ったとされる。しかし、これはAIが技術の特別なトレンドではなく、逆に企業が取り組むべき通常の課題になったことを示すともいえるだろう。実際、TRI-AD/Maxarテクノロジーズ/NTTデータによる自動運転車用の地図生成、ファナックとPrefferred Networksによる工作機械分野へのAI応用、ABEJAと日立物流との共同開発によるサービスの提供など、今年になってからも、特に企業間での共創を軸とした話題には事欠かない。AI分野は、オープンイノベーションの取り組みとして、今もなお注目を集めているのだ。

機械学習の「教材」を提供するのは?

日本のAI分野でこうした共創の話題が多い理由は、第3世代AIの特徴であるディープラーニングが「勝手にものを考えてくれる」ものではなく、与えられた情報を「学習」するシステムだという点にある。機械学習という言葉が注目されるように、学習には「教材」が必要であり、企業がAIに与えるデータの質が事業成功の鍵となるわけだ。AI系ベンダーがいくら高い技術力を持っていても、与えるデータの質で結果は大きく異なる。だからこそデータを持っているそれぞれの分野の企業が、AIベンダーと共創を行なっているのだ。多量のデータを自社で独占するGAFAとは異なり、日本におけるAIは技術とデータの提供者が異なるというケースが多いだろう。

また、こうした共創のケースは、ベンダーが専用のAIをゼロから開発しているわけではないことも知っておきたい。各ベンダーは多数の事案に対応できるよう、それぞれの技術力で作ったフレームワーク(システムの基本的な機能を集約した基盤)をもっており、それらは無償で提供されているものが多いのだ。

たとえば、Preferred Networksが提供するChainerは、Pythonから利用することができ、しかもオープンソース(無償公開)で提供されているのでフレームワーク自体に費用はかからない。

また、米Googleから提供されているTensorFlowもここ数年極めて高い注目を集めている。これは、Googleが実際にデータの分析で使っているAI基盤を、オープンソースで提供できるようにしたものだ。TensorFlowの実用例としては、古代エジプト象形文字の解析、国内では医学論文の評価などが報告されている。

【no.364】今すぐブラウザで試して遊べる「AI」5選

今すぐブラウザで試して遊べる「AI」5選

AI=人工知能です。「愛」ではありません。

AIと書いてあるのを見て、「アイ」と読んだおじいちゃんがいるらしいですが、ギズモードでAIといったら人工知能のことです。さて、AIや機械学習にもいろいろあるみたいだけど、機械学習とかニューラルとかっていったい何なんでしょうね。米GizmodoのDavid NieldがAI関連の面白いサイトを紹介してくれています。私が気に入ったのは最後のTalk to Books、機械学習に人生指導してもらえました。それでは、ぜひお試しください。


AI、AIって、よく聞くしどうやら巷にはありふれているみたいだけど…いったい具体的に何ができてどう活用すればよいのか、いまいちピンと来ないって? ほんとですよね。それでは、米Gizmodoが選んだ、ネットにつながってさえいれば今すぐブラウザで体験できる楽しい5つのAIをここにご紹介しましょう。これさえ知っていればまわりに自慢できるのは間違いなし?

1) Semantris

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Image: Gizmodo US

何ができるの? 関連単語を入力してAIと言葉遊び

誰が作ったの? Google(グーグル)

使い方は? 一度始めたら、やめられないとまらない。開始する前に気持ちの準備をしておく方がいいかも。表示された単語から連想される他の単語を入力して、積み上げられるブロックをどんどん消していくというテトリス風のゲームです。GoogleのAIが単語の関連性の高さを判断してくれるんです。

Semantris(セマントリス、Semantics[意味論]とTetrisの造語!)はGoogleの開発チームによって機械学習アルゴリズムをベースに10億もの会話のサンプルで学習したそう。AIはユーザーが入力する単語の関連性から判断して積み上げられたブロックの単語の意味に近いものを見つけてその連想語と周辺にある同じ色のブロックを消します。でも、たまにはユーザーがまったく想定していない語を消しちゃうことも。

GoogleによるとSemantisに単語を当てさせるために「スラングや技術専門用語、同意語、反意語、ポップカルチャーの用語や、それに(単語だけではなく)文章もどんどん使って」とのこと。

2) This Person Does Not Exist

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Image: Gizmodo US

何ができるの? サイトにアクセスするたびにAIが実在しない人の顔写真を表示します

誰が作ったの? Uber(ウーバー)のソフトウェアエンジニアPhilip WangがNVIDIA(エヌビディア)のAI チーム開発の教師なし学習で使用される人工知能アルゴリズムの一種 敵対的生成ネットワーク(Generative adversarial networks: GAN、後述)を利用してこのサイトを作成しました。

  • さてこの画像は何でしょう?

使い方は? 表示される顔写真は決して適当にできているわけでなく、機械学習に使われた写真データに基づいて生成されたもの。GANはふたつのニュートラルネットワークを使い、そのうちのひとつが架空の顔を生成してもうひとつがその顔が本物かどうかを(本物の顔写真のデータから)鑑定し、互いの精度を競争させるという仕組みです。

これを繰り返すとやがて本物と見分けのつかない顔写真を生成できるレベルにまで成長します。この技術のスゴイ点は、顔のいろんなパーツを別々にこねくり回したものをひとつの顔としてまとめるところ。怖いくらい本物に見えるのも納得です。

ちなみにNVIDIAは猫バージョンや寝室バージョン、それになんと自動車バージョンも作っちゃったそうです。

3) AutoDraw

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Image: Gizmodo US

何ができるの? たんなる落書きがプロ級の絵に変身!?

誰が作ったの? Googleと才能あるアーティスト集団

使い方は? AutoDrawは要はピクショナリー(お題を絵で描いて当ててもらうゲーム)のAI版といったところ。ユーザーがスクリーンに描いたお粗末な絵から、AIが何を書きたいのかを推測してプロレベルの絵に変えていきます

AutoDrawの核ともいえる最新鋭の機械学習技術がユーザーの描こうとしている絵と膨大な画像・絵のデータベースを比較して、驚異的な速さでマッチする対象を探し出します。細かく描けば描くほど上部に出てくる対象の提案もより正確なものになります。

まさにこれこそAIアルゴリズムの本領発揮といったところ。たとえば「猫」の外見について訓練されたモデルを使えば、あなたの描く絵の特徴を知らずとも猫の絵だと識別できるのです。

4) Cyborg Writer

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Image: Gizmodo US

何ができるの? 文章の始まりを書くと、あとはAIが作文をします

誰が作ったの?Kevin KwokGuillermo WebsterAnish AthalyeLogan Engstrom

使い方は? ライターもAIに仕事を奪われる日がくるかも? われわれも安心してはいられませんね。Cyborg Writerはニューラルネットワークを使ってシェイクスピアからアメリカの最高裁判所風、デヴィッド・フォスター・ウォレス、はたまたウィキペディア風など、ユーザーの選んだ文章スタイルに基づいて文章を完成させます。

ページ上部のドロップダウンメニューから好きなスタイルを選んでWeirdness(奇妙度)調整をしたら、あとは文章の始めを入力するだけ。Tabを押すとAIが文章を完成してくれます。AIにもっとキテレツな作文をしてもらいたいならこのWeirdnessを高めに設定してみて。ただし、作品が大ヒットした時は機械学習エンジンのTensorFireと印税をシェアしてくださいね!

他のテク同様、ここでも膨大な文章サンプルで訓練を受けたAIモデルがベースとなってユーザーの書き始めた文章の続きを推測します。ソフトウェアの追加が必要ないのに処理スピードが速くてブラウザが重くなることもないのはTensorFireとTensorFlowのおかげ。

【no.363】ソニー、数クリックだけでAIが予測分析するツール提供 法人向けに当面は無料で

ソニー、数クリックだけでAIが予測分析するツール提供 法人向けに当面は無料で

ソニーとソニーネットワークコミュニケーションズは6月12日、プログラミングなしで使える、機械学習を用いた予測分析ツール「Prediction One」を法人向けに提供すると発表した。当面は無料で利用可能で、有料化の時期は決まり次第Webサイトで案内する。サポートは有償。

ソニー機械学習を用いた予測分析ツール「Prediction One」

予測分析は、統計アルゴリズムや機械学習を使って過去の実績から将来の結果を予測するデータ分析手法の一つ。工場における製造機器の故障予測や、退職しそうな従業員の予測など、幅広い領域で活用を見込める。

Prediction Oneは、機械学習やプログラミングの専門知識がなくても操作できるGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)を採用した。予測したいデータをアップロードし、分析結果が表示されるまで数クリックで完了するという。これまで専門的な知識や経験が必要だった「データの前処理」と、予測モデルの選択や学習といった「モデリング」も独自開発の技術で自動化した。

ソニーデータを取り込んだところ
ソニー予測モデルにデータを学習させ、分析しているところ

予測結果を次のアクションに生かせるように、どの特徴量が結果に大きな影響を与えているかを可視化したのも特徴だ。学習の実行はローカル環境で行う。標準的なスペックのノートPCやデスクトップPCで動作するとしている。

ソニーグループ内では、数年前から金融や不動産などの事業で予測分析の導入を進めてきたという。実務で使う中で得られたフィードバックを基に改良を重ね、社外向けソフトウェアとしてサービス化した。利用したい場合は製品サイトで必要事項を入力するとダウンロードできる。

ソニーソニーネットワークコミュニケーションズの渡辺潤執行役員

ソニーネットワークコミュニケーションズの渡辺潤執行役員は、「機械学習を用いた予測分析ツールはプログラミングが必要なものが多く、データサイエンティストなど専門知識や経験を持っている人しか使えないという課題があった。誰でも簡単に使えるツールを無料で提供することで、幅広い活用が見込める予測分析の普及に貢献したい」と語った。

「多くの企業に使ってもらい、フィードバックを得ることでPrediction Oneも速く進化できるので、有償化したときに納得してもらえるレベルのものになる。プロ向けツールとはすみ分けができると考えている。われわれの役割は予測分析の裾野を広げていくことだ」(渡辺執行役員)

【no.361】AI肌診断にロボット美容アドバイザー! 最新の「SK-II」体験型ストア

AI肌診断にロボット美容アドバイザー! 最新の「SK-II」体験型ストア

これまで2回、原宿で期間限定のポップアップストアをオープンさせていた化粧品ブランドのSK-IIが、体験型スキンケア・ストア「SK-II Future X Smart Store」をふたたびオープンしました。今回は2019年6月7日(金)〜8月12日(月)まで原宿の「CASE W」で開催しております。

SK-IIのポップアップストア
▲6月6日にメディア向けの内覧会が開催されましたので、そのときの様子をご紹介します

今回も企画が盛りだくさん

SK-IIの高級スキンケア商品

SK-IIといえば、高級スキンケアブランドとして有名です。顧客に新しいショッピング体験をしてもらいたいとして、2018年5月から世界に先駆けて、日本で初めてポップアップストアをオープンしました。2度目は2018年11月27日から2019年1月24日まで行われ、スマートフォンを使ったAR体験などで、SK-IIの世界観を再現しました。

今回はさらにパワーアップ! 肌診断サービスやスマートフォンを使ったAR体験は健在ですが、そんなことまで!というちょっと笑える体験もプラスされました。

P&G ジャパン グループ 執行役員 SK-Ⅱ ヨージン・チャン氏▲P&G ジャパン グループ 執行役員 SK-Ⅱ ヨージン・チャン氏

冒頭で挨拶したP&G ジャパン グループ 執行役員 SK-Ⅱ ヨージン・チャン氏は「3回目になるが、やりたかったことは変わっていない。高級基礎化粧品の買い物は怖い、高いものは怖いというイメージ、ストレスを払拭したい。買い物体験を簡単に、どうやったらエキサイティングにできるのかを考え、ほとんどすべてを新しくした」としました。

動くと反応するウォール
店内の様子

今回の企画は、日本初のAIを活用した肌測定「マジックスキャン」、ロボット美容アドバイザー「Yumi」による製品紹介、アイトラッキング技術を使った鏡の中で表示を操作できる「マジックミラー」による製品体験、「ピテラパワー ベンディングマシーン」を使った製品購入体験、ピテラの情報を体感できるARゾーン、30台のカメラで撮影するセルフィーブース、動きに反応するウォール、人とのつながりを強化するための美容部員も兼ねたコミュニケーションスタッフ「ビューティ・インフルエンサー」の設置の8つ。ちなみに「ピテラ」とは、SK-IIの化粧品に含まれる、「ガラクトミセス」という天然酵母と発酵の研究の末に発見された独自の保湿成分のことです。「酒造所で働く杜氏の手が美しい」という発見から誕生したといいます。

これまでは1階、2階にわかれていましたが、これらすべてを1フロアで体験できるようになっています。

【no.360】AI人材を目指す学生は少数派、データサイエンティスト志望は3.3% 企業側のニーズと差

AI人材を目指す学生は少数派、データサイエンティスト志望は3.3% 企業側のニーズと差

いまの学生の中で「AI人材やエンジニアになりたい」と考える人は少数派――マイナビの調査で、そんな結果が出た。ビッグデータ分析やアルゴリズムの作成など、AIに関連した業務を行える人材の需要が高まっているが、企業側のニーズと学生の志望度には大きな乖離(かいり)があるようだ。

データサイエンティストの志望者は3.3%

同社が2020年に卒業予定の大学生・大学院生に意見を聞いた結果、75.4%がデータサイエンティスト、各種エンジニア、コンサルタントなど「AI・IT職」を志望しないと答えた。専攻との関連性が強い理系でも、男子の67.1%、女子の81%が同様の回答をした。

特に志望度が低かった職種は、セールスエンジニア(1.1%)、カスタマーエンジニア(1.7%)、システムコンサルタント(2.8%)、データサイエンティスト(3.3%)、システムの保守・運用担当(4.2%)、ネットワークエンジニア(4.7%)――など。

photo大学生・大学院生(2020年卒)の「AI・IT職」への志望度

志望度が低い背景には、AIに対する漠然とした不安があるとみられ、学生からは「スキル・知識がないから(活用できるか)不安だ」(27.4%)、「具体的に(AIを活用して)働くイメージができない」(19.8%)、「適正がないと感じるため不安だ」(12.2%)、「自分の就きたい仕事には関係ない」(3.4%)といった意見が出た。

一方、「(AI導入によって)業務効率が上がると期待している」(33.3%)、「環境への適応力があるので特に心配はしていない」(13.1%)、「具体的に働くイメージができているので特に心配はしていない」(5.6%)など、AIの普及・活用に好印象を持つ層も一部みられた。

photoビジネス界へのAI導入に対する印象

だが、AI・IT職を志望している2割超の学生からも、「(企業が)どの程度のプログラミングスキルを求めているのか、基準が分からない」(61.1%)、「選考でみられているポイントが分からない」(25.5%)、「必要とされる能力が分からない」(15.6%)などと選考基準を不安がる声があった。

マイナビは「企業側のニーズと学生の志望度に大きな乖離(かいり)がある」「企業は学生の理解を促すために、募集の際は具体的な業務内容や必要とされるスキルなどを明確に示す必要があるだろう」と指摘している。

photo選考に対する不安

調査は4月24~30日にかけて、就活支援サービス「マイナビ2020」の会員を対象にWeb上で実施。7342人から回答を得た。

【no.359】使うかな…? AmazonがAIで洋服選びをサポートするSnapshopをローンチ

使うかな…? AmazonがAIで洋服選びをサポートするSnapshopをローンチ

どうなんでしょう…。

今やオンライン小売業のドンであるAmazon(アマゾン)ですが、ファッション分野は成功しているとは言えません。だって、オンラインショッピングで洋服を買おうと思ってもAmazonは見に行かないでしょう。まず、商品の表示方法も決してオシャレとは言えないですし、私は子供の体育祭用指定Tシャツを買ったことしかありません。

でも、Amazonは「じゃあファッション分野なんて止める!」とはならないんですね。彼らは「StyleSnap」というAIを利用した新たなツールを発表したんです。

The Vergeによると、StyleSnapは洋服版「Shazam」。Shazamは、ラジオやテレビで流れている音楽を認識してくれるアプリですが、StyleSnapは、洋服の写真をアプリいアップロードして、Amazonで扱っている似たような服を検索してくれるというものです。

しかしこういったサービスは多くのスタートアップがすでに提供していて、オンラインファッション大手のAsosも使っているとThe Vergeは指摘しています。それに、Amazonが「ファッション×テック」に強くないのは、スタイル・アシスタントとしてアピールした「Echo Look」でも証明済み。いくつかのメディアがEcho Lookをレビューしていますが、物珍しさはあれど、継続して使いたいという代物ではないようす。

なので、AmazonがこのAI機能を導入するからといってファッション部門が成功するかといったら微妙なところかも。まぁ、Amazonがファッション部門を諦めるつもりがないということだけはしっかり伝わりました。

でも、消費者目線で言わせてもらうとするなら、努力する方向性が全然違うと思うんですよね。ウェブサイトのデザインがファッション向けじゃないんです。ガジェットやオムツやだしの素を扱うウェブサイトと同じテイストで部門だけ変えても全然格好良く見えないし、商品レビューのオレンジの星も途端に説得力がなくなってしまう。ワクワクしないんです。「これを着たらどんな新しい自分に出会えるかな」って思えない。

デパートは惣菜コーナーからコスメコーナー、衣類コーナーと陳列の仕方や雰囲気まで全部変えているじゃないですか。店員さんも客の気分を盛り上げるために色々工夫してくれる。Amazonにはそれがないんです。だから、消費者の立場で言うならAI云々より、ウェブサイトを変えるか、それが嫌ならスッパリやめたほうがいいんじゃないかな、って思うんです。

【no.358】AI分野の技術発展戦略の策定に向けた会合、財政措置など議論

AI分野の技術発展戦略の策定に向けた会合、財政措置など議論

米国や中国を中心として世界的に人工知能(AI)への関心が高まり、多くの国でAI分野の政府戦略・プログラムが策定される中、ロシアでも同様の動きがみられている。プーチン大統領は5月30日、AI分野の技術発展戦略策定に向けた会合を開催。戦略の方向性や実現に向けた財政措置について議論を行った。

冒頭で、プーチン大統領は「AIはビッグデータ分析に基づく最適結果を導き出すもので、マネジメント、教育、ヘルスケアなど国民生活・経済・労働生産性に衝撃を与えるもの」と述べ、既に多くの国がAIに関する行動計画を策定している中で、ロシアでは携帯電話・インターネットの高い普及率と世界的にみて安価な通信料、豊富な数学・物理に強い人材供給とIT専門家育成システムが確立されており、国産技術が潜在的な競争力(ポテンシャル)を有していると指摘した。この競争力をAI分野にも生かすために、a.新しい数学的手法などの基盤創設や人間脳に類似するAI作業の確立、b.複雑な課題の解決に向けた人材育成のための国際数学センターの開設(モスクワ、サンクトペテルブルク、ソチ)、才能ある人材の引き留めや海外からの専門家誘致、それに向けた金銭・就労面でのインセンティブの供与、c.AI開発・活用に向けた知財保護面を含む柔軟な法制度整備とAI分野への民間投資誘致、d.データの加工・保管に関する法制度改正、e.AI導入に関する国民への啓発、の5点が重要だと強調した。

デジタル経済政策を担当しているマクシム・アキモフ副首相は、AI技術発展戦略の実現に関する手法と財政措置について言及。戦略の実現に向けた各種措置が明記される、連邦プログラム「AI」を2019年10月までに策定し、先進的な研究機関支援を含むアルゴリズム、数学的方法分野の研究支援、官民での技術開発・複製の試験実施などに向け、6年間で900億ルーブル(約1,530億円、1ルーブル=約1.7円)の財政拠出を行うと述べた。

他方、デジタル経済戦略策定に参画する、ロシア最大手行ズベルバンクは本会合開催前の5月20日に、AI分野の発展(注)には、2024年までに1,000億ルーブル、2030年までに1,800億ルーブルの予算が必要だと試算し、900億ルーブルでは足りないとしている。ズベルバンクの評価によると、AI技術の開発・商業化への投資は主に、横断技術(AI分野で横断的活用できる技術)に向けることが肝要とし、投資額は解決課題の内容や、活用する横断技術の完成度合、完成品の技術的複雑性次第としながらも、2030年までに基礎調査に200億ルーブル、横断技術の試作開発支援に400億ルーブル、全分野の横断技術支援に1,200億ルーブルが必要としている(電子メディア「プライム」5月20日)。

(注)ズベルバンクが策定に携わっている「AI発展戦略」では、AI技術の定義を「コンピュータビジョン(コンピュータによるデジタル画像・動画の理解に向けた人間の視覚システムの自動化を追求するもの)」「自然言語処理(人間が用いている自然言語をコンピュータに処理させる技術。自然言語をコンピュータが理解しやすい表現に変換、その逆の処理が含まれる)」「レコメンダシステム(特定ユーザーが興味を持つと思われる情報を「おすすめ」として提示するもの)」「音声認識」「自動機械学習技術」などとしている。