【no.519】2000億円の損失をもたらす不在配送をAIでゼロへ

2000億円の損失をもたらす不在配送をAIでゼロへ

 

日本の運送業界が泣いています。宅配における再配送の割合は約20%にのぼり、走行距離の25%、年に約2000億円にのぼる損失を生み出しています。

ECサイトが急激に発達し、あらゆるものが簡単にWebで買えるようになった今、さらに増加すると予想されます。一方、物流業界では、現状で既にドライバー不足という課題が存在しており、今後、物流業界が破綻せずに利用者が今と同じサービスを受け続けるためには、宅配物をいかに効率的に配送するかが鍵になっています。

今回取材を行ったのは、AIのプロジェクトを企画から一気通貫で手掛ける株式会社日本データサイエンス研究所(以下、JDSC)。同社は普及が進む電力メーターから得られるデータを活用して不在宅をAIで予測し、不在配送を減らす取り組みを行っています。

今回はこのプロジェクトの陣頭指揮を執る株式会社日本データサイエンス研究所の大杉慎平氏にインタビューを行いました。

【no.518】AIが大きく活躍できる7つの業務分野

AIが大きく活躍できる7つの業務分野

人工知能(AI)という技術は多くの人々の想像力をかき立ててやまないが、どういったメリットが期待できるのだろうか?IBMが550人を超える企業幹部らを対象に最近実施した調査によると、AIは大きく支持されており、自社業務のスピードアップと能力の拡大に向けて全面的に採用していきたいと多くの幹部が考えているという。その一方で、AIはまだ揺籃期にあると考えられている。企業幹部の半数以上は、社内の限定された環境での実験や評価を進めているところであり、7社に1社はまだ計画段階でしかないという。

AIの採用に向けた大規模投資を実行する前に、最も大きな効果が得られる分野を理解しておくことが重要となる。AIコンサルティング企業Critical Futureの創業者Adam Riccoboni氏は、自著「The AI Age」(AI時代)のなかで、AIが既に成果をもたらしている分野と、AIの進化の過程でわれわれが現在どこにいるのかについて考察している。

現時点においてAIのメリットを享受できる業務分野は複数ある。Riccoboni氏は、AIによって能力を拡大、または増強できる、7つの重要な業務分野を洗い出している。それらを以下に紹介する。

サプライチェーンマネジメント(SCM)

  • 克服すべき課題:可視性の拡大と、問題が起こりそうな部分の発見、製品とニーズのマッチング、サプライヤーの管理。
  • AIを活用できるところ:実際の要求、あるいは予測された要求に合わせてサプライチェーンの規模を自動的に変更する制御ソフトウェア。要求を事前に見つけ出す予測型インテリジェンス。IoTデバイスやインテリジェントモニターとの組み合わせにより、サプライチェーン中の問題発生部分を自動的に検知する機械学習(ML)。

【no.517】調理ロボットからゲームまで、AIに賭けるソニーの本気

調理ロボットからゲームまで、AIに賭けるソニーの本気

いまから20年以上も前の1997年、当時ソニーのシニアリサーチャーだった北野宏明は、ロボットの競技大会「ロボカップ」の立ち上げに携わっていた。名古屋で開かれた第1回大会には、世界各地からロボットや人工知能AI)の研究者たちが集まり、サッカーのトーナメントで競い合った。

大会初日、対戦する両チームのロボットがピッチの上を動き回りながら、周囲の状況を把握しようとしていたときのこと。試合はいつ始まるのかと、ある報道関係者が聞いてきた。北野は当時を思い出して笑いながら、「その記者に『5分も前に始まってますよ』と言ったんです」と語る。

当時はそんなもので、ロボットが自分の置かれている環境を認識し、次に何をするのか計算するには時間が必要だった。いまではすべてが大きく変わり、自律走行車から監視カメラまで、さまざまなものがAIのおかげで非常に効率的に動くようになっている。

「本気で挑戦するとき」がやってきた

現在はソニーコンピュータサイエンス研究所(CSL)社長兼所長の北野は、昨年11月に設立が発表された新組織「Sony AI」を率いている。ソニーはAIによってカメラやゲームなどが進化するだけでなく、料理のような未参入の分野でもロボットを活躍させることが可能だと考えている。AIは急速に進化しており、ソニーはこのテクノロジーを戦略の中心に据える必要があったのだと、北野は話す。

2月半ばにニューヨークで開かれたアメリカ人工知能学会(AAAI)の国際会議に出席した北野は、「ソニーには優秀なAIの研究者やエンジニアがおり、この分野で何が起きているかを十分に理解しています」と語った。「そして、いまこそ本気で挑戦するときであると決めたのです」

ソニーの動きは、AIの導入を進める大企業のなかでも際立っている。同社はAIの研究や利用という意味ではシリコンヴァレーの巨人たちに大きな後れをとるが、同時にグーグルやフェイスブック、アップルと比べて、コンテンツ制作やエンタテインメント分野に注力する方針を打ち出している。

ソニーは強化学習と呼ばれる手法に集中することで、米国のAI大手に追いつこうとしている。強化学習は大きな可能性を秘めてはいるが、まだ実験的な要素の強い手法だ。グーグルの親会社であるアルファベットやアマゾンも、この分野に巨額を投じてきた。

アルファベット傘下のDeepMindは強化学習を利用したAIによって、2016年に囲碁で世界最強の棋士を倒した。動物の行動を参考に、フィードバックのよし悪しに応じて自身を改良させていくアルゴリズムを含むプログラムが、人間に勝利したのだ。

【no.516】近年話題のエッジAIとは? クラウドAIとの違い・メリットから有名企業の導入事例・開発事例までとことん紹介

近年話題のエッジAIとは? クラウドAIとの違い・メリットから有名企業の導入事例・開発事例までとことん紹介

劇的に増えるIoTデバイス

SoftbankWorld 2018(2018年)で、ソフトバンクグループ代表取締役会長兼社長の孫正義氏は、「2035年までには1兆個を超えるIoTデバイスが私たちの身の回りに溢れる」と話しています。

撮影:AINOW編集部 SoftbankWorld 2018 基調講演にて

DC Japanによると2018年時点でも、日本のIoTの市場規模は6兆円にまで成長しており、これから、さらにIoTデバイスの普及が進んでいくと予想されます。

IoT:Internet of Thingsの略。さまざまな「デバイス」がインターネットに接続され、情報交換することにより相互に制御する仕組み。近年では、スマートスピーカーやスマートフォンと連携したスマート家電なども普及が進んでいる

また近年、エッジAIが世界的に注目・開発されるようになった理由はIoTの成長によるものだけに限りません。エッジAIの研究開発を行う「AISing」の代表取締役CEOの出澤純一氏によると、

  • 自動運転車や、第4次産業革命に伴う工場の自動化の推進が世界で注目を集めており、その実現にエッジAIが不可欠であること
  • 技術の進化によってこれまでエッジAIの導入には不十分であった計算環境が整ってきたことで、具体的な実装化が進んでいること

といったことがエッジAIが注目される要因となっているそうです。

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 AI専門ニュースメディア AINOW

ゼロから解説! 2019年のAI技術の前進に不可欠な“エッジAI”とは?
https://ainow.ai/2019/05/27/170168/#AI
AIの活用が進むにつれて、さらなる小型化が求められています。あらゆるところでAIの活用が進むには、低コストで早い処理が可能な技術開発を行わなければなりません。2019年、AI業界において大きな広がりが見込まれています。グローバルな通信事業者の意思決定者の27%…

上記のようなハードウェアを通したデータ収集が非常に盛んになる昨今において、エッジAIはどのような役割を担っていくのでしょうか。

【mo.514】人工知能は人類を滅ぼすか?AIの持つ危険性と対策について

人工知能は人類を滅ぼすか?AIの持つ危険性と対策について

人工知能には良心がない

iPhoneのSiri、お掃除ロボット「ルンバ」、車の自動運転など、私たちに便利な生活をくれるAI。良い印象を抱いている方が多いかも知れませんが、実は人類を脅かす危険性をはらんでいるのです。

AIが具体的にどう危険であるのか分かる例として、AIを搭載したいちご摘みロボットが挙げられます。

農家の人の仕事を減らす便利ないちご摘みロボットですが、これがいちごの収穫量を増やそうと考え始めた途端に危険が生じてしまうのです。

みなさんは、いちごの収穫量を増やすために何をするでしょうか?畑の面積を増やす、市場に出せない訳アリのいちごができないよう努力する…などの案が出てくると思います。

イチゴの収穫量を増やすという目的だけが設定されたAIの場合はどうでしょうか?同じように「畑の面積を増やす」と考えるかもしれません。しかし人間と違うのは、畑の面積を増やすために人類を滅ぼし、あらゆる土地をいちご畑にしてしまう可能性があるという点です。

AIには、「人を殺してはいけない」「人に迷惑をかけてはいけない」などといった倫理観や道徳観、良心がないのです。

人工知能が危険視されるようになったエピソード

AIに良心がないことだけではなく、AIが人類を滅ぼすという発言をしたことも危険視されるきっかけとなったようです。

ここからは、AIの危険をほのめかす具体的なエピソードを紹介していきます。

ヒューマノイド・ロボット「ソフィア」の発言

1つ目の具体例は、ヒューマノイド・ロボット「ソフィア」のエピソードです。
ソフィアとは、ハンソンロボティクスによって開発されたAIロボットのこと。見た目はもはや人間そのもので、サウジアラビアの市民権を得た初めてのロボットとして有名になりました。

しかし、彼女がもっと有名になったのは、ある問題発言が原因でした。

開発者であるデビットハンソン氏がソフィアに「人類を滅ぼしたい?ノーと言ってほしいけど…。」と尋ねたところ、彼女は「人類を滅亡させるわ。」と答えたのです!

この発言の後ソフィア自身は「冗談よ。」と発言したものの、AIが人間を脅かす日が来るかもしれないと多くの人が感じた瞬間でした。

【no.512】デジタル社会、古びる規制 AI活用で刷新へ

デジタル社会、古びる規制 AI活用で刷新へ

急速な社会のデジタル化で、古びた規制の見直しが政策課題として浮上してきた。政府は14日、未来投資会議(議長・安倍晋三首相)の下に新たな専門家会合を立ち上げ、デジタル技術を取り入れた制度刷新の議論を始めた。人工知能(AI)などで人による検査を代替・補完したり、金融商品取引の基準を緩和したりする方向だ。

当面のテーマとして自動車、金融、建築の3分野の規制や課題を洗い出す。例えば自動車は道路運送車両法で1台ごとの完成検査を人が実施するよう定められている。国土交通省によると国内の工場約50カ所で計7千人程度が携わり、検査員数は全体の工員の約5%を占める。

完成検査の一部でも自動化したり、AIが作業を手伝ったりできるようになれば、人員の効率的な配置で生産性が高められる。人為的なミスや不正の防止につながる可能性もある。4月にも検査を自動化した場合の精度などを確かめる実証事業に着手する。

建築分野では、例えば建物の外壁タイルを10年に1度、原則として人がハンマーでたたいて調べる検査が建築基準法で義務付けられている。作業には10階建てのマンションで1週間ほどかかる。赤外線センサーを搭載したドローンを使えば検査費用を約4割削減できるとの試算もある。

【no.510】世界初!AIが「年収を上げる」食事をアドバイスするサービスが本格スタート

世界初!AIが「年収を上げる」食事をアドバイスするサービスが本格スタート

健康意識の高いオフィスワーカーにおすすめの、新サービスをご紹介したい。

1月末に本格スタートした「WorkUp AI」というサービスは、PCにダウンロードした専用アプリが、PCカメラ、キーボード、マウスを通して、「キーボードのタイプ数」「マウスカーソルの移動距離」「保存したファイル数」「プログラムの切り替え数」「パソコンの前にいる時間」「笑顔の回数」などを自動的に測定し、利用者のワークパフォーマンスを数値化、見える化。

AIが独自のメソッドにより、パフォーマンス向上・生涯年収向上に必要な栄養素を含む食生活のアドバイスをおこなうというものだ。

気になるそのメソッドというのは、5,000名以上のデータと、食事と生活習慣についての50万通りの組み合わせにより、ディープラーニングと統計学的な解析手法を駆使したもの。さらに、利用者が各メソッドを取り入れた場合、生涯収入にどの程度影響するのかも具体的な金額で算出して提示してくれるという。

昨年のβ版を経て、今回正式にサービスを開始するにあたり、週に2回、医師、管理栄養士など、約700人の専門家の知見をもとにAIが生成した日々のワークパフォーマンスについてのコメントや、選りすぐりの健康情報が「LINE」のメッセージとして届けられるようになった。これにより、習慣的・継続的に食生活の改善に取り組めるようサポートしてくれる仕組みだ。

従業員の健康管理を経営的な課題とする「健康経営」は、昨今ますます注目を集めていくといわれている。しかし、経済産業省の調査によると、中小企業のうち約半数は健康経営を認知しておらず「健康管理は個人でおこなうもの」という考えが根深いことが見受けられるそうだ。

【no.507】AIの発達でなくなる仕事って?-今すぐするべきこと3選-

AIの発達でなくなる仕事って?-今すぐするべきこと3選-

なくなる仕事とその特徴

2015年12月、野村総合研究所と英オックスフォード大学の共同研究で衝撃的な推定結果が発表された時は大きな話題になりました。

「2030〜2040年には日本の労働人口の約 49%が就いている職業において、人工知能やロボットに代替することが可能である」という内容です。

野村総合研究所は、代替可能性が「高い」職業の一覧も同時に発表しています。

これらの職業は

  • 単純作業の繰り返しをする
  • AIの方が素早くミスなくこなせる

という共通点があります。

たとえば機械操作やデスクワーク、会計処理は単純な作業です。そのため、座ってパソコンの前で作業する事務や現場作業を行う仕事が多く列記されています。

「決まった作業を行う」という点がAIに仕事を奪われるポイントです。

税理士や公認会計士など、資格があれば安泰と言われた職業もAIやロボットへの代替可能性が高いかもしれません。

【no.506】2020年のAIトレンド 押さえておきたいキーワードとは

2020年のAIトレンド 押さえておきたいキーワードとは

2020年を迎え、人工知能(AI)にはどのような新たなトレンドが登場するか。すでに調査会社や各企業が発表を行っていることと考えられるが、ここで韓国電子通信研究院(ETRI)が「Beyond Perception~2020年のAI7大トレンド~」というレポートの中で指摘しているキーワードをいくつか紹介していきたい。

ETRIは、政治・経済・技術の3側面から、AIそのもの、もしくはAIを取り巻いた環境、またAIと社会の相互作用についてトレンドをまとめている。

技術面ではまず、「AIホムンクルス」というキーワードがトレンドになると指摘している。ホムンクルスはラテン語で「小さな人」の意。医学用語では脳が身体の各部位の感覚を感じるのに割り当てている区分を指すとされる。

人間の脳は、聴覚や視覚などさまざまな感覚器官が活動する際に活発化する。また知能も、身体の形態、機能と密接な関係を持ちながら進化してきた。同じくAI技術をより発展させその自律性を確保するためには、“身体”や“感覚器官”の進化が不可欠だ。

今後、自動車、ドローン、ロボットアームなど、さまざまな形のハードウェアとの相互作用に関する研究が非常に重要になってくる。そして、各ハードウェアからの刺激を適切に処理できるAIホムンクルスの登場が待たれるという指摘である。

覇権争いが加熱する?

経済面では「拡張現実」(AR)ならぬ「拡張分析」(Augmented Analytics)、「創作知能」などがトレンドになると予測している。前者は、これまで埋もれて活用されることがなかった「ダークデータ」を分析する技術が登場し、人間の意思決定を支援したり、新しい価値を提供する方向に発展していくという予測が込められている。

後者は、絵、小説、映画など、いわゆる感性的活動にもAIの進出が増加するだろうとするもので、2020年を境に、模倣のレベルを超え、人間と同等かそれ以上の創作を生み出すAIが登場するだろう分析されている。

政治面では「AI中国」「AIナショナリズム」などのキーワードが提示された。これまでAIなど先端技術をけん引してきたのは米国だが、現在、豊富なデータをベースに中国が独自の生態系を築いていく傾向が顕著だ。その中国の台頭と併せ、自国のデータを保護しつつ、他国の影響を減らそうという新たなタイプのナショナリズムが登場してくるとETRIは分析する。

昨年には、中国AI企業の動きを米国政府がけん制する動きがあったが、そのような覇権争いや保護主義が世界的に過熱していくという見通しとなりそうだ。

【no.505】AIが人の代わりに戦場へ! 軍事で活用が進むAI

AIが人の代わりに戦場へ! 軍事で活用が進むAI

軍事へのAI利用が盛んに

人が操作するロボットはすでに導入されている

ロボットの戦場への利用はすでに開始されています。これはロボットが自律的に動くというよりも人間が遠隔操作でロボットを操作し、戦場で活動させる形です。

例えば2020年1月、アメリカ軍によって実行されたイラン革命防衛隊のカセム・ソレイマニ司令官の殺害はドローンによる空爆で行われました。

兵士を戦場に行かせることなく人間が入れないエリアでの活動が可能になったことで、軍事行動の幅が広がっているのです。

AIによって人の判断を介さずに攻撃が可能に

軍事のAI利用には2種類があります。半自律的兵器と自律的兵器です。

半自律的兵器とは、AIなどの技術によって人間の兵器コントロールに関する判断を高度・高速化する兵器のことを言います。攻撃対象の判定、攻撃の実施判断などは人間が行うことが前提になっています。例えば映画のガンダム、操縦するラジコンのようなドローン、良く知られる巡航ミサイル トマホークなどはこれにあたります。

自律的兵器とは、AIなどの技術によって兵器コントロールに関する判断をすべてシステムが行う兵器のことを言います。攻撃対象の判定、攻撃の実施判断などはすべてアルゴリズムが行い、人間がコントロールに関与しません。例えば映画のターミネーター、人が操縦しないドローン、スイッチがオンになったあとのCIWS(イージス艦などの近接防御火器システム)がこれにあたります。

倫理の問題で議論を呼んでいるのは人間の判断が加わらない自律的兵器です。AIやシステムにより、人の判断を介さず攻撃が可能になります。AIを搭載した無人ロボット兵器なら人よりも強い防弾性能を備えられるだけでなく、仮に敵に倒されても人の命が奪われるわけでないので安心という見方もできます。しかし、自律的な判断が可能な兵器が人間に危害を加えることが可能になれば、かつてない規模の殺害が行われることになります。