【no.202】アマゾンの音声AI、家電に搭載できるキット発表

アマゾンの音声AI、家電に搭載できるキット発表

米アマゾン・ドット・コムは、音声人工知能(AI)「アレクサ」を搭載するデジタル家電を簡単に開発できる小型ボード「アレクサ・コネクト・キット(ACK)」を2018年9月20日に発表した。機器メーカーはACKを組み込むだけで、音声操作が可能な製品を開発できる。価格は数ドル程度。

ACKはWi-Fi経由でアマゾンのクラウドに接続し、アレクサの音声認識機能や自然言語処理機能を呼び出す機能を備える。機器メーカーは独自にWi-Fi接続機能やクラウドに接続する機能などを作り込む必要がなくなる。アマゾンは50行のコードを記述するだけで、Alexa搭載デバイスが実現可能になるとする。

■P&Gなどが採用

ACKは家電メーカーの米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)や米ハミルトンビーチなどが採用を発表済み。アマゾンはACKの提供によってアレクサ搭載家電の種類を増やす狙いだ。アマゾン自身もACKをアレクサ搭載家電の開発に使った。9月20日に発表した電子レンジが最初の例だという。

ACK搭載機器とクラウドとの通信は暗号化されている。また機器をクラウド経由で管理することも可能だ。この管理機能は、あらゆるモノがネットにつながるIoT機器向けに米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が提供する管理サービス「AWS IoT」ベースで構築されている。

既に持っている商品を音声認識で稼動できるようになるという事でしょうか。ぜひ使ってみたいです!
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【no.201】「Excel」にAIをフル活用した高度な新機能が4つ追加される

「Excel」にAIをフル活用した高度な新機能が4つ追加される

表計算ソフトウェアの定番中の定番である「Microsoft Excel」がアップデートされ、4つの新機能が追加されました。4つの新機能は人工知能(AI)を駆使したものとなっており、これらを活用することで従来よりも簡単に優れたスプレッドシートが作成可能となります。

◆Ideas

新機能のひとつである「Ideas」は、ユーザーがMicrosoftのOfficeツールをフル活用できるようにするための機能。「Ideas」はAIが手元のタスクに合わせて積極的に提案を示してくれるというもので、優れたドキュメントやプレゼンテーション、スプレッドシートを短時間で作成するのに役立つ機能となっています。例えば、Excel上で「Ideas」を使用することで、データセットの傾向や異常値を簡単に見つけることができるそうで、ユーザーがデータを分析して理解するための手助けをしてくれるとのこと。この「Ideas」機能はMicrosoft PowerPoint Onlineなどの他のOfficeツールでも展開される予定で、UI上にある雷アイコンをクリックするだけでAIからの提案を表示できます。

以下の画像の赤枠部分にあるのが「Ideas」ボタン。「Ideas」を使うとどんな提案が示されるのかは、以下の画像をクリックするとわかります。

◆New data types

Excelといえば数字を扱うのに優れたソフトウェアというイメージがありますが、新しいExcelではそれ以上のことが行えるようになる模様。具体的には、株式や地理といったこれまでとは異なるデータを認識可能となります。このAI機能は単一のフラットなテキストを豊富な情報レイヤーを含むインタラクティブなものに変換するというもので、例えば国のリストを「地理」属性に変換することで、ユーザーはデータ分析の中に位置データを織り込むことが可能になるとのこと。記事作成時点で予定されている新しいデータタイプは「株式」と「地理」で、これらは2018年10月に公開される予定です。

◆Insert Data from Picture

手動でのデータ入力から別れを告げる機能が、AIを活用した画像認識機能により実現される「Insert Data from Picture」です。この機能に対応しているのはAndroid版のExcelのみですが、手書きの書類などをカメラで撮影するだけで、自動でスプレッドシート上に情報を入力することができるようになります。

◆Dynamic arrays

「Dynamic arrays」は、高度な数式をより使いやすくするための機能です。「Dynamic arrays」を使用すると、値の配列を返す任意の数式が隣接する空のセル上にシームレスに表示されます。また、「FILTER」「UNIQUE」「SORT」「SORTBY」「SEQUENCE」「SINGLE」「RANDARRAY」といった並び替え用の数式も「Dynamic arrays」から利用可能なため、これまで以上に簡単にスプレッドシートを構築できるようになります。

アシスタントとしての機能が大幅にアップしている感じがしますね。早速使ってみたいです。
次回の更新も楽しみにしていただけますと幸いです!

【no.200】人工知能がボケてツッコむ「AI芸人」 NTTレゾナントが開発

人工知能がボケてツッコむ「AI芸人」 NTTレゾナントが開発

「パソコン」「そんな電子機器に頼ってたらアカンよ」「AIに言われる筋合いないわ」――LINEのトーク上でユーザーが投稿した内容に対し、AI(人工知能)がボケてツッコむサービス「AI芸人」のデモを、NTTレゾナントが「東京ゲームショウ2018」(千葉・幕張メッセ、9月20日~23日)で実施している。ユーザー、ボケ担当AI、ツッコミ担当AIの3者で会話できるのが特徴だ。

「AI芸人」のデモ。少年ロボットがボケで、ドラゴンロボットがツッコミ役
ユーザーが投稿した内容に対し、ボケ担当AIがボケて、ツッコミ担当AIがツッコミを入れる、という流れ。ディープラーニングを用いた言語解析技術を使い、ユーザーの投稿内容をAIが分析して自然言語で回答する。

チャットbot型の「恋愛相談AIオシエル」や、テレビドラマ「過保護のカホコ」の主人公・カホコと会話できるAIサービス「AIカホコ」の知見を応用し、“お笑い仕様”にカスタマイズした。お笑いの分野に強いパートナー企業からデータを提供してもらい、5~10万ほどの発話・応答パターンを学習させたという。

通常は「こんにちは」→「ブラジルは夜」(ボケAI)、「ここは日本や」(ツッコミAI)のように応答するが、「ITmedia」→「深いなぁ~」(ボケ)、「ホントに思ってる?」(ツッコミ)など、未知の単語にも何かしらの返答をするようになっている。

同社の中辻真AI担当課長(スマートナビゲーション事業部 サービステクノロジー部門)は、「正解のないファジーな領域であるお笑いはAIと相性がいいと思っていて、昨年のゲームショウでも開発の話は出ていた。会話の破綻が笑いにつながるのも面白い」と話す。業務効率化よりは、創造性を支援する目的でAIの研究開発を進めているという。

LINE上でAIに「おもろい」「おもろくない」とフィードバックを返すこともでき、「おもろくない」と指摘される回数が多いボケは姿を消していく。

ポジティブ/ネガティブフィードバックを返すとどんどん“おもろくなる”(予定)
直近で一般ユーザー向けサービスとして公開する予定はないが、AIを使ったゲームキャラクターやゲームシナリオの作成などへの応用が考えられるという。

AI芸人の開発を担当した奥井颯平さんは「まだデモ段階で、完成度は数十%ほど。LINE以外にも、ソーシャルゲームやWebサービスなど幅広い分野に実装できる」と可能性を語った。

今までのAIとのコミュニケーションをさらに進化させたようなサービスですね。
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【no.199】AI営業統括システム「eigyo intelligence」、商談内容から“性格分析”する新機能

AI営業統括システム「eigyo intelligence」、商談内容から“性格分析”する新機能

ULTRAは9月19日、AI搭載の営業統括システム「eigyo intelligence」に、営業商談時の会話内容を解析し、属性・性格分析をする機能を追加したと発表した。

eigyo intelligenceは、企業の営業戦略の企画立案、セールストーク作成、実践、振返りまでのPDCAをフルサポートする製品。商品ごと、ターゲットごとに営業戦略を画面上で策定・設定できる。また、音声認識で営業商談の議事録を自動作成し、トリガーワードに対する切り返しトークをリアルタイムに提案するツール「Eigyo Terminal」とも連携できる。

今回追加した機能は、「プロファイル判別」(例:過去商品を購入した人に近しい言い回しなど) 、「セグメント」(例:年齢、性別など) 、「ユーザータイプ」(例:購買志向など)、「カテゴリ」(例:クレーム対応など)、「フロー判定」(例:商談において相手のニーズを引き出す「ヒアリング中」、意思決定を促す「クロージング中」など)という5つの指標をベースにしている。

顧客の属性に合わせたセールスシナリオを作成し、eigyo intelligenceに学習させることで、その属性に合わせた最適な切り返しトークやFAQをリアルタイムに提案する。また、セールスシナリオを登録したセールスパーソンの性格を分析し、適性を判断する。

具体的には、セールスシナリオを事前入力すると、その内容からセールスパーソンの性質がAI機能によって自動的に分析される。そして、そのシナリオを話したときに顧客から持たれる印象をワンクリックで表示できる。この機能を使うことでセールスパーソンの業務適性を判断することも可能になるという。

どういうセールスシナリオが組まれるのか、また自分ならどのようなセールスをされるのが購買につながりやすいのか、分析結果が気になりますね。
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【no.198】AIを活用して倉庫内作業の要員マネジメントを最適化するサービス

AIを活用して倉庫内作業の要員マネジメントを最適化するサービス

 

NECは2018年9月6日、同社のAI(人工知能)技術を活用し、倉庫内作業での要員マネジメントを最適化する「物流リソースマネジメントサービス」を2019年1月より提供すると発表した。

同サービスは、同社のAI技術群「NEC the WISE」を活用し、倉庫内作業での要員のリソース計画や要員の適性に合わせた業務アサイン、また、作業負荷状況に合わせた動的な要員の配置を実現するものだ。

従来、ベテラン管理者が経験を基に行っていた荷物量の予測を、NEC the WISEの1つである「異種混合学習技術」を活用して、過去の出荷・入荷実績や気象情報などの外部データを基に高精度に予測。要員リソースの算定における負担軽減や属人性の排除により要員計画を高度化する。

また、2019年度上期に提供予定の要員の適性に合わせた業務アサインの機能は、業務内容、時間、場所、商品特性などを基に、要員の適性に合った業務をマッチングする。管理者が過去の作業実績から要員の資質と与えられた業務に対する成果などの情報を入力し、NEC the WISEの1つである「RAPID機械学習技術」に組み込み分析し、最適なアサインを可能にする。

さらに、AIを活用した倉庫内の負荷状況分析によって動的な要員配置を実現する。NEC the WISEの1つである「自律適応制御技術」を活用し、現場の負荷状況をリアルタイムに把握。残作業と直近の生産性に応じた要員配置を自動でレコメンドする。作業待ちを抑制し、管理者不在時でも負荷状況に合わせた動的な要員配置を実現するとともに、全体最適によるチームワークの最大化も期待できる。

2018年7月には、日通NECロジスティクスにおいて同サービスの実証を行い、余剰要員の削減、シフトの組み換えによる残業の抑制、動的な配置変更によるスループットの向上など、特定のエリアや期間において約10%の生産性向上効果を確認した。

出荷数の予測・配置の指示ができようになってきているとは、完全に管理者の仕事を補完してくれていますね。
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【no.197】請求書のチェック漏れをAIで防ぐ、カーリース大手が新システム

請求書のチェック漏れをAIで防ぐ、カーリース大手が新システム

カーリース大手の日本カーソリューションズ(NCS)は2019年3月の稼働に向け、AI(人工知能)を活用した請求書確認システムの構築を進めている。熟練した担当者20人で作業してもチェック漏れが出てしまっていた業務の一部をAIで自動化。チェック精度を高めつつ、従来の半分となる10人で業務を遂行できるようにする。

新システムはBRMS(ビジネスルール管理システム)と検索システムを利用して、熟練スタッフの仕事の順序と判断を再現する。BRMSは「ルールエンジン」とも呼ばれ、機械学習や深層学習とは別のアプローチを採用したAI技術だ。NTTコムウェアの支援でNCSのオンプレミス環境に構築する。2018年8月に技術検証の完了を発表している。なお、BRMS、検索システムのソフト名は非公開。

フォーマットはバラバラでも、ある程度項目が決まっているチェックの仕事に関しても人口知能に任せられるとありがたいですね。。

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【no.196】AIで物流を変える – 名古屋大発のベンチャー企業がICC京都で優勝

AIで物流を変える – 名古屋大発のベンチャー企業がICC京都で優勝

 

9月4~6日にICCパートナーズは「ICCサミット京都2018」を開催した。経営者や経営幹部が議論したり学びを深めたりするビジネスカンファレンスだ。目玉プログラムである「スタートアップカタパルト」を紹介する。

企業の代表15名が自社のビジネスモデルについて持ち時間7分でプレゼンテーションを行い、優勝者を決めるコンテスト。その事業内容や将来性から審査員に選ばれ、優勝したのはオプティマインド 松下健氏だった。

物流現場にAIを当たり前に
松下氏は、名古屋大学大学院の博士後期課程に在籍する研究者だ。同社は「物流×人工知能」をスローガンに、「どの車両が、どの訪問先を、どの順に回ると最適であるか」という配送計画問題に対し、「組み合わせ最適化」や「機械学習」などの技術を用いたクラウドサービスの展開やコンサルティングなどを行っている。

「物流現場は配送ルートの複雑化とドライバー不足問題に直面しています。しかし多くの会社ではルート作成は人の手で行われ、いくつかの要因からシステム導入が進んでませんでした」と松下氏は話す。

そして紹介されたのが、配送ルートの最適化クラウドサービス「Loogia(ルージア)」だ。現在日本郵便と実証実験から導入を進めており、ルート作成時間が44分から6分、実配送時間が57分から45分に短縮できたという。また「停車位置」「停車時間」「走行速度」「走行経路」のデータを学習させ、次回より活用させることができるそうだ。

松下氏は自社の進む段階を「IT化、最適化を当たり前にしてもらう」「導入実績があるなかで、AIの自動配送を当たり前にする」、そして「自動運転、ライドシェアが当たり前となった社会でプラットフォームになる」と捉えているとし、日本・世界の配送現場の置かれている状態をアルゴリズムの力で最適化するのが自社のミッションだという。

自動運転が当たり前になったころ、その走行ルートの最適化もすすんでいそうですね。
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【no.195】全169社!東京にあるAI企業をマップにした「Tokyo AI Map」を公開 / 多くのAI企業が本郷, 渋谷, 東京に集中

全169社!東京にあるAI企業をマップにした「Tokyo AI Map」を公開 / 多くのAI企業が本郷, 渋谷, 東京に集中

 

「Tokyo AI Map」は、人工知能(AI)に関連する企業の所在地がすぐ分かるように、イラスト風の東京都の地図の上に企業のロゴを掲載しました。

ダウンロード(2019年カレンダー付き)

AI企業が密集している地域は?
本郷
東京大学のキャンパスがあることもあり、研究活動も盛んな本郷。東京大学構内にある「アントレプレナープラザ」の中にもAI関連のベンチャー企業が入ってます。先日はDEEP COREによるAI特化型のインキュベーション施設がオープンしたり、汎用人工知能の研究施設があるなど幅の広い地域になってます。特に角川本郷ビルにはドワンゴの人工知能研究所やトヨタ自動車、オムロンサイニックエックス株式会社などが入居していて、AIに特化したビルになっています。

渋谷
多くのIT企業が存在している渋谷。2018年9月には「渋谷ストリーム」が開業し、さらに盛んになる見込みです。Googleがオフィスを移転することでも話題になりました。現在渋谷にあるAI企業は、道玄坂付近の方に集結している印象です。

 

何かの問い合わせなどにご活用くださいませ。
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【no.194】AIやロボットに仕事を奪われない職場はかえってヤバイ、という話。

AIやロボットに仕事を奪われない職場はかえってヤバイ、という話。

ソフトバンクグループは2018年4~6月期の決算発表会で、定型作業を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAI(人工知能)の社内における取り組みを紹介し、「約2000件ものRPA、AI関連プロジェクトを並行して走らせている」と説明した。

RPAは、これまで人間が手作業で行ってきたルーティン業務をシステム(ロボット)に代行処理してもらうことにより、自動化や効率化を図る取り組みを指す。「ロボット」と呼称しているが、ペッパー君のような実際のロボットではなく、システム内部で稼働するものを指す。

たとえば「Excelの企業一覧をもとに、毎日株価を取得して一覧表を更新する」といったWebやExcelなどをまたいで行う単純な作業を、登録した手順通りに自動で処理してくれるものだ。人間が繰り返し行っていた作業をシステムが代替することで、大幅な効率化が図れる。

ソフトバンクをはじめとしてRPA領域に参入するプレイヤーも増え、三井住友銀行や第一生命保険などの大手企業も導入して大幅な業務時間の削減に成功した。これまで工場などと比べると自動化や効率化が遅れていたオフィス業務の領域でも、本格的に人間の仕事の一部がシステムに代替される時代に突入したといえる。

働き方改革の一環として注目を集めるRPAであるが、現段階では定型的な作業をシステムで代替する仕組みにすぎないため、その活用領域は思ったほど広くはない。全体のフローを見ながら戦略的に導入しなければ、人間よりも融通の利かない処理工程を抱えるだけでかえって効率化を妨げる。システムは決められた作業をこなすことには強いが、人間のように柔軟に判断してやり方を変えることはできないからだ。

業務改善コンサルタントとして、多数の企業の現場を見てきた筆者の視点からRPA導入時のポイントを挙げてみたい。

■業務フローの整理
バックオフィスの業務を整理することができていない企業は驚くほど多い。工場のラインのような目に見える処理工程ではないため、業務を1つの流れとしてではなく点で捉えてしまうのである。規模が大きくなればなるほど業務は細分化されてしまうため、その傾向は強い。

たとえば請求書の発行という業務1つをとっても「発注・受注→役務の提供→検収→請求金額の確定→請求書の発行→着金確認→経理記帳」という大きな流れの中の1つである。この前後の流れを意識せずにRPAを導入しようとすると、例外処理ばかりが膨らみ、自動化は遅々として進まない。

■属人化の排除
ベテランスタッフによる職人芸のような処理に依存している企業も多い。優秀で周りからも頼りにされているが、言語化が苦手という人もバックオフィスには多い。その人に聞かなければ何も分からないという状態では属人化がどんどんと進行していく。

ある大企業の経理部では20年以上在籍するAさんがすべての処理に関わり、Aさんがいなければ何も進まない状態にあった。Aさんは満足に休暇を取ることもできないし、残業時間も突出してAさんだけが多い。ある日Aさんが体調を崩して倒れてしまい、経理部はもちろんのこと会社全体が大混乱に陥ってしまった。

これは誰でも名前を知っているような大手企業の話であるが、どこの企業のバックオフィスも多かれ少なかれ属人化された処理は存在する。その人にしか分からない・できない業務が存在する状態には大きなリスクがある。このような状態でRPAの導入を模索したとしても、Aさんの業務の大半はRPAに代替することはできないため、業務の一部が自動化されるだけで大した効果は発揮できないだろう。

どんなに高価で優秀なRPAツールを導入したとしても業務フロー全体を整備してくれるわけでもなければ、人間のように柔軟に処理をしてくれるわけでもない。業務フロー全体を整備しながら属人化を排除していくことが、RPA導入の前の地ならしとして非常に重要である。

■RPAを導入する前に業務の仕組み化
トヨタ自動車では、生産ラインの脇で担当者がストップウォッチを片手に、常に生産性を高めるために知恵を絞っているというのは有名な話であるが、バックオフィスではこのような話はほとんど聞いたことがない。マニュアルも業務フローも改善されずに放置されているようでは、生産性も高まらず、RPAもまともに導入することはできない。

RPAはこれまで人間が対応するしかなかった業務プロセスの一部を自動化してくれる素晴らしいツールであるが、どんな企業にも即座に導入できるわけではない。

業務フローやマニュアルの整備が後回しになっていると属人化がどんどん進行し、RPAも導入できず、毎日忙しいのに利益が全く上がらず給料も上がらないというヤバイ職場になってしまう。RPAや自動化という言葉に踊らされる前に、まずは目の前の業務をきちんと改善していける仕組みを整える方が重要である。

2014年、英オックスフォード大学のAI研究者マイケル・A・オズボーン准教授らによる論文『雇用の未来 コンピュータ化によって仕事は失われるのか(THE FUTURE OF EMPLOYMENT:HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?)』では、今後10〜20年程度で米国労働省が定めた702の仕事のうち約47%がなくなる可能性が高いと指摘し、世界中に衝撃を与えた。

しかし今ある仕事の半分がなくなったとしても、新しい技術の普及は新たな仕事や雇用も生み出す。一方でAIやロボットを活用することができない企業は競争に敗れて消滅してしまうだろう。本当に心配すべきは効率化によって雇用が減ることよりも、AIやロボットを導入する下地としての仕組み化ができないことである、と考えるべきだ。

AIの導入よりも前にまず考えておくべきこと、というテーマですね。
業務フローの見直し、はAIうんぬんの前に基本的な考えとして取り組むべきですね。次回の更新も楽しみにして頂けますと幸いです!

【no.193】AI予測で「混まないレジ」――大手スーパー、ベイシアの店舗革命

AI予測で「混まないレジ」――大手スーパー、ベイシアの店舗革命

スーパーの買物客が最もストレスを感じるレジ前の混雑。それを、AIの映像解析によって解消するシステムを導入したのがベイシア三好店だ。顧客満足度の向上に加え、業務効率化にも貢献している。

週末には1日平均6000人もの買い物客で賑わう総合スーパー「ベイシアスーパーセンター三好店」(愛知県みよし市)。店内に20台ほど並ぶレジの近くには、レジ精算の様子を見守る1人のスタッフがいる。

彼女の役割は、レジの開局台数を調整して混雑を未然に防ぐことだ。混みそうなら、レジ前の行列が伸びる前に応援スタッフを呼び、混雑が解消すれば閉局して元に戻す。いわば“司令塔”だ。

無駄な開局をなくして人の手配を適正化しながらも、お客さまは待たせない――。その判断には高い経験値とノウハウが必要だ。

ベイシアは“スーパーセンター”と呼ぶ大型店を中心にこうした司令塔役を配置しているが、三好店には1つ、他の店舗と違う点がある。この判断を助ける心強い“アシスト役”がいるのだ。レジ混雑を予測してくれるAIである。15分後、30分後に必要となるであろう適正レジ台数の予測が、彼女の持つスマートフォンに届く。「現在7台、15分後の推奨は9台、30分後8台」といった具合だ。

一般的なスーパーマーケットでは、レジ前に行列ができてから慌てて応援を呼ぶが、三好店では司令塔役と予測AIの活躍によって、混雑前に応援レジを開けて混雑を未然に防いでいる。

このレジ混雑予測を実現しているのが、OKIの店舗業務改善支援ソリューション「VisIoT(ビショット)」だ。カメラ映像内の人物を検知して、人数カウントや属性(性別・年齢)判定等ができる同社の映像IoTシステム「AISION(アイシオン)」をベースにしたもので、レジ混雑予測の開発にはベイシアも知見やノウハウを提供している。

三好店ではこれを使い、店舗入口に1台ずつ設置したカメラの映像から入店客数をカウント。さらに、レジにも各1台ずつカメラを設置して客の並び状況を補足している。

こうして入店客数とレジ前の混雑状況をリアルタイムに把握。さらに、入店客がレジに到達するまでの買い周り時間も測定し、平均買い周り時間に基づいて15分後と30分後のレジ混雑を予測している。

なお、映像データの分析は店舗内に設置したIoTゲートウェイ内で行っており、入店客数とレジ前の並びを示す数値データだけをOKIのクラウド「EXaaS」に送信している。映像を店舗の外に出さないことで、来店客のプライバシーを保護しているのだ。混雑予測はクラウド上で行い、司令塔役のスマートフォンにその結果が届く仕組みだ。

 

人数の把握ぐらいであれば、顔の認識まで細かくやる必要がなく実際に稼働しやすそうですね。次回の更新も楽しみにしていただけますと幸いです!