【no.277】熟練工が1週間かかる調整作業→AIは1日で完了 三菱電機と産総研がFA分野でAI活用

熟練工が1週間かかる調整作業→AIは1日で完了 三菱電機と産総研がFA分野でAI活用

菱電機と産業技術総合研究所は2月5日、工場の生産ラインの準備作業を効率化するAI(人工知能)技術を共同開発したと発表した。産総研が提供するAI技術を、三菱電機が自社のFA(ファクトリーオートメーション)機器やシステムに実装する。熟練工が時間をかけて行っていたFA機器の調整作業などをAIに代替させ、作業時間の短縮を図る。

AI工場の生産ラインにおける準備作業とは(切削加工の例)

生産現場では、FA機器やシステムの調整、機器を動かすプログラミングなどにかかる工数の増加や熟練工の減少が問題になっている。こうした課題を解決するため、FA機器やシステムの調整作業をAIで自動化しようと考えたという。

「パラメーター調整」「画像判定」「異常検知」を自動化

小さな電子部品をプリント基板の決められた場所に載せる実装機では、機械の振動を抑えながら素早く目標位置に停止するようAIがモーターを制御。これまでは、あらかじめ熟練工が1週間以上かけて2種18個のパラメーターを手動調整して制御していたが、少ない試行回数で最適なパラメーター値を見つける「ベイズ最適化」の手法を応用したことで8種720個のパラメーター調整を1日で完了できたという。

AI製造機械のパラメーター調整にAIを活用

レーザー加工機を用いた板金の切断加工では、経験の少ない従業員でも熟練工と同等の加工品質を維持できるよう、加工面の品質判定を画像認識AIがサポート。熟練工が目視で判断していた加工面のキズ、上面荒れ、溶融付着など5つのポイントをAIに判定させた。問題がある場合は、レーザーの焦点位置や加工速度、ガス圧力などあらかじめ設定された条件をAIが自動調整しながら最適な条件を見つける。

本来、ディープラーニングには数千~数万枚もの学習用データ(画像)と膨大な計算処理が必要になるが、画像特徴量の1つである「高次局所自己相関特徴」(HLAC)に注目したことで、必要な学習データ数と学習のための計算量の削減に成功したという。これに熟練工が蓄積してきた加工知識を合わせ、AIの学習効率を上げたとしている。

AIレーザー加工ではAIによる画像判定を活用

組み立て作業を行う産業用ロボットの「異常判定」もAIで自動化した。組み立て作業では力覚センサーでロボットに異常がないかを常時監視する。部品の欠損や異物混入などがあった場合はセンサー出力の波形が乱れるという。

AI産業用ロボットの異常検知もAIが自動判定

従来は熟練工が「どんな異常が起きたか」を都度確認し、各ケースに応じて異常処理プログラムを作成する必要があったが、この判定部分をAIが代替。あらかじめ起きうる異常と波形のパターンをセットでAIに学習させ、その学習結果を異常処理プログラムに組み込んだ。時系列データ分析向けの機械学習技術(時系列データに適した構造のニューラルネットワークであるLSTMなど)を用いたという。

【no.276】人間の分身「AI司会者」が中国で誕生 ── 忘れるな。設計、開発したのは人間だ

【no.276】人間の分身「AI司会者」が中国で誕生 ── 忘れるな。設計、開発したのは人間だ

AI分野の成長が著しく、同分野で圧倒的な存在感を示しているのが中国だ。実際、昨年行われた「2018年中国人工知能産業年会」では、2018年上半期におけるAI分野へのグローバル投資額435億ドルのうち317億ドル、つまり全投資額の4分の3を中国が占めていると発表された。

追い打ちをかけるように、中国の春節聯歓晩会(毎年7億人以上が視聴する中国版紅白歌合戦)に、パーソナル人工知能(PAI)技術を利用して生み出された世界初の「AI司会者」が登場した。

AI司会者がどう生まれ、何をもたらすのか

AI司会者を開発したのは、アメリカ・カリフォルニア州パサデナを拠点とし、分散型の個人用AI、パーソナルAIアバター(PAI) を開発するAI専門会社「ObEN」だ。2014年に設立された同社は、ソフトバンク・ベンチャーズ・コリアやテンセント、HTC VIVE Xの投資先企業でもある。

PAIは、

「長期間の旅行中に自分自身の仮想コピーを『残していく』ことによって、家族と繋がっていたい」

という考えから生み出された。

人物の2D画像と音声を組み合わせ、短時間で作り出された3Dアバターは、ユーザーの声で歌い、流行りのダンスを踊る。さらには、モバイルデバイスを介してファンと交流し、まるで現実でコミュニケーションを取るように感じさせることも可能にするという。

では、3Dアバターが何をもたらすのか? おそらく現実世界で3Dアバターを多用する未来はまだ先だ。最大限に価値を発揮するのは、仮想空間での活用だろう。ユーザーをVR環境やAR環境に送り込み、真に迫った新しい体験を与えてくれるはずだ。

仮想空間といえば、イベントやミーティングを仮想空間で開催できるバーチャルイベントプラットフォーム「cluster」も注目を集めている。このサービスでは自分に似たアバターは使用しないが、仮想空間におけるコミュニケーションの機会は、他にも確実に増えており、今後さらに加速していくだろう。

企業の裏側や特殊な領域ではなく、身近な「AI浸透」が進む

中国では、AI司会者だけでなく、国営メディア「新華社通信」にAIアナウンサーも登場している。

動画を見て見てもわかるように、「これは人間なんじゃないか?」と勘違いする方も少なくないだろう。

AIアナウンサーは、日本でも導入実績がいくつかある。2018年4月にはNHKのニュース番組「ニュースチェック11」に登場した「ニュースのヨミ子」が、AIによる合成音声でニュース原稿を読み上げた。ニュースのヨミ子は、NHK放送技術研究所が開発した平昌オリンピックの「ロボット実況」に使われた技術がベースになっている。

また、日本経済新聞社がYouTubeに公開している動画の一部では、AIアナウンサー「荒木ゆい」が採用されている。言葉を噛まない、完全に制御できるという点では、アナウンサーはAIで十分ではないかという意見もある。アナウンサーがアバターになれば、ユーザーが好みのビジュアルや声、キャラクターを選択できる。これによりユーザーの満足度向上が期待できる。また、一度開発してしまえば、運用・保守が低コストな点も魅力的だ。

このように、国内外の至るところで、社会へのAI技術の浸透に気付かされる機会が増えた。それが、企業の裏側や特殊な領域で起こっているのではなく、我々の身近な場所で進んでいるのというのが、今後数年で生活へさらにAIが浸透する期待を感じさせてくれる。

【no.275】ボッシュがAIを全製品に搭載へ、自動運転用カメラにも…2020年代半ばまでに

ボッシュがAIを全製品に搭載へ、自動運転用カメラにも…2020年代半ばまでに

ボッシュ(Bosch)は1月30日、2020年代の半ばまでに、ボッシュの製品すべてにAI(人工知能)を搭載、またはAIが製品の開発・製造に関わるようにする計画を発表した。

ボッシュのAIセンターでは現在、多くの従業員が150件以上のプロジェクトに携わっている。そのうちの1つが、センサーシステムの「SoundSee」だ。このSoundSeeのアルゴリズムは、機械学習を応用しており、故障の兆候を聞き取ることができる。これにより、機械の故障を正確に予測できるようになり、メンテナンスコストの削減や生産性の向上につながるという。

このSoundSeeは2019年の中頃に、国際宇宙ステーションに送られる予定だ。ボッシュはこのソリューションを、自動車工学などの商業用途に活用できると想定している。

AIの進化のもう1つの例は、画像処理アルゴリズムとAIメソッドを組み合わせた自動運転用の多目的カメラだ。この自動車向けのインテリジェントなカメラは、歩行者を発見し、すぐにその挙動を認識・予測することができるという。

ボッシュの目標は、AIの世界大手の一社になることだ。この目標を達成するために、ボッシュは2021年までに社内のAIエキスパートの数を現在の1000人の4倍、4000人へ増員することを計画している。

【no.274】AI活用サービス6選】音声・画像認識から文章生成・校正までを網羅

AI活用サービス6選】音声・画像認識から文章生成・校正までを網羅

昨今、ニュースなどで「AI」というワードを聞かない日はほとんどありません。ですが、「AIを使ったサービスをほとんど使ったことがない」なんて方は多いのではないでしょうか。

今記事では、AIが使われているサービス6選を紹介します。

画像解析/認識/処理系AIサービス

Linne Lens

Linne Lensは生物の認識に特化したスマートフォンアプリ。(2019年1月23日時点)
スマートフォンのカメラを介して魚類を筆頭に、鳥類や哺乳類など、合計8,000種類の生物の名前を瞬時に検索することが可能です。

驚くことに、この検索サービスはエッジ(スマートフォン)側で生物の認識を行うため、インターネットに接続できない状況でも認識し続けてくれるんです。さらに、生き物が動き回っている状況や、群れをなしている状況、さまざまな生物が入り混じっている状況でも精度の高い認識力を発揮します。

無料キャンペーン中の今なら、1日10種類の生物を無料で認識できるので、水族館や動物園に出向いた際に使ってみるのも一興です。

公式サイト https://lens.linne.ai/ja/
サービス / アプリ iOS / Android

Google Lens

Google Lensはスマートフォンのカメラを通して、さまざまなものを検索できるAIを活用した最先端サービスです。AIによる画像認識カメラに写った花の名前を調べたり、撮影した建物の画像から、建物に関する歴史や営業時間を調べられます。

他にも、名刺の情報を保存したり、絵画を読み取り、作者に関する情報を表示したり、さまざまな用途に使用できます。

Google レンズはGoogle フォトやGoogle アシスタント、一部のカメラアプリを通して利用可能です。

このアプリがあれば、今まで何気なく見過ごしていた日常の風景が、少しワクワクする風景に変わるかもしれません。

公式サイト https://lens.google.com/
アプリ Android

Pixiv Sketch

Pixiv SketchはAIが白黒の絵を自動でカラーリングしてくれるサービスです。Pixiv Sketchにログインし、線画をアップロードするだけでほとんどの作業が完了するため、「絵を書くのは好きだけど、色塗りは面倒だからやらない」なんて人におすすめです。

公式サイト https://sketch.pixiv.net/
サービス / アプリ iOS / Android

音声認識

Shazam

Shazamは2008年に配信が開始されたAIによる楽曲の認識を行う古株的サービス。街中で流れている楽曲名を認識したり、テレビCMに使用されている楽曲を認識したり、「ちょっと気になる音楽」の楽曲名を認識することに特化したAIが組み込まれています。

Shazamは、SpotifyやSnapchatなどに技術提供しており、さまざまなサービスに組み込まれています。

公式サイト https://www.shazam.com/ja
サービス / アプリ iOS / Android

文章校正/生成

Grammarly


Grammarlyは、英語文校正ツールの決定版とも言えるサービスです。誤字脱字の検出はもとより、文法のチェックや、類義語の提案など、英語の文書を作る際に必要なサポートは、Grammarlyひとつでほぼまかなえてしまいます。

無料版は、Chromeのプラグインとして利用できるので、今すぐにでも試して欲しいサービスです。

公式サイト https://www.grammarly.com/

Articoolo

Articooloは、入力した単語をもとに、文章生成してくれるAIサービスです。現時点で、日本語を含む6言語に対応しています。

公式サイト https://ledge.ai/articoolo-japanese-version-2/

文章生成の精度自体は、まだまだ発展途中な感じではありますが、WordPressのプラグインも公開されているため、ブログのネタに困ったときや、ブレインストーミングなどに使ってみるのもいいのかもしれません。

AIは身近なサービスにも着々と浸透している

今回まとめたAIサービスは有名なものばかりで、日常的に使っている人も多いと思います。

ですが、上記のサービスにAIが使われていることは、案外知られていません。他にも身近なところで活躍するAIは数多くあることから、AIは徐々に社会へ浸透し始めています。

【no.273】「AIで残業がなくなった」月間180時間の労働時間を削減したAI導入事例が美しすぎる

「AIで残業がなくなった」月間180時間の労働時間を削減したAI導入事例が美しすぎる

在庫を持たず、レジもない。革新的な店舗運営で話題の、オーダーメイドスーツ・シャツを扱うスタートアップ「FABRIC TOKYO」をご存知でしょうか?

世界的にみても遅れていると言われる日本の小売業界。そこに一石を投じようと、ファッション × テクノロジーで、新たな価値を生み出しているのがFABRIC TOKYOです。

その裏には、採寸メモが記載された帳票をほぼ100%の精度で読み取り、圧倒的な業務効率化を果たす、なんとも美しいAI導入事例がありました。

手書き文字認識AI「Tegaki」の導入で、現場がアップデートされる

在庫もレジもないFABRIC TOKYOの店舗にユーザーが訪れてすることは一つ。「採寸」です。その業務の中で、AI界隈では有名な株式会社Cogent Labsの手書き文字認識AI「Tegaki」が活用されています。

Tegaki
Tegakiとは手書き書類をスキャンして取り込むだけで簡単にデータ化して保存ができる手書きOCRサービス。自動認識が難しかった手書き文字を高速・高精度に読み取ることができます。各種申込書類やアンケートをはじめ、医療機関での問診票など様々な手書き書類の読み取りに対応可能。手書き文字の認識率99.22%を達成した研究結果を元に、データ入力業務の効率化とコスト削減を実現します。

従来のワークフローが、AI導入によってどのように効率化されたのか、実際の店舗の様子を覗いてみます。

着心地のいいスーツを作るのに重要な体の部位、数十カ所を採寸

店舗を訪れると、壁一面に並んだ生地サンプル(通称:FABRIC WALL)から、ユーザーはお好みの生地を直感的に選ぶことができます。そしてメインとなるのが、採寸です。実際に採寸されている様子がこちら。

着心地のいいスーツを作るのに重要な体の部位、数十カ所を、店舗スタッフが丁寧に採寸してくれます。

手書きで帳票にメモ。データのクラウド管理がFABRIC TOKYOの強み

店舗スタッフは採寸をしながら、手書きで帳票にメモを取っていきます。

FABRIC TOKYOが強みとしているのが、この採寸データです。データはクラウドにアップロードされ、ユーザーはいつでも自分のデータにアクセス可能。さらに、オンライン上でスーツ・シャツのオーダーができます。

一度店舗で採寸をして、あとはインターネット上で商品を購入できるD2Cのオーダーメイドビジネスこそ、小売業界でFABRIC TOKYOが旋風を巻き起こしている所以です。

手書きメモをスキャンし、Tegakiで画像認識。API連携でデータベースに自動書き込み

Tegakiは、帳票に手書きでメモされた採寸データを、クラウド上のデータベースに登録する業務で使われます。

以前は、手書きのデータを、わざわざエクセルに平均13~15分かけてスタッフが手入力していましたが、AI導入後は帳票をスキャンするのみ。

スキャンの様子がこちらです。

スキャンされた帳票に記載された手書き文字をTegakiが認識、読み取ることで、自動的にクラウド上のデータベースに書き込まれます。

ここまでがAIによりアップデートされた、採寸の一連の業務フローですが、

  • そもそもなぜ採寸データを直接iPad等のデバイスに入力しないのか?
  • 導入にあたりどれくらいのコストがかかったのか?
  • 既存ワークフローの変更で、新しい課題も出たのでは?

など、気になる点も多いです。

【no.272】AIで”家電ごとの電気の使い方見える化技術” – 三菱電機

AIで”家電ごとの電気の使い方見える化技術” – 三菱電機

三菱電機は、同社のAI技術Maisart(マイサート/Mitsubishi Electric’s AI creates the State-of-the-ART in technology)を用いた”家電ごとの電気の使い方見える化技術”を開発したことを29日、発表した。

今回同社が発表したAI活用の技術は、新たな計測器を取り付けずにスマートメーターで計測した住宅全体の電力使用量から、家電ごとの電力使用量を推定するもので、電流センサなどの計測器を使う方法と比べ蓄積データ量が1%以下に抑制できるとしている。

【関連】インフォメティスと日東工業、AIを利用した電気代の見える化 >>

  • 「家電ごとの電気の使い方見える化技術」の概要(同社資料より)

    「家電ごとの電気の使い方見える化技術」の概要(同社資料より)

三菱電機公式Webサイト内 研究開発・技術<a href="http://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/randd/maisart/" target="_blank">「Maisart」</a>

三菱電機公式Webサイト内 研究開発・技術「Maisart」

三菱電機が取り組むAI「Maisart」(公式ページ内Maisart紹介サイト)は、キッチン家電や生活家電から住宅設備、映像機器、カーエレクトロニクスまで多くのジャンルの製品を手がける同社の知見をベースに、ニューラルネットワークにおけるノードへの枝のコンパクト化、事前学習の試行回数の低減、センサーデータの分類抽出などに力を入れている。

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2018年夏に東北電力がIoTやAI、ロボットなど新サービス開発のための「よりそうスマートプロジェクト」(ニュースリリース)では、モニター募集したユーザーを対象に家電別の電気使用量を推定し、メールやLINEで家電の使い方をアドバイスする試みを行っている。電気を使う魅力的な製品がいつのまにか矢継早に発売される時代だが、電気料金はできるだけ賢く、スマートに抑えたいというのは誰しもが思うところだ。

【no.271】活躍の場広げるAIアナウンサーの実力

活躍の場広げるAIアナウンサーの実力

NHKは人工知能(AI)を活用した音声合成により、ラジオで気象情報を発話するAIアナウンサーを開発した。山梨県を放送対象とする甲府放送局のラジオ気象情報で3月に実証する。AIアナウンサーは、NHK放送技術研究所(東京都世田谷区)と連携して開発した。甲府放送局の過去3年分の気象情報から抜粋した文章などをNHKアナウンサーが読み上げ、AIに学習させた。

AIが注意報や予報、雨量、風速など多様な気象データを話し言葉に変換する。文脈に合ったイントネーションや間の取り方、情報の取捨などNHKアナウンサーが持つ話術を再現できるか検証し、早期の実用化を目指す。山梨県は観光地として人気が高い富士山を有し、気象情報へのニーズが高いことなどから実証地域として選出した。AIアナウンサーは3月4―8日と、25―29日の3分間のコーナーで登場する。

NHKはAIによる音声合成で発話する3次元コンピューターグラフィックス(3DCG)のアナウンサー「ニュースのヨミ子」を地上波のニュースで起用している。NHKはこうしたAI活用がアナウンサーの働き方改革にもつながるとしている。

日刊工業新聞2019年1月29日

 

「ニュースの読み子」育成中

日刊工業新聞2018年3月27日

NHKは26日、人工知能(AI)による音声合成で発話するアナウンサーを開発したと発表した。4月から3次元コンピューターグラフィックス(3DCG)の女性アナウンサーとしてニュース番組に登場する。NHKの地上波ニュースにAIアナウンサーが登場するのは初めて。

開発したAIアナウンサーは「ニュースのヨミ子」。NHK放送技術研究所(東京都世田谷区)が開発した音声合成技術を活用した。NHKのアナウンス室の監修の下、長時間の音声収録を行って機械学習させた内容を発話する。

将来は相手の言葉を認識し、自由に会話できるAIアナウンサーに成長させていく。ニュース速報を自動的に読み上げる体制の構築などを目指す。

「ニュースのヨミ子」はNHKのニュース番組「ニュースチェック11」に登場する。4―5分のコーナーにおいてインターネット上で話題になったニュースなどを紹介する。

平昌五輪では実況で活躍

日刊工業新聞2018年2月20日

日本人選手のメダルラッシュに沸く平昌(ピョンチャン)冬季五輪。その舞台でNHKの新人アナウンサーが実況デビューを果たした。その名は「ロボット実況」。NHK放送技術研究所(放送技研、東京都世田谷区)が開発したその新人アナは、堂々たる声でアイスホッケーやカーリング、スケルトンなどの熱戦の模様を連日、伝えている。

「カナダ、ジョンストン選手のシュート。ゴール!」―。アイスホッケー女子、カナダ対OAR(ロシア出身選手で構成されたチーム)の一戦でロボット実況の声が響いた。新人アナらしからぬ女性の落ち着いた声で2時間以上の試合中継を無事にこなした。

ロボット実況は人工知能(AI)による音声合成技術などを活用して実現した。五輪期間中は国際オリンピック委員会(IOC)傘下で放送サービスを手がけるオリンピック放送機構(OBS)が試合経過の情報を記した競技データをリアルタイムで各国の放送事業者に配信する。

放送技研はその競技データを基に、即座に自動で日本語の実況文章を作り、音声を合成して生中継の配信映像に合わせて流すシステムを構築した。実況内容は字幕でも付与できる。放送技研ヒューマンインターフェース研究部の岩城正和部長は「OBSから配信される膨大な競技データからアナウンサーとして話すべき内容を自動で判断して実況できる」と強調する。

同システムは2016年のリオデジャネイロ五輪の全種目で内部実験を行っており、満を持してデビューした格好だ。23日まで毎日1競技程度実況する。ここまでの成果は上々で、NHKは「ライブ配信の映像に対してリアルタイムで実況を付与できている」と手応えを強調する。

五輪は多数の種目が同時に行われる。インターネット配信を活用することで多くの競技を中継できるようになったものの、中継で肝心の実況は人手の問題で付けるのが困難だった。ロボット実況はその代替になる。特にNHKとしては試合状況を音声や字幕で伝えることで、視覚や聴覚に障がいのある人が多様な競技の生中継を楽しめる環境を整える目的がある。

また、NHKは今回の配信について20年の東京五輪・パラリンピックでの活用に向けた試験と位置付ける。その意味では「配信される競技データが少ない種目は実況しない時間が多くなる」(NHK)という課題を確認した。このため今後は競技データ以外の情報の活用を模索し、内容の充実を図る考えだ。東京五輪・パラリンピックでは新人アナの成長した姿が期待できそうだ。

【no.270】AIカメラが「未成年」判別、居酒屋で実験 精度は96%超

AIカメラが「未成年」判別、居酒屋で実験 精度は96%

 

AI(人工知能)搭載カメラで、来店客が未成年かどうかを検知する――業務システムのクラウドサービスを展開するチャオ(東京都港区)は1月21日、養老乃瀧が展開する居酒屋「一軒め酒場 新橋店」で実施した実証実験の結果を発表した。未成年者の検知率は96.1%だったという。

実験では、AI搭載のクラウドカメラ「Ciao Camera」を使用。店員による確認漏れが多かったという来店者の年齢確認をAIを使って行い、未成年者へのアルコール提供を未然に防ぐことを目指した。

AI
実験の画像
実験の第1段階として、ディープラーニングを使った画像認識サービス「Amazon Rekognition Image」の顔認識機能を活用した。AIがカメラ画像から人物の顔を識別し、年齢結果を推定。未成年と思われる場合は店員に通知する。入店する数秒の間に来店者の顔画像を複数枚撮影したが、画質や顔の角度で誤検知もあったという。検知率は90.7%にとどまった。

次に、精度向上と通知までの時間を短縮するため、チャオは未成年かもしれない「要年齢確認者」を判別する独自の識別エンジンを構築。AIの判別結果を人間で精査し、AIに学習させることでモデルを作成した。大量のデータをAIが学習し続けることで精度を改善し、96.1%の精度で未成年を検知できるようになったという。年齢確認は身分証明書で行った。

 

【no.269】 AIで予測向上目指す 気象庁、理研と共同研究

AIで予測向上目指す 気象庁、理研と共同研究

気象庁は23日、理化学研究所の革新知能統合研究センター(東京)と提携し、人工知能(AI)技術を気象の観測や予測の精度向上に活用する研究を始めると発表した。同庁の気象情報は現在、降水量と降雪量の予測は2日先まで、風速は1日先まで。平成36年をめどに5日先まで延ばし、早めの防災対応を促せるようにする。

気象庁によると、気温や気圧、風の変化の予想にはスーパーコンピューターと複数の数値予報モデル(計算プログラム)を使っている。それらの計算結果をAIでスムーズ、適切に組み合わせ、予測の精度向上を目指す。例えば地域ごとの降水量予測、その誤差の範囲を5日先まで把握し、特別警報に匹敵する豪雨となる確率を算出できるようにもするという.

現在は予測が難しい台風の急発達について気象衛星の画像や各種データからAIで前兆を捉える研究も進めたいという。共同研究の期間は33年3月末まで。

【no.268】立教大が“AI特化”の大学院 国内初

立教大が“AI特化”の大学院 国内初

立教大学は1月21日、国内初となるAI(人工知能)に特化した大学院「人工知能科学研究科」(修士課程)を2020年4月に開設すると発表した。機械学習の数理モデルや統計学の知識を持つ「AIサイエンティスト」や、AI開発ができる「AIエンジニア」などの輩出を目指す。

立教「人工知能科学研究科」

機械学習やディープラーニング(深層学習)を中心としたAI領域について学習・研究できるカリキュラムを設置し、文理融合型プロジェクトを推進、各界を代表する企業との産学連携による社会実装にも積極的に取り組む環境を設けるとしている。

立教設置科目(予定)

また、AI活用に当たって重要な「ELSI」(Ethical,Legal, and Social Implications=倫理的、法的、社会的諸問題)を重点分野と捉え、1年次必修科目とする。

募集定員は63人、教員数は9人。平日6時限と土曜日を含む昼夜開講が中心になる。選考方法は4月下旬以降に公表予定。

今後は、全学部生がAIを学べる環境を整える他、博士課程の設置も検討するという。